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第5話 そうまとう

 先輩たちは、公園でも道を歩きながらでも、どこでもすぐに歌いだす。大半は聞いたことのない曲だったが、それでも時折、懐かしい歌も混じっている。


 そうらん節を聞くと、小学校の運動会を思い出す。あのころは、何もわからずひたすら動いてた。どんなに練習しても、筋肉痛になることもなかった。運動が得意ではなかったので、競争の類は、きらいだ。その点、ダンスなら優劣が目立たない。

「あの子、上手ね。」

 練習の際に見ていたPTA役員の親たちの声が時折聞こえていた。何気ない一言だったのだろうが、うれしかった。親にダンスのコツを尋ねたこともあった。

「いいか、腰を落とすときは、深く。腕だけでなく肩も使うんだ。楽をしようとしたら、うまくは見えないぞ。そして、もっとも大切なのは目線だ。網の先にたくさんの魚が見えるか?重い網だ。体ごと後ろに引かないともってかれるぞ。」

 中にはうさんくさいものもあったけど、色々なアドバイスをもらった。それにしても、ダンス経験のない父がどうしてあんなに詳しかったのだろう。


 浜辺の歌や、花など学校でなった歌を聞くと、当時のことが走馬灯のように蘇る。当時の連中とはまったく連絡をとってない。今度会うときは、成人式でだろう。

「知ってる歌があったら、パートを気にせず歌っていいんだぞ。」

 先輩達の言葉に、勇気を出して、声を出す。はじめは、周囲の目が気になったが、しだいに歌うことだけしか考えなくなった。

「歌って楽しいかも。」

 普段のパート練習はきつかったが、初めて心からそう思えた瞬間だった。

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