地縛霊ポメラニアンを祓う!#1
オレは神妙な顔つきで言った。
「お心当たりは?」
女は答えた
「ペットのポメラニアンが死んでからで......」
ポメだと!?あの耳掻きのフワフワみたいな犬種が、怪異となって怪奇現象を起こしてるとでもいうのか。
女はオレの顔に目をやってから続けた。
「変ですよね。でも死んでから、よく遊んでいた二階の一室から......毎晩、音がするんです!」
女はオレの疑いを払うべく声を荒げて訴えた。
目の動き、取り乱したことに対して頭を下げたこと、全てを鑑みても彼女が嘘をついて演技をしているように思えない。これが演技だったら、今頃レッドカーペットの上だろう。
「分かりました。音以外の怪奇現象はどうですか?音だけだと、ネズミなどの可能性もありますし....」
オレの言葉を遮って、彼女は言った
「他には、勝手に物が落ちたり、受験生で夜まで勉強してる息子が云うには、うめき声が聞こえるなどです」
おいおい、受験生もポルターガイストの影響で落ちまうってオチかw。それにうめき声が出せる犬とか、サーカスかよ。
この依頼はパスだ。依頼にすぐ飛びつくのは二流だ【敵を知り己を知れば百戦危うからず】だ。
「私も忙しいので、お助けには数週間かかってしまう恐れがありますが、よろしいですか?早くして欲しいとのことなら、それなりにお金が掛かってしまいますし、深刻な霊問題を優先していますので」
と断りつつも、相手の出方をうかがった。
女は、カバンの中から厚みのある封筒を取り出して
「こちらは前金です。家族みんな困っていて、日を重ねる毎に酷くなりますので、宜しくお願いします。」
おいおい、相当な厚みじゃねーか。全部、諭吉かよ、百歩譲って樋口ちゃんでも多くねーか。
だが野口、お前は別だ....
中身は、20人くらいの諭吉君たちだった。
「それほどならば、わたくし神木 景、全身全霊で問題解決に努めます!」
力強く、目を見てそう宣言した。こんな宣誓は、テニスの地区大会の選手宣誓以来だ。ちなみに、初戦敗退(><)だった。
その後は、連絡先、住所、家族構成などを聞いたりして、3日後訪問するということになった。