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星と記憶のオルロージュ  作者: 翔ぶ唐揚げ
騎士予備学園編
7/27

休日

休日。


今日は皆で街の方に装備の新調を兼ねて出かける日だ。


同じ王都内と言っても、学園から街の商業施設が集まる区画まではかなり距離があるので

列車を使って最寄りの駅まで移動することになる。


「みんなはもう装備の目星はつけてるの?」

車内でライラが皆に尋ねる。


「あたしは大体決まってるかなー、セイ君と毎朝手合わせして色々気づいたしねー」

「えっ?毎朝?カトレア…ちょっと詳しく教えてくれない?」

カトレアさんがそんな風に答えるとライラが興味津々と言った感じだ。


「私は護身用の魔法具を中心に見て回ろうかと思ってます。」

「あら、実はわたくしも魔法具を見ようと思っていまして、良かったらミィナさんとご一緒しても?」

ティアナさんとミィナさんは一緒に見て回るらしい。


「……………」

ガルシア君…寝てる…、朝弱いもんね…。



「よーし、じゃあお昼頃にまたここに集合で!」

駅に到着し、それぞれの予定を話し合った結果、午前中は各自の目的を済ませた後

いったん集まってお昼を取ることになった。


「ガルシア君は何か決めてる?」

「…手頃な銃があると良い。」

僕はまだ何も決めていなかったのでガルシア君について色々見て回ることにした。


「銃かぁ、槍を使いながらだと片手で扱いやすいのが良いかもしれないね」

僕たちは何件か見て回りながら良さげなものを見繕う。


「偏に銃と言っても色んなのがあるんだねー。」

とにかく数が多い、そして、種類が想像以上にありガルシア君も結構悩んでいるみたいだ。


「…これにする」

「おぉ!」

熟考の末に納得の行くものを見つけられたみたいだ。


「…手続きしてくる。」

「じゃあ僕はもう少し他のお店を見てくるね。」

「…終わったら向かっておく。」

流石に大荷物になってしまうので寮に配送してもらうようだ、僕はその間にもう少し見て回ってから集合場所に向かうことにした。




「う~ん、武器選びって中々難しいなぁ」

数件巡ったが、これといったものは決まらなかった。


「皆にも相談してみようかな、無理に今日買わなくてもいいわけだし…あれ?」

そんなことを考えながら歩いているといつの間にか商業区画の端の方まで来ていたらしい、人気が少ない所まで来てしまった。


「この…!離しなさい!」

引き返そうと思った時、聞き覚えのある声が聞こえてきた。

咄嗟に声のした方向へ駆け出す。


(ティアナさんとミィナさん…!)

少し入り組んだ薄暗い路地で、二人が如何にも柄の悪い男達に組み伏せられていた。


「こんな事して…!ただで済むとお思いですの!?」

「嫌っ…!離して!」

くっ…!すぐに飛び出して行きたいけど、数が多い…!


「へっ!お高く留まるやがって!」

「その制服、お前ら学園の生徒だろ?街中で魔法はご法度だよなぁ?」

この二人ならこの程度のゴロツキ、魔法を使えば速攻で撃退できるのだが

街中での攻撃魔法の使用は禁止されている。学生の身分でそんなことしたら…。


「それに、この髪と目…お前魔族だろ?」

「くっ…離しなさい、この…!」

リーダー格っぽい男がティアナさんの髪を掴む。


(すぐに誰か呼ばないと…!でも…!)

下手に動けない僕は歯噛みしてしまう。


「いくら叫んでも無駄だぜ、誰が好き好んで面倒な魔族なんかの味方をするか…よ!」

「きゃあぁっ!」

男は強引に制服の上着を引っ張り、ティアナさんの胸元がはだけた。




それを見た瞬間、僕はスーッと意識が遠くなるのを感じた。




「…おい」

気づけば男たちに向かって、自分のものとは思えないほどの低い声を発していた。


「「セイさん!?」」

「あぁ?なんだこのガキ」

「その制服、この女どものお友達か?」

「ハハハッ!僕ちゃん?友達がいないとおうちに帰れないんでしゅかー?」

明らかに小柄でひ弱に見える少年が出張ったところでどうなるというんだろか。


「…」

無謀なのはわかっている、それでも僕は黙ってゆっくりと近づいていく。


「お前らガキを黙らせろ。」

男達が襲い掛かって来る。


そこからは無我夢中だった、懐に飛び込んで肘鉄をたたき込み身体を回転させながら蹴り飛ばす。

顔面を踏みつけて飛び上がり、体重の乗った蹴りをお見舞いする。

裏拳で頭を殴り、腹を蹴って壁に叩きつける。


「はぁっ…、はぁっ…二人とも…大丈夫…?」

我慢できず飛び出してしまったが何とかなったみたいだ。


「ありがとう…ございます…!」

「うっ…私、私…!」

服が破れてしまったティアナさんに上着を掛け、今にも泣き出しそうなミィナさんに手を貸す。

よっぽど怖かったのだろう、まだ小刻みに震えている…。


その時だった。


「このクソガキがぁぁぁっ!」

まだ意識があったらしい男の一人がこっちに駆け出してきた。


「うっ…!」

咄嗟に振り返った瞬間、腹部に熱い痛みが走る。

二人を庇うことはできたが、隠し持っていたナイフに刺されてしまった。


「あっはははは!邪魔するお前が悪いんだ!俺は…俺は悪くねぇ!」

男はナイフをその場に落としながら後ずさりし、そのまま走り去っていく。


二人が僕のことを叫んでいる。



その声も意識と共に段々と遠退いていく…。



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