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ケダモノたちよ  作者: 船橋新太郎
第9章・四徒の行方は
103/166

第9章・1幕 次の任務・蓮太編①

《注意!必ずお読みください!!》


9章をお読み頂く前に、下記の注意点をお読み下さい。


①9章は特殊な流れで物語が進行します。

蓮太、虎太郎、赤島、樒の4人の主人公のパートで毎回進行していきます。

クロスする回もあり、題名には主人公の名前で構成してありますので、特定の主人公の話は追って見返すことができます。


例)第9章・1幕 次の任務・蓮太編①  ←蓮太のみのストーリーを意味します。

  第9章・2幕 次の任務・蓮太編②・虎太郎編①  ←蓮太編の2話と同時に虎太郎編1話を意味します。


②『漢/OTOKO ~剣士・虎太郎 』は虎太郎編の前日譚となります。読了されていることを強くお奨めいたします。


また、最後に9章はこの物語の転換期ともなり、非常に長いストーリーとなります。

主人公の話を読み返しつつ、読了して頂ければ幸いです。

以上の点を踏まえ、改めて9章の幕開けとさせていただきます。


ーーー


今回の登場人物


■ ▢ ■ ▢


・置田 蓮太 (おきたれんた)

16歳。本編の主人公。置田村の創始者・置田蓮次と置田藤香の子。英雄の息子として、副統括となり、次期・乙名としての期待が高い。武勇の才にも長け、心身とも強靭に成長を遂げる。


・鈴谷 稲穂 (すずたにいなほ)

黛村の旧名・鈴谷村の元乙名・鈴谷与志夫の娘。蓮太の許嫁となり、蓮太に乙名になることを望んでいる。17歳に成長し、髪は更に伸ばし、大人びた服装になるも、蓮太への想いは変わらない。


・野崎 妖 (のざきあやかし)

乙名・野崎飛助の妹。蓮太のお抱え忍者。蓮太の許嫁である稲穂と、忍者としても才ある小夏を敵視する。対切創網タイツを纏うも、透けた下はビキニの様な紫の下着のみという大胆な服装も、その自信の現れである。


・剛堂 泰治 (ごうどうたいじ)

武道に精通し、足りない統治の心得を得るため乙名心得学科へ入門・卒業した。厳つい見た目に反し、高い分析力と判断力を持つ。数年の時を経て、小太刀の達人となり、忍術の心得も僅かに修得した。緑色の迷彩柄の忍び装束は異彩を放つ。


■ ▢ ■ ▢

双子に捕らわれた蓮太は、秘密の監獄『惟神(かんながら)収容所』にて拷問を受け続けるも、謎の忍者・砂榎 鳳(すなえあげは)に助けられる。が、その実は、蓮太に正体は隠しつつも生きていた小夏だった。

その成功の陰に暗躍する、謎の忍組織❝諜破浸暗❞。その影響により双子らの立場は危うくなるも、蓮太を逆に誘拐しに来た赤島は捕らわれの身となるが…?

そして、帰還した梓から奇妙な兵士の情報を受けた藤香は、梓に虎太郎と共に迦具夜への偵察を依頼する。


各々が『次の任務』に就き始める中、その後の展開は果たしてー




◎和都歴452年 3月14日 9時 置田村・祖柄樫の滝 秘密洞窟近く


釣り場を見つけ、魚を釣り上げた蓮太。

「流石!釣り名人!」

妖が蓮太の隣で大袈裟に言う。

「はは、じゃあ、妖の分も釣り上げて見せるよ。」

そういうと、釣り針を投げて、もう一度魚と格闘する姿勢を見せる。

そんな蓮太の横顔を見て、どこか微笑む妖。


(置田蓮太…この男が神話の起源に選ばれた男というなら、私は…)

見つめる妖に気が付くと、蓮太が振り返る。

「どうした?」

「え?いえ、楽しそうだなと。」

「監禁されていたからだろ。そりゃ今じゃ何でも楽しいさ。」

「・・・」

蓮太が釣りに夢中になり始め、話は続く。

「魚釣りも改めてやればこんなに楽しいし、今度は山菜摘みにでも出かけるかな。」

蓮太が軽い口調で話す。

「駿一郎と虎太郎の稽古、東雲(しののめ)の試練、厳しかったが、それが俺を助けた。今じゃ笑い話だ。稲穂には畑で野菜を収穫させられていたな。彼女は元気だろうか?今じゃそれさえも楽しめそうだ。あ、そうだ、小夏ともー」


ーギュッ


「あ、妖?」

「私とも、楽しめませんか?」

妖が抱き締めてきた。

「!」

「私だって、蓮太様の掛け替えのない思い出になりたい…」

強く抱きしめ、耳元で吐息を交えて囁く妖。

「寂しいです、私。」

「・・・」

蓮太が両腕を取り、目を見つめる。

「これも、任務なのか?」

「…はい。」

蓮太が目を見て首を傾げる。

「いえ…うふふ、置田蓮太。敵わないわね。そうあって欲しい…そう思っただけ。」

「君は優秀な俺の忍者だ。ある意味で掛け替えのない存在だし、傍に居てもらわないと困る。寂しがることはないだろう。」

「…そうね。そう。」

「よし、洞窟に戻ろう。妖も疲れただろう?」

そう言って蓮太が移動する。


(ずるい…でも、災厄と戦争と、重なり続ける可能性が高いこの先の未来の中で、私が蓮太を守り抜くことで何時の日か私が彼の依り処となる可能性は十分にある…!)

妖も気持ちを決め、蓮太の後に続く。


◎和都歴452年 3月13日 19時 置田村・神奈備 鈴谷の館


小夏に続き、蓮太が行方不明と聞いた稲穂は取り乱すも一旦落ち着きの兆しをみせる。

とはいえ、動揺は隠せないまま、裏庭の縁側で、星空を眺めていた。


「蓮太…無事でいて。」

稲穂は無事を祈る事しかできない自分も許せない気持ちでいた。


ーガサッ


「え?何?」

暗闇の裏庭の茂みから物音がする。

「稲穂殿?」

「だ、誰?」

「シッ!剛堂です。」

「剛堂君?蓮太と一緒だったんじゃ?」

「話は後。宜しければ今直ぐ蓮太を探しに行きましょう。少し遠い場所となりますが…」

「え?でも…?」

稲穂は館の中を振り返る。

「行くなら今しかありません。離れた場所に馬を止めてあります。遠回りであれば悪路を回避し、馬で蓮太の居るだろう場所へ行けるかと思います。如何しますか?」

「え…蓮太…」

稲穂は立ち上がった。

「ちょっと待ってて。」

稲穂は部屋に行き暫くすると兎の首飾りをさげて戻ってきた。

「行きましょう!」

強い眼差しを見せる稲穂がそこに居た。

次回2025/6/29(日) 18:00~「第9章・2幕 次の任務・蓮太編②・虎太郎編①」を配信予定です。

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― 新着の感想 ―
妖まで女を見せましたね。稲穂は無事に蓮太に会えるのでしょうか?
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