第9章・16幕 次の任務・蓮太編⑧樒編⑤
今回の登場人物
■ ▢ ■ ▢
・星 駿一郎 (ほし しゅんいちろう)
16歳。沙汰人の家系を継ぎつつも、代々防衛の兵士としての役割に就く真面目で武勇に優れる剣士。師・千宝堂守役の期待も受ける実力者。蓮太に武道の教えを説き、体術面で向上させた者の一人でもある。
ーーー
・竹達 鬼灯 (たけたつほおずき)
紫の七草の二。剣の達人で紫の実働部隊として活動し、無双をロマンに掲げる程の実力者。並外れた身体能力が、七草随一の戦闘員とも言われるほど。ザンバラ髪をポニーテールで纏め、浴衣一丁という女子力の無さ。
・遙 星薊 (はるかほしあざみ)
紫の七草の三。情報収集や毒針での暗殺を担当。汚い戦術や拷問を好む非道な女戦闘員。黒装束に外は黒、内は赤のマントを羽織る姿が蝙蝠を彷彿させる。
■ ▢ ■ ▢
赤島大和の横暴による赤島組。
星駿一郎と成島幸太が率いる蓮太救出部隊が赤島組前を通らざるを得ないとき、大和は緑川の再考案を撥ね退け、急襲を命令する。
それに気付いた駿一郎は、幸太に徒歩部隊を預け、森を抜けさせた。
大和もその徒歩部隊殲滅に、戦闘狂の鬼川を向かわせる。
兵士長には、駿一郎に和平を持ち掛け、殺すように指示。
駿一郎も馬車部隊を強行突破する準備をする中、鬼灯と星薊が助太刀に来る。
信用できない駿一郎だが、そうこうしている内に兵士長が駿一郎に対話を求めて辿り着く。
「戦闘の必要はなさそうだが。」
駿一郎が疑惑の目で2人を睨む。
「それこそ、どうだかね。」
鬼灯が微笑む。
「いやいや、彼方が部隊長さんかな?よろしく。」
兵士長が白旗を隣の兵士に預けると、駿一郎に近づいてくる。
「ああ、俺は本置田・救出部隊の長。星駿一郎という者ー」
ーキン!
「!!」
兵士長はいきなり隠し持っていた短刀で駿一郎に刺しかかるー
ーザシュ!
「!!」
「ぎゃぁぁぁぁ!!!」
その短刀が駿一郎に刺さるかの瞬間、兵士長が短刀を持つ腕が斬り落とされる。
「言ったろ?それこそ、どうだかねって。」
「お前ら…?」
その後すぐに兵士長を抑えつけ、刀を突き付ける星薊。
「お前らの作戦を言うなら殺さない、よね。」
「だ、誰が言うか!」
ーブス!
「グギャァァァ!!!」
星薊が躊躇いなく右足に短刀を刺す。
「次は左足。その次は左手も斬り落とす、よね。」
「・・・!」
顔を真っ赤にする兵士長。
ーブス!
「グウァァァァンン…!!」
星薊が直ぐに左足も短刀を刺す。
「どうせ死ぬ。頑張って痛さを味わうだけムダ、よね。」
ーベリ!
「はぐゴァf^・;:w3rg…!!」
星薊が左中指の爪を剥がす。
「メニューを変える、よね。」
「わ、わかった、止めてくれ。」
「じゃ、作戦話す、よね。」
「俺は奇襲を。森に逃げたそっちの部隊は別部隊が森を焼き払って、焙り出してきたところを惨殺ー」
ーザシュ!
星薊が首を切り落とす。
「まずいな。幸太を追わねば。」
「森の中?」
「すまないがー」
「アンタは馬車部隊を率いて突破する役目があるだろ?」
駿一郎の発言を分かった様に被せて言う鬼灯。
「・・・」
「そして強行突破もあの数相手じゃ厳しいだろう。」
鬼灯が星薊を見る。
「森の中の護衛は私がやる、よね。」
「うんうん、じゃ、本陣の兵士らを無双するのはウチだね。」
星薊と鬼灯が駿一郎に話すように分担する。
「森に火をつけられても徒歩部隊は全員救い、敵部隊は全滅させる、よね。」
そういって星薊は森に入っていった。
「さ、ウチらも行こうか。」
駿一郎を横目に前に進む鬼灯。
「まだ完全に信用したわけじゃない。」
駿一郎が背中越しにボソっと話す。
「そうかい。まぁ信用なんて結果的なものだからね。恋と同じで、好きになれって言って好きになれるものじゃない。」
二人は背中を向き合わせて話す。
「・・・」
「とはいえ、ウチの任務は今はアンタを救う事。信用してもらう、もらわないじゃないんでね。」
「黛の、紅蓮の意図が俺を救うとでも?」
「紅蓮様は関係ない。黛も色々あるんだよ。」
「ますます、信用できないが。」
そう言って振り返り、鬼灯に並ぶように立つ。
「ウチは言われたことを全うし、それを愉しむだけ。」
鬼灯は更に前に出る。
「まぁ、俺も似たようなものだ。」
駿一郎が納刀する。
「へぇ、気が合うね。」
鬼灯の前に、残りの兵士5人が刀を構えて待つー
ーザシュ!ザシュザシュ・・・!
も、まさに瞬間で5人斬り倒す鬼灯。
「これでウチのこと、少しは信じる気になったかな?」
鬼灯が駿一郎に微笑む。
次回2025/8/12(火) 18:00~「 第9章・17幕 次の任務・蓮太編⑨樒編⑥」を配信予定です。
※8/9(土)~8/17(日)はお盆休み・強化月間です。
期間中は毎日18:00に投稿致しますので、御期待下さい。




