評価
「あーあ、まさか負けるとは思わなかったなー。勝ったら次の休みにいっぱい奢って貰うつもりだったのにー。」
連携訓練と言う名の模擬戦が終わり、教室に戻るとライラがそんなことを言い出す。
「それにしてもセイさん凄いです…私こう見えてエルフなんですよ?魔法には結構自信あったのに…。」
そう言ってミィナさんは水色の髪を掻き分けて少し尖った耳を見せてくれる。
「ガルシア君のおかげだよ、剣に防御用の魔法を掛けてもらってたんだ。」
「…攻撃の向き、変えれる。」
ガルシア君が補足してくれた。
「あ、だからライラさんの雷撃が当たらなかったんですねー」
「うん、倒れてた時は流石に危なかったからね。僕は魔力が少ないから二回しか使えなくて…。」
「「「えっ?」」」
「えっ?」
「セイ君ってまだレベル1なんだよね?」
「そうだけど…。」
「はい、皆さん席に着いてくださいねー。」
そんな話をしているうちに先生が戻って来た。
「先程の連携訓練ですが、私だけでなく他の先生方や上級生にも見てもらっていました。今からその皆の評価を配っていくのでよく読んでくださいねー。」
おお!どんなことが書かれてるんだろう?
順番に評価の書かれた用紙が配られていく。
結構色々と書かれているらしく、みんな結構真剣に読んでるなー。
「はい、セイ君。」
「ありがとうございます!」
期待半分、不安半分といった感じで受け取る。
そこに書いてあったのは…。
教師A「すまん、見てなかった」
教師B「負けると思ってた…。」
教師C「寝てた」
生徒A「遠くてよく見えなかった」
生徒B「可愛い」
生徒C「速度、脚力を活かした戦い方が中心の様ですね、移動疎外の対策や防御策等を今の段階から検討しておくと攻め方の幅が広がります。また、視界が不明瞭な状況下で空中への回避または追撃は悪手です。反撃された場合も考慮した状況判断能力を鍛えましょう。」
いや、おかしいでしょ!
見てなかったって何!?先生なのに寝てたの!?せめて近くで見ててよ!?
というか一人全く関係ないこと書いてるよね?突っ込みどころ多すぎて混乱してきた…!
生徒Cさんしかちゃんと書いてくれてないじゃん!
「セイ君なんて書いてたのー?私は魔法だけに頼るなーって感じだったよー。」
「私は自衛手段を身に着けるようにって指摘されちゃいました…。」
心の中で抗議していると、ライラとミィナさんが話しかけてくる。
なるほど、二人ともしっかりした内容が書いてあったようだ。
「あっ…あはは、僕も同じ感じだよ」
「あ、そうだセイ君。次の休みにちょっと武器とか見てみたいんだけど。」
「それなら私もご一緒していいですか?防御用の魔法具とか見てみたくて」
あれ…?休みの予定が勝手に決まってる?
「あら、ライラさん達も装備を新調されるのですか?」
いつの間にかティアナさんが傍に来ていて話かけてくる。
さっき組んでいたペアの女の子も一緒だ。
「やっほー、ちゃんとお話するのは初めてだね!あたしはカトレア、獣人だよー。ちなみにそこのガルとは双子。」
ガルシア君を指差しながら、真っ赤な髪と尻尾を揺らしながら元気に挨拶してくれる。
身長は僕と同じぐらいだろうか、小柄で可愛らしい女の子だ。
というか…。
「ガルシア君と双子!?」
今日一番の衝撃だった。
結局、次の休みは6人で出掛けることになった。