第11章・35幕 権謀術数・栃虎① ~推定
今回の登場人物
■ ▢ ■ ▢
◎相島一派
・大須賀 栃虎 (おおすがとちとら)
栃春の息子。パッと見はイケメンで、育ちの良さを伺わせるも、裏の顔は悪業に手を染め、暴行を繰り返す。人身売買から、婦女暴行を息をするように行う。虎太郎の仇の1人。
・藤江 敦夫 (ふじえあつお)
刑務官人。貧民あがりで綿貫の仲間。笑うと更に悪そうな男。
・内川 貴実 (うちかわたかざね)
刑務官人。無口だが非道で綿貫が拾ってきた悪人。
■ ▢ ■ ▢
◎現在の十戒絵馬
一、中へ入ると出ることが出来ない。
三、菫の殺害を禁じる。殺害する場合、ゲーム『神々の晩餐』にて菫と勝負し、負けた方は死亡する。
四、他勢力のエリアに赴くには、そのエリアに予め【外交官】を1名以上置かなくてはならない。
…発動中!
【前回までのあらすじ】
白石菫を倒した者が、赤島の代わりに八俣の乙名となるという白石討伐競争が開始された。
しかし、菫は実は午の器・十戒絵馬の持ち主で、その能力・10のルールの下に攻略する必要が出てきてしまった。
菫が、神器の力でルール、白石集会所からの退出禁止を施行する中、相島派と豊倉派は、徐々に人を中へと送る。
両派閥が、各界隈から、増援として人員を引き入れる。
人員確保を終え、相島派も豊倉派も、外交官の攻略に出ると、まず【領主】を決め、同時にそれぞれ【東の者】【西の者】を承認すると、相島派は翌朝、【外交官】5名が立候補。そして西側にある、東側領事の間へと移動すると、七草の鬼灯、星薊が、直ぐに外交官・水仙を呼び出し、合流する。
一方で、八咫烏は、雌蟷螂と山楝の夢占いをするが、どちらの悪夢にも最低限の対策は設け、先に進む傾奇衆。
八咫烏は、更なる神器覚醒へと興味を抱き、寺院にいる、守役長・鉾田路へ謁見に向かう。そこで、禍津社の一人の抹殺を試練として課せられた。
同じ頃、白石組集会所へ侵入した豊倉らも、外交官に緑川組の奴隷4人の内の1人・土手と、意外にも妖会の夜光幽が名乗りを挙げた。一足先に土手と東側領事の間に移動する夜光幽。しかしその実はなんと小夏だった。
その少し前、綿貫が外交官の役割を各自に求めると、栃虎は一本松と三条とで画策する。
綿貫が七草らに同行者を求めるよう仕掛けてもらうと、藤江と外川が来ると栃虎が出張る。綿貫が西側領主の間に出向くと言うと、そこに三本松を同行させる栃虎の奇行に動揺する綿貫。
更に樒自らが同行者を求めて一本松を指名に来ると、一本松は東側領事の間で、七草に囲まれ恐喝されつつも、七草に味方を宣言する。その証に三条の暗殺を約束する。
瀬織津に残る七草も中へと向かい、千毬は客人を迎える。そう、妖、本人であった。
少し遡る頃、雌蟷螂と化猫が到着。スパイとして外交官に任命されるが、護衛がいた方が安全と言う八咫烏の判断から、獅子王と薄笑は急ぎ、東側へと移動を開始すると、東側領事の間から七草が出てくる。一触即発となろうも、お互いそれぞれの目的地へ移動する。
七草は西側領主の間で豊倉らと今後について話をする。缶姉妹に少しでも味方をする立場であれば容赦しないという脅しをかけるも、池澤は反論する。
その時、戸賀崎が言葉を挟み、お互いの白石菫の殺害後の動きを示し合わせると、同盟を組む価値を提示する。
七草は樒に相談に行くと、去っていく。すると、岩田が豊倉と池澤に聖釘を差し出し、緑川から引き入れた奴隷を、その力で兵士化しようと企む。
その時より4時間前、栃虎は外交官として藤江と内川に呼ばれ、西側受付へと向かっていた・・・
「俺に聞きたいこと?」
栃虎は疑問に思う。
「ここで立ち話も難だ。俺らの部屋に来てくれ。東側だから外交官の同行の意を削ぐことになるが。」
「まぁ、それはいいんじゃないか?行こうか。」
藤江の計らいに応じる栃虎は、東側の3号室へと移動する。
「さて…どこから挨拶に行こうかしら?」
時同じ頃、東側の廊下を歩み始める小夏は、不敵な微笑を見せつつも、東3号室の前に着く。
⦅…で、一体何を話すんだ?⦆
前方から栃虎ら3人が来る気配がする。
「盗み聞きは趣味じゃないけど、仕方ないわね。」
そう言って小夏は東3号室へ忍び込む。
◎和都歴452年 3月25日 12時 置田村・神奈備 白石集会所 東3号室
「まぁ、座って寛ぎましょうか?」
藤江が栃虎を持成すと、内川はお茶を淹れに行く。
「で?聞きたいことってなんだ?」
栃虎が踏ん反り返る様に上座に着くと、ニヤけた面で藤江に尋ねる。
「その前に、我々が何故、彼方を同行者に指名したかは御存知でしょうか?」
「知るかよ?俺は超能力者じゃないぜ?」
藤江の言葉に冗談で返す栃虎。
「察することも出来ない感じでしょうか?」
「なんだ?いちいち質問が嫌らしいじゃん?ストレートに聞けば?」
眉を顰める栃虎。
「…わかりました。栃虎さんは、内通者だったりしませんか?」
「あ?」
藤江の言葉に目が鋭くなる栃虎。
「前もって言いますが、これには証拠はありません。幾つかの根拠からの推定、となります。」
「まぁいい、わかった。仮にその推定が当たってるとしよう。」
(否定はしないのか…)
核心をついたつもりも、動じない栃虎に、更に疑問が沸き上がる藤江。
「その推定は、誰が考えて、誰まで知れ渡っているんだ?」
「誰までと言えば、我々がその末端と言えます。つまり、相島派として中へ侵入している者、でしょうか。」
「ふーん、じゃあ、周知の事実ってことか?…で、誰が推定したわけ?」
「根拠を知り得た千毬さんが、樒さんと綿貫さんに相談したことで出た結論、と聞いていますが、そこに意味はないと思っています。事実として栃虎さんが内通者である、それを確かめるのが一番かと思いまして。」
「はっはっは。お前らは単純でいいよな。俺もそう聞いてくれたら素直になるのにな。」
栃虎が嘲笑うように内川が置いて行くお茶をかすめ取る様に手にする。
「本当の事を、お前らには教えてもいいが、条件がある。」
「条件?」
「安心しろ。お前らにとっていい条件だ。」
「…というと?」
「俺はこの白石討伐競争が終わった後の事を考えている。どちらが勝つとか、あまり興味ない。いうなら強い奴につき、ここから出れればいい。ここまでは分かるよな?」
「…意味は、理解できます。」
「もし、お前らが相島と命を共にしたいなら話は別だが、生き残りを賭けるなら、俺と組む方が良くないか?」
「ー!」
次回2026/3/8(日) 18:00~「第11章・36幕 権謀術数・栃虎② ~密談」を投稿予定です。
毎週(木)(日)18:00に投稿致しますので、御期待下さい。




