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ケダモノたちよ  作者: 船橋新太郎
第9章・四徒の行方は
129/166

第9章・27幕 次の任務・赤島編⑦

今回の登場人物


■ ▢ ■ ▢


・獅子王 (ししおう)

極悪浪人集団・傾奇衆の一人。性格から何かと先陣を切る。蓄えた髭と丸顔がまさに獅子を彷彿させる。橙色の着流しが特徴的。


■ ▢ ■ ▢

赤島は具義屋姉妹を乗せた馬車で八俣へ、そして野崎に交渉するため、日輪へ移動する。

少しゆっくりしようと、宿屋・波でゆっくりするも、自分を知らない女中・伊山岬と出会う。

一方、料亭・伊佐で屯する浪人ら3人は、悪態をついていた。

そこへ都より流れ着いた無法集団・傾奇衆が、店に入ると、その3人の浪人と揉め始めることに…


「へぇ?挨拶が無くて済まなかったなぁ。ーで、お前さん、地元の奴か?」

「いや?2週間前に此処に着いてなぁ。」

「ほう…そりゃどうも。先輩かぁ?」

獅子王が、背後の仲間らと顔を合わせる。

「テメェらどっから来た?」

3人の浪人のもう一人が声をあげる。

「オレ達?そうか、前に居た場所は都だが、オレ達には故郷も名前も無いのさ。」

八咫烏(やたがらす)。若くして傾奇衆を束ねる頭目。漆黒の着流しに紫のバンダナを巻く、イケメン。目的の為には徹底的な勝率を考える冷徹さを持つ。

「何だと?名前もないだぁ?」

「ああ。それよりも、ここの土地で顔を利かせてるのはお前達しかいないのか?」

「今までは赤島って奴が野崎さんの下で細々とやってたらしいがな。そいつらも今や八俣に集結しているらしい。俺らは刑務長の福本さんに睨まれない程度に騒いでるだけさ。」

「…なるほどな。」

この置田村・日輪の力関係をそれとなく理解した八咫烏。

「わかったら、俺らの傘下に入ってから酒を頼むんだな。」

3人の浪人の内、立ち上がった男がそう言う。

「それならば、お前達に果たし状を申し込むまでだ。」

「何ぃ?」

八咫烏の言葉に驚く3人の浪人。

「怖いモン知らずも大概にしとけば良いものを!なら代表者タイマンで拳で勝負すっか?負けというまで撲殺だ。」

立ち上がっている浪人が声をあげる。

「さすが、最年長!ぶん殴って泣きっ面かかせてやれ!」

座り酒を飲む浪人も盛り上げながら叫ぶ。

「お前達、3人。全部だ。」

「あ?」

八咫烏の発言に唖然とする3人の浪人。

「3対1で良い。」

八咫烏が前に出ながら刀に手を伸ばすと、獅子王が八咫烏の前に出る。

「ここは俺が。」

「テメェ!リンチになりてってか?」

座っていた男も立ち上がり、腕を鳴らして前に出てくる。

「撲殺だ!」

もう一人も立ち上がってくる。

「果たし合いだ。拳なんて御茶らけたモンじゃサマにならねぇ。真剣でしょうぶだ。」

「その通り。」

獅子王の言葉を肯定する八咫烏。

「…な…何!?」

肝を冷やす3人の浪人。

「フハハハ…聞こえなかったのか?真剣だよ、命懸けようぜ?」

薄笑(うすらわらい)。傾奇衆の中でも古参。いつもニヤニヤして掴みどころがない。キレモノで、腕も立つことで重宝されている。水色に蒼と黄色の花柄の着流しが、派手さを象徴する。

「今更怖気つかれても、お前達も行き場に困るだろう?どうせ命を弄んできたんだ。ここらでその筋をしっかり見せてもらおうじゃないか。」

八咫烏が歩み寄り、3人の浪人が飲んでいた徳利に酒を注ぐ。

「お互い、価値のない命なんだ。」

八咫烏の言葉に、薄笑がニヤリと笑う。

「くそがぁ…」

「お前達の合図で初めていいぞ?」

獅子王が余裕で話す。

「クソが!」

「うおぉ!」

二人が一斉に獅子王に斬りかかる。


ーキンキン!


瞬間に二人の一太刀を弾く。


ーズバズバ! ドカ!


立ち上がっていた浪人を即座に2回斬りながら、反対の男を蹴り弾く。

「…う…」

蹴られた浪人は立ち上がるも、後ずさりする。

「何だよ?ビビってんじゃねぇよ!命懸けろよ!」

山楝(やまかがし)。傾奇衆の1人。人の絶望をこよなく愛する外道。黄色い着流しに赤と黒の斑模様という不気味な配色を好む。野次や毒を吐き相手のメンタルを砕くのが好き。


「く、くそぉぉぉ!!」


ーキン!ズバズバ!!


浪人の剣は一瞬で弾かれ、2太刀浴びせる。

「残るは?」

獅子王が、最後列から動かない浪人を睨む。

「…!!」

次回2025/9/7(日) 18:00~「第9章・28幕 次の任務・赤島編⑧」を配信予定です。

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― 新着の感想 ―
戦いはどうなるのでしょう。続きが楽しみです。
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