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ここはぼくらの秘密結社  作者: たかはしうたた
ここから始まるぼくらの秘密結社
30/38

焦げた穴

 ヒタキは走っていた。

 先ほどの無数のツルはサクサクと切り落とし、妖精達の後を追うつもりだった。

 だが、妖精達とこのトラップの相性が良いこともあり、探す手間に時間をかけるより、遺跡の発見を急ぐ方が効率的であると考えて行動方針を変える。

 もし本当に危険ならばペテクペルディから連絡がくるだろう。と状況を整理。

 以上の理由から、遺跡へと足を進めた。


 それも、ヒタキは先ほどから気になっていた。



「にお・・・い、強く・・・なって・・・る」


 わからないほど薄く香っていた臭い。そちらへ足を運んでいた。

 香っていたものが何なのか、それが分かる程強くなってくる。


「焦げ・・・た・・におい」


 だがこれは、焦げた物の臭いだ。最近の話ではない。

 燃やしたものを放置していたのだろうか。その残骸から発する匂いが風に運ばれてやってくる。気流もおかしい。

 吹き抜けるような追い風が背中を押す。風が滞留していない。木々の隙間を抜けるような風ではないことに、内心に疑問符を浮かべながら、匂いのする方へと走る。


「近い・・・」


 走る速度をあげる。

 大きく弧を描くように並び立つ木々の先に、匂いの元が見えてきた。


「おお・・きい、穴・・・」


 直径4メートルはありそうな穴が、木々の壁に、抉るように空いている。


「これ・・は・・・」


 穴の正面に辿り着き、足を止め観察する。

 くり抜かれた様な巨大な穴。だがそれがくり抜かれたものではない事は周りを見れば明白である。

  穴の周りは焦げ落ちた様に黒く変色し、その周りにも残骸なのか折られた大木がススに塗れて転がっている。

  その巨大な穴は一直線に、突き抜ける様に全ての木々をくり抜いている。


「すご・・・」


 地図を思い出すヒタキ。現在地と遺跡の方角を推察するに、穴が連なるこの先は遺跡の方角に真っ直ぐ伸びている。

  これは、遺跡まで一直線に貫かれていると考えるのが自然だろう。


「なるほ・・ど・・・」


 何を納得したのか、コクンと頷きヒタキはその穴から遺跡へと向かう。


「・・・?」


  くぐろうとするやいなや、周りに大量に巻き付いていたツルがこちらを伺う様に伸びて来た。トラップにはあれから触ってないはずだが…と思考を巡らす。

  先ほどのトラップに何かしらの仕掛けがあったのかと1人納得し、迫り来るツルの根元に向かい逆手に持った短刀で、根本から刈り取る。


「ぜん・・・ぶ・・・対お・・・う・・・する・・・」


 ヒタキは一直線に走り出す。

朝日はもう、上がりかけているだろう。

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