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ケダモノたちよ  作者: 船橋新太郎
第1章・学童会長選挙
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第1章・7幕 学童会長選挙開始~②

今回の登場人物


■ ▢ ■ ▢


・伊集院 千毬 (いじゅういんちまり)

  伊集院家の令嬢。他の学童とは一線を画す貴族のような出立と、大きな瞳ながらどこか冷たい表情をもつ。常に腹に一物を置くような一筋縄ではいかない性格。


・霧隠 玄 (きりがくれげん)

  蓮太らの同期。飄々とした性格で、暗殺が得意の忍者志望。千毬とは付かず離れずの仲。妙に多面性を持ち合わせる不気味な性格。



■ ▢ ■ ▢

守役主の森 幸兵衛に約束をつけた千毬は、ほぼ学童会長としての地位を固めたようなものとなった。

「あとは置田君の学童会主を不動のものにすれば、完璧ね。」

「学童会主の立候補って、蓮太と誰なんだっけ?」

霧隠が疑問を口にする。

「結構いるみたい。羽黒君と三ツ谷さんも出るみたいだけど。後は冴島君?彼が今は置田君と五分五分な人気よね。」

「冴島?冴島五郎か…」

冴島 五郎(さえじまごろう)。蓮太らの同期だが、住居区は南エリア、❝日輪(にちりん)❞の地からの往来の為、そこまで仲も親しくない。正義感が強く人道的だが応用の利かないところもある。

「彼は確かに優秀以上に、人としても蓮太と互角か、更に良い人かもしれないな。」

「そうね。良い人で取引にも応じなさそう。その材料もなさそうだけど。そうなると、私にとっては❝敵❞でしかないけどね。」

「そうか。ん?まさか始末しろというの?」

霧隠はニヤリと笑う。

「まさか。ただ、このまま四巴の戦いで、万が一、置田君が落選すると、私としては都合が悪い。」

「三ツ谷さんは兎も角、羽黒君には降りてもらうわ。事情を話して、書記になってもらえば更に盤石になるわ。」

「そうか。冴島は学童会主になっても孤立無援なわけか。」

「書記の立候補は多いけど、それこそ売名行為も多い。学童会主の立候補が下りてくれば、ほぼ確定よ。」

千毬は人差し指を口に当て、考えを話す。

「この分じゃ、この後の僕の出番はなさそうだね。千毬、頑張ってね。」

霧隠はそういうと去っていく。

「玄。」

「ん?」

「ありがとう。ここまで、貴方のお陰よ。」

「まだ当選したワケじゃないだろ。お礼はその後で。」

霧隠はそう言って闇夜に消えていった。




一方、羽黒宗助と三ツ谷華はそれぞれ、学童会主立候補に向けて準備をしていた。

そこに二人へ千毬から茶屋への招待状が届いた。


ー誰にも言わず、今日の帰宅後、一人で本置田の茶屋❝(よもぎ)❞まで来て。


「華ちゃん、どうしたの?」

虎太郎が華の表情に心配する。

「大丈夫。ちょっと今日は帰ったら用事があるから、虎太郎君も今日は蓮太君のトコを手伝ってあげて。」

三ツ谷 華(みつたにはな)。置田村の三大領主の一つでその娘。乙名になる男か、沙汰人に嫁ぐがせるつもりで親の英才教育は厳しい。本人は好きな人と一緒になれればそれでいいと考えている。自分が村を変えれるなら、それも考えてはいるようだが…村でも1番を争う美少女。


帰宅後、華は言われたまま、茶屋・蓬へ足を運んだ。

「あれ?華?」

「宗助君?あなたが手紙を?」

「手紙?君も?」

羽黒 宗助(はぐろそうすけ)麻一郎(あさいちろう)という兄が、一揆の際に行方知れずとなり、黛村に救出できるよう沙汰人になることを考えている。目標の為には多少の犠牲は対価として支払う、冷徹さもある。蓮太には度々、時には冷たくなるよう助言している。

「え?じゃ、誰が…」

「いらっしゃいませ。羽黒様と三ツ谷様ですね。奥でお待ちしているそうなので、御案内します。」

蓬は祖柄樫山では有名な茶屋。格式が高く、乙名が密談・会議で使うことがあるくらいだ。

「どうぞこちらです。」

二人は扉を開けて部屋に入る。


「羽黒君と三ツ谷さん。私も今着いたばかりで。さぁ、お座りになって。」

千毬が被衣(かつぎ)を取ると髪を整えて席に着く。

「綺麗な被衣だね。」

「ありがとう。三ツ谷さんも被衣はしないの?」

「今日は急いで来たので。」

華はそう答えながら席に着いた。

「ここのお茶は美味しいの。間もなく来るから少し嗜みません?」

千毬がお茶を誘いながら立っている宗助に席に着くよう手を伸ばす。

「確かに。ここのは美味しい。けど、今日はそんなにい時間ないんだ。」

「俺もだ。まず用件を聞こう。」

宗助が直球で言うと、席に着いた。

「そうね、わかったわ。お茶を愉しむのはその後でも良いかしら。」

千毬は茶屋番を所払いする。

「単刀直入に言うわ。お二人に学童会主の立候補を降りてほしいの。」


ー!?


次回2024/10/27(日) 18:00~「 第1章・8幕 学童会長選挙開始~③」を配信予定です。

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