過去の風景
「ん? ネナお嬢様何をやっているのじゃ?」
珍しく紙に向かってペンを走らせるネナが気になって声をかけるゾンジィ。
「ん〜? 美術の課題〜」
「あー最近よく言っておるタルトとか言う教師の授業じゃな?」
ネナは最近タルトのことばっかり話している。
ほとんどはタルトの書いた絵に関する話なのでタルトがどんな人物かわからないゾンジィは少し警戒していた。
「そうだよ〜宿題でなんでもいいから絵を描かないといけないんだよ〜」
「ほぉ〜それは大変そうですな〜」
ゾンジィがネナの絵を見るとネナの紙にはスケルトンの絵が描かれていた。
「なかなかうまくかけておりますな!」
「ん〜でもなんか足りないんだよね〜」
普通ならこんな宿題はすぐに終わらせるネナだが今回はかなりこだわっているようだ。
「ふむ随分とこだわりますの〜」
「そうだね〜なんでかわかんないけど納得いくまでやってみたくて〜」
珍しくやる気に溢れているネナを見て感動して涙を浮かべるゾンジィ。
「ネナ様! わしにも手伝えることはありますかな!」
やる気に溢れるネナを手伝おうとするゾンジィ。
「ん〜じゃあ絵のモデルになって〜」
「わかりましたのじゃ!」
ネナの言ったポーズをとりながら絵を描いてもらうゾンジィ。
ネナはたい焼きを口にくわえながらペンを走らせている。
ある程度したところで絵に色を塗り始めるとしばらくして絵が完成した。
「できたよ〜!」
「おー! 見せてくれませぬか?」
「オッケ〜ほい! これが私の描いた絵〜」
ネナがゾンジィに絵を見せる。
そこにはゾンジィがとったポーズのスケルトンが描かれていた。
「……わしの絵はないのじゃ……」
「ごめんね〜今回はスケルトンで埋めるって決めてたから〜」
ネナは絵をもう一度絵を眺めると満足そうにしながらたい焼きを買いに行ってしまった。
「なんだか少しがっかりじゃが……ネナお嬢様のお役に立てたならそれでいいかの〜」
ゾンジィが絵の具や散乱したペンを片しているとネナの描いた絵に重なって隠れていた一枚の紙を見つけた。
「ん? これは……」
そこには夕焼け空の下で庭の手入れをしているゾンジィの姿が描かれていた。
ゾンジィはその絵を少しだけ見て嬉しそうにしながら片付けを続けた。
「……ネナお嬢様……ちゃんと覚えていたのじゃな……」
ゾンジィは片付けを終えるともう一度その絵を見た。
その絵にはゾンジィの他にももう1人、女性が一緒に庭の手入れをする様子が描かれていた。
「……」
ゾンジィはその絵に描かれた人物を見て懐かしさを感じながら部屋を後にするのだった。
それはもう二度と見ることができない夕焼けの光景
過ぎ去りし日々の1枚




