第11章・34幕 権謀術数・豊倉派② ~慎重
今回の登場人物
■ ▢ ■ ▢
◎相島一派
・大須賀 栃虎 (おおすがとちとら)
栃春の息子。パッと見はイケメンで、育ちの良さを伺わせるも、裏の顔は悪業に手を染め、暴行を繰り返す。人身売買から、婦女暴行を息をするように行う。虎太郎の仇の1人。
・藤江 敦夫 (ふじえあつお)
刑務官人。貧民あがりで綿貫の仲間。笑うと更に悪そうな男。
・内川 貴実 (うちかわたかざね)
刑務官人。無口だが非道で綿貫が拾ってきた悪人。
◎豊倉一派
・豊倉 完以 (とよのくらかんい)
置田村南部・日輪の沙汰人で副統括。置田村でも指折りの豪商。出世欲が強く、またどこかケチで、小心者だが、知恵と金銭で権威を取り込んできた男。その実は九狼党への関与が疑わしい❝宝石箱❞なる組織の首魁。
・池澤 潤 (いけざわじゅん)
豊倉の右腕となる人物で、用心棒も務める。出世欲も強く、割に合わない仕事は他にやらせる狡猾さを持つ。ガタイの良い白髪交じりの中年で頬のイボが特徴。
・岩田 典孝 (いわたのりたか)
緑川組の一員。汚い性格だが腕前もそこそこ。金髪で如何にもな格好で、南蛮服を着用。実は幾つかの聖釘を隠し持っていた。
■ ▢ ■ ▢
◎現在の十戒絵馬
一、中へ入ると出ることが出来ない。
三、菫の殺害を禁じる。殺害する場合、ゲーム『神々の晩餐』にて菫と勝負し、負けた方は死亡する。
四、他勢力のエリアに赴くには、そのエリアに予め【外交官】を1名以上置かなくてはならない。
…発動中!
【前回までのあらすじ】
白石菫を倒した者が、赤島の代わりに八俣の乙名となるという白石討伐競争が開始された。
しかし、菫は実は午の器・十戒絵馬の持ち主で、その能力・10のルールの下に攻略する必要が出てきてしまった。
菫が、神器の力でルール、白石集会所からの退出禁止を施行する中、相島派と豊倉派は、徐々に人を中へと送る。
両派閥が、各界隈から、増援として人員を引き入れる。
人員確保を終え、相島派も豊倉派も、外交官の攻略に出ると、まず【領主】を決め、同時にそれぞれ【東の者】【西の者】を承認すると、相島派は翌朝、【外交官】5名が立候補。そして西側にある、東側領事の間へと移動すると、七草の鬼灯、星薊が、直ぐに外交官・水仙を呼び出し、合流する。
一方で、八咫烏は、雌蟷螂と山楝の夢占いをするが、どちらの悪夢にも最低限の対策は設け、先に進む傾奇衆。
八咫烏は、更なる神器覚醒へと興味を抱き、寺院にいる、守役長・鉾田路へ謁見に向かう。そこで、禍津社の一人の抹殺を試練として課せられた。
同じ頃、白石組集会所へ侵入した豊倉らも、外交官に緑川組の奴隷4人の内の1人・土手と、意外にも妖会の夜光幽が名乗りを挙げた。一足先に土手と東側領事の間に移動する夜光幽。しかしその実はなんと小夏だった。
その少し前、綿貫が外交官の役割を各自に求めると、栃虎は一本松と三条とで画策する。
綿貫が七草らに同行者を求めるよう仕掛けてもらうと、藤江と外川が来ると栃虎が出張る。綿貫が西側領主の間に出向くと言うと、そこに三本松を同行させる栃虎の奇行に動揺する綿貫。
更に樒自らが同行者を求めて一本松を指名に来ると、一本松は東側領事の間で、七草に囲まれ恐喝されつつも、七草に味方を宣言する。その証に三条の暗殺を約束する。
瀬織津に残る七草も中へと向かい、千毬は客人を迎える。そう、妖、本人であった。
少し遡る頃、雌蟷螂と化猫が到着。スパイとして外交官に任命されるが、護衛がいた方が安全と言う八咫烏の判断から、獅子王と薄笑は急ぎ、東側へと移動を開始すると、東側領事の間から七草が出てくる。一触即発となろうも、お互いそれぞれの目的地へ移動する。
七草は西側領主の間で豊倉らと今後について話をする。缶姉妹に少しでも味方をする立場であれば容赦しないという脅しをかけるも、池澤は反論する。
その時、戸賀崎が言葉を挟み、お互いの白石菫の殺害後の動きを示し合わせると、同盟を組む価値を提示する。
七草は樒に相談に行くと、去っていく。すると、岩田が豊倉と池澤に聖釘を見せつける。
「これで、超人になれますよ?」
岩田はケダモノの様にニヤリと笑う。
「なんと…」
聖釘の説明を受けると池澤は目を見張る。
「まさかな?この私でも、双子のような能力を得れると?」
豊倉は半信半疑だ。
「無論、聖遺物を持つ者には逆らえないという最低条件が付きますが、ルシスト教を敵としないとするなら、これは使えます。」
「…ふ~む。」
「…」
岩田の説明に2人は色々と思いを巡らせる。
「岩田は既にこの力を?」
「ええ。」
「どんな能力を?」
「それは…火付け…ですかね。」
「火付け?火遁の術か?」
「似たようなものです。」
「まるで双子の能力だ…本当ならばスゴい力を秘めた品だ…」
池澤は岩田の説明に衝撃的感動を受ける。
「わかった、受け取っておこう。池澤、お前も私を守る術を、これで身に付けろ。」
「わかりました。」
豊倉は池澤にそう言って聖釘を1つ渡すと、池澤は頭を下げる。
(これで傾奇衆もデカい顔は出来なくなるな…しかし、マリエルの耳飾りを持つ呼子には直接手出しは出来なくなる…その点は考慮しなければならないが。豊倉さんを守る能力…そして傾奇衆を威圧する能力…それを備えた能力を導き出さなくてはな...)
池澤は悪巧みをする。
(肉体的強さがない私にも、人智を超える能力が?素晴らしい…しかし、ルシスト教には絶対的に逆らえなくなる…商人としてそれは致命的にもなり得る…これは、やはり兵隊を強化するもの。この様な物じゃなく、もっと私に相応しい力の付け方が世界の何処かにあるはずだ…!)
豊倉は聖釘を握りしめながら、未来を考える。
豊倉が池澤を見る。
「…」
「緑川組から貰った使い捨ての駒が居たな?」
「はい…でも何故…
ー!?」
豊倉の話に閃く池澤。
「奴らを手懐け、聖釘を渡し、兵士にするか?」
「さすが、豊倉さん。妙案かとー
ー!?」
豊倉は聖釘を渡そうとするも、池澤の差し出す掌には落とさない。
「わかってるな?」
「…といいますと?」
「聖釘、その力は己に神秘な力を得るだけでなく、受け取った者、つまり我々を裏切ることは死を意味する、その私たちへの忠誠心から神秘な力は生まれると伝えるのだ。
私たちへの反逆は死を意味する、その旨を伝えること。」
(…!
嘘を…なるほど、防衛策か…)
「わかりました。」
(改めて、食えない方だ。)
池澤は、掌に聖釘を3つ受け取る。
「では、部屋に戻りましょうか?」
岩田はそう言うと、豊倉らも頷き、皆の居る広間へと戻る。
大きな力を得る代償、そしてそれを使役する者へ与える際の手綱。その脅威的な力に慎重になる豊倉派の幹部たち。悪意はここでも弱者を犠牲にしようとしていた・・・
◎和都歴452年 3月25日 11時 置田村・神奈備 白石集会所 西側受付
一方、遡る4時間程前、外交官・大須賀栃虎は西側受付へと足を進めていた。
「外交官をお呼びだそうで。」
栃虎が不敵な微笑みを浮かべる。
「ああ。色々と聞きたいことがあるんでな。」
藤江と外川が、栃虎を同行者として迎えに来るも、敵意に満ちるその様子は何処か奇妙だ。
次回2026/3/5(木) 18:00~「第11章・35幕 権謀術数・栃虎① ~推定」を投稿予定です。
毎週(木)(日)18:00に投稿致しますので、御期待下さい。




