第11章・33幕 権謀術数・豊倉派① ~聖釘
今回の登場人物
■ ▢ ■ ▢
◎相島一派
・竹達 鬼灯 (たけたつほおずき)
紫の七草の二。剣の達人で紫の実働部隊として活動し、無双をロマンに掲げる程の実力者。並外れた身体能力が、七草随一の戦闘員とも言われるほど。ザンバラ髪をポニーテールで纏め、浴衣一丁という女子力の無さ。
・遙 星薊 (はるかほしあざみ)
紫の七草の三。情報収集や毒針での暗殺を担当。汚い戦術や拷問を好む非道な女戦闘員。黒装束に外は黒、内は赤のマントを羽織る姿が蝙蝠を彷彿させる。
・花澤 水仙 (はなざわすいせん)
紫の七草の六。樒に次ぐサブリーダー的役割をこなす。蓮太らと同じ年齢でありながら、卓越した分析能力と指示能力を持つ。大きな瞳にお河童頭、洋服にズボンという、ボーイッシュなスタイル。
◎豊倉一派
・豊倉 完以 (とよのくらかんい)
置田村南部・日輪の沙汰人で副統括。置田村でも指折りの豪商。出世欲が強く、またどこかケチで、小心者だが、知恵と金銭で権威を取り込んできた男。その実は九狼党への関与が疑わしい❝宝石箱❞なる組織の首魁。
・池澤 潤 (いけざわじゅん)
豊倉の右腕となる人物で、用心棒も務める。出世欲も強く、割に合わない仕事は他にやらせる狡猾さを持つ。ガタイの良い白髪交じりの中年で頬のイボが特徴。
・岩田 典孝 (いわたのりたか)
緑川組の一員。汚い性格だが腕前もそこそこ。金髪で如何にもな格好で、南蛮服を着用。
◎白石組
・戸賀崎 昭昌 (とがさきあきまさ)
白石組顧問にして西側の【裁定者】。菫に対しては、どこか敵対心を抱き、間良くば組を乗っ取ろうと策謀する野心家。締まった身体と黒のスーツが特徴。
■ ▢ ■ ▢
◎現在の十戒絵馬
一、中へ入ると出ることが出来ない。
三、菫の殺害を禁じる。殺害する場合、ゲーム『神々の晩餐』にて菫と勝負し、負けた方は死亡する。
四、他勢力のエリアに赴くには、そのエリアに予め【外交官】を1名以上置かなくてはならない。
…発動中!
【前回までのあらすじ】
白石菫を倒した者が、赤島の代わりに八俣の乙名となるという白石討伐競争が開始された。
しかし、菫は実は午の器・十戒絵馬の持ち主で、その能力・10のルールの下に攻略する必要が出てきてしまった。
菫が、神器の力でルール、白石集会所からの退出禁止を施行する中、相島派と豊倉派は、徐々に人を中へと送る。
両派閥が、各界隈から、増援として人員を引き入れる。
人員確保を終え、相島派も豊倉派も、外交官の攻略に出ると、まず【領主】を決め、同時にそれぞれ【東の者】【西の者】を承認すると、相島派は翌朝、【外交官】5名が立候補。そして西側にある、東側領事の間へと移動すると、七草の鬼灯、星薊が、直ぐに外交官・水仙を呼び出し、合流する。
一方で、八咫烏は、雌蟷螂と山楝の夢占いをするが、どちらの悪夢にも最低限の対策は設け、先に進む傾奇衆。
八咫烏は、更なる神器覚醒へと興味を抱き、寺院にいる、守役長・鉾田路へ謁見に向かう。そこで、禍津社の一人の抹殺を試練として課せられた。
同じ頃、白石組集会所へ侵入した豊倉らも、外交官に緑川組の奴隷4人の内の1人・土手と、意外にも妖会の夜光幽が名乗りを挙げた。一足先に土手と東側領事の間に移動する夜光幽。しかしその実はなんと小夏だった。
その少し前、綿貫が外交官の役割を各自に求めると、栃虎は一本松と三条とで画策する。
綿貫が七草らに同行者を求めるよう仕掛けてもらうと、藤江と外川が来ると栃虎が出張る。綿貫が西側領主の間に出向くと言うと、そこに三本松を同行させる栃虎の奇行に動揺する綿貫。
更に樒自らが同行者を求めて一本松を指名に来ると、一本松は東側領事の間で、七草に囲まれ恐喝されつつも、七草に味方を宣言する。その証に三条の暗殺を約束する。
瀬織津に残る七草も中へと向かい、千毬は客人を迎える。そう、妖、本人であった。
少し遡る頃、雌蟷螂と化猫が到着。スパイとして外交官に任命されるが、護衛がいた方が安全と言う八咫烏の判断から、獅子王と薄笑は急ぎ、東側へと移動を開始すると、東側領事の間から七草が出てくる。一触即発となろうも、お互いそれぞれの目的地へ移動する。
七草は西側領主の間で豊倉らと今後について話をする。缶姉妹に少しでも味方をする立場であれば容赦しないという脅しをかけるも、池澤は反論する。その時、戸賀崎が言葉を挟むのだった・・・
「どうでしょう?ここは僕からの提案も一考して頂けますかな?」
戸賀崎が話し始める。
「どういう提案かによるかな。」
鬼灯は目線を豊倉陣営から外さない。
「まず、この場にいる誰もが、菫の殺害に利害が一致している…違いますか?」
「…それは相島も同じ、よね?問題はその先、よね。」
星薊も殺気を纏いながら返答する。
「では、その点で争う必要性はありません。その後に産まれる利害が、何より重要となる…」
「菫を殺害後…か。」
豊倉は鑑みる。
「豊倉さん、どうでしょう?菫亡き後、貴方の目的は如何なものでしょうか?」
戸賀崎が問う。
「野崎さんとの意識合わせも必要だと思うが、私は双子に付くつもりはないが?」
「へぇ?」
豊倉の返答に明るくなる鬼灯。
「だとしたら、意外と話し合えたりするかもね?」
水仙が鬼灯に尋ねる。
「であれば…菫を倒す、に加え…双子を共通の敵とするのは如何でしょうか?」
戸賀崎が豊倉と七草に提案する。
「…」
「その場合、七草らが、相島をどこかで見限る必要性はありますがね。」
「…ふ~ん、西側の裁定者って、この競争後の事も関知するんだ?」
戸賀崎の言葉に、疑問で返す鬼灯。
「しかし、結果的にはこの競技内に影響を及ぼす事項。人は未来を見据えて動くモノですから。」
「なるほど…」
(意外なキレモノなワケか。)
鬼灯は星薊と水仙に目配せする。
「丁度、樒も今は西側の東側領事の間に来てるし、ちょっと相談してくるよ。」
「どうぞ。吉報をお待ちしていますよ。」
鬼灯がそう答えると、お茶を淹れ始める戸賀崎を横目に、七草が部屋を出ていく。
「我々も野崎さんと相談したいですがね…」
「…野崎さんは、双子に恨みはあれど、協力はしないはず。」
「ですよねぇ。」
池澤は豊倉の答えに安堵する。
(私には夢占いに死は出なかった…しばらくは、攻めに転じたとてそれは生き残るということ…七草を取り込み、1人でも殺害できれば、相島に大きなアドバンテージを得れる…奴隷をうまく使い、ここは攻めに転じる時だろう。)
豊倉は策謀を練る。
「豊倉さん、池澤さん、ちょっとあちらの個室で...」
岩田が内緒話を持ち掛ける。
◎和都歴452年 3月25日 15時 置田村・神奈備 白石集会所 西側領主の間
「なんだ?」
個室へ移動した3人。池澤が用件を聞く。
「実は俺、これをいくつか持ってまして...」
岩田が聖釘が幾つか入った袋をジャラジャラと見せた。
「ー!」
「これで、超人になれますよ?」
岩田はケダモノの様にニヤリと笑う。
次回2026/3/1(日) 18:00~「第11章・34幕 権謀術数・豊倉派② ~慎重」を投稿予定です。
毎週(木)(日)18:00に投稿致しますので、御期待下さい。




