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ケダモノたちよ  作者: 船橋新太郎
第9章・四徒の行方は
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第9章・28幕 次の任務・赤島編⑧

今回の登場人物


■ ▢ ■ ▢


・赤島 猛 (あかしまたける)

野崎飛助に従い、一揆以前から兵士として活躍した男。蓮次と飛助に指名され、乙名に成り上がった。主に飛助の為に募兵や同士を集めている。酒と女にだらしなく、不道徳な男。赤島会たる野蛮組織を束ねる会長の顔を持つ。


・伊山 岬 (いやまみさき)

日輪の宿・波の新人女中。赤島に気に入られるも、悪い扱はされず、健全な関係で距離を保つ。


ーーー


〇傾奇衆


・八咫烏  (やたがらす)

若くして傾奇衆を束ねる頭目。漆黒の着流しに紫のバンダナを巻く、イケメン。目的の為には徹底的な勝率を考える冷徹さを持つ。


・獅子王 (ししおう)

極悪浪人集団・傾奇衆の一人。性格から何かと先陣を切る。蓄えた髭と丸顔がまさに獅子を彷彿させる。橙色の着流しが特徴的。


・山楝 (やまかがし)

傾奇衆の1人。人の絶望をこよなく愛する外道。黄色い着流しに赤と黒の斑模様という不気味な配色を好む。野次や毒を吐き相手のメンタルを砕くのが好き。


■ ▢ ■ ▢

赤島は具義屋姉妹を乗せた馬車で八俣へ、そして野崎に交渉するため、日輪へ移動する。

少しゆっくりしようと、宿屋・波でゆっくりするも、自分を知らない女中・伊山岬と出会う。

一方、料亭・伊佐で屯する浪人ら3人は、悪態をついていた。

そこへ都より流れ着いた無法集団・傾奇衆が、店に入ると、その3人の浪人と揉め始める。

どちらがこの地域の顔となるか、命を懸けようと言い出す傾奇衆。

勢いから3対1で獅子王と戦うも、浪人3人の内、2人は斬り殺される。

そして、最後の1人を獅子王が睨む。


「た…助けてくれ!雑用でもなんでもやる…!」

命乞いする最後の浪人。

「ふん…情けない。」

獅子王が鼻で笑う。

「いいだろう。オレ達はまだここの地域に疎い。この辺で七人泊まれそうな宿を探して案内しろ。」

「…わ、わかった。」

「お前、名前は?」

「岡崎…」

「わかった。探してこい。」

八咫烏がそういうと、岡崎は店を出ていった。

「アイツ逃げちまうんじゃないか?」

「肝を抜かれた男だ。逃げる勇気もないだろろう。」

山楝の話に応える八咫烏。

傾奇衆が浪人らの酒を奪って飲みながらニヤニヤ笑う。

「おい!新しいの早く持ってこいよ! へへへ…!」

山楝が店主の頭を叩き、背中を突き飛ばす。


◎和都歴452年 3月16日 19時 置田村・日輪 宿屋・波


「どうぞ、いつものお酒です。」

「すまぬ。」


⦅…ぃだ!泊ま…よな?⦆


赤島はいつもの通り酌をして貰うも、下からの騒ぎが気になる岬に気にかける。

「何だ?下が騒がしいが?」

「あ、いえ…」

「…」

「急に来て、七人泊めさせろというので、ちょっと揉めているみたいです。」

「…そうか…」

事情を知るも、赤島は自分が出ていくことに抵抗があった。身分がバレても面倒であるからだ。

ただ、岬を救ってあげたい気持ちも同時にあったが。


・玄関


「泊まらせないなら…」

岡崎は刀を抜く。

「ひ、ひぃ!わ、わか…わかりました!」

女将が腰を抜かして叫ぶ。

「そんな必要、ないよ?」

一人の娘が階段から降りて来ながら声をあげる。

「何ぃ?ガキは引っ込んでろ!」

「お前が出ていけば引っ込むさ。」

「ホントに斬り殺すぞ?」

「へぇ?秘八上・無月御両名の弟子、若紫茜に勝負を挑むと言うのか?」

若紫 茜(わかむらさきあかね)。神無月紅の弟子として、秘八上に尽くす側近。双子の妹、藍がいる。気が強い性格で、それなりの剣術を熟す。赤い小袖に紫の帯を締め、刀を差す。


「な、なんだぁ?」

岡崎は腰が引けながらも中段の構えを崩さない。

「覚悟は出来てるんだろうね?」

茜が刀に手を置くと斜に構える。

その様子を陰で見守る赤島と岬。

「あの娘は?」

「前に言った、もう一人の有名人の1人で…秘八上の有名な方みたいです。」

「…そうか。秘八上。」

そういうと赤島は部屋に戻る。

「あ、赤島さん…」

「あの娘は慣れているようだ。大丈夫だろう。」

「慣れて?はぁ…」


「く…くそぉ!!」

岡崎は斬りかかる。


ーキン!


茜は抜刀と共に岡崎の剣を弾く。


ーガッ! ドコ!


よろめく岡崎に、茜は峰打ちを入れ、蹴りを応酬する。

「グァハァ!!」

出口に転がる岡崎。

「出て行きな!」

「こ…このぉ!八咫烏に言ったらテメェ生きてられねぇぞ?」

「ヤタガラス?」

「へ!まぁこの宿を案内すれば来てくれるだろう。テメェの命、幾ばくも無いぞ!」

そう言って岡崎は去っていく。

「…なんだ?ヤタガラスって…」

茜は一言こぼすと、納刀する。


「岬? すまないが明日、ここを発つ。勘定を頼む。」

「え?わ、わかりました。こんなことになってゆっくり出来ませんよね…」

「いや、お陰で大事なことを思い出してな。釣りはいらない。」

そう言って赤島は金を10枚も包んで渡すと、部屋へ戻った。

次回2025/9/11(木) 18:00~「第9章・29幕 次の任務・赤島編⑨」を配信予定です。

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― 新着の感想 ―
お酒飲んで騒いで、最悪ですね。茜も強そうですね。
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