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ここはぼくらの秘密結社  作者: たかはしうたた
ここから始まるぼくらの秘密結社
28/38

地図は逆さにお弁当を持って…うん! もう忘れ物はない!

 最初に気づいたのはネイシーだった。


「あれー? メイニー。追っかけてきてないよ?」

「あれ? ほんとだー。ちぇ。なーんだつまんないのー。」


 後ろを振り返ったネイシーがツルがこちらまで追って来ていないことに気付き、激しくパタパタしていた羽を緩慢にする。


「せっかく面白かったのに、鬼ごっこもおわっちゃったー」

「「あーあ」」


 2人は肩で大きく落とし、ため息を付いた。

 そこで、メイニーが何かに気付く。落としていた肩を跳ね上げ、当たりを見回す。


「あっ!」

「どうしたの?メイニー」


   先程までとは違い静かな空気が広がる。

  見渡す限り生い茂る木々に、先程より多くのツルが巻き付き、空を横切るツルも密度を増す。


「ここ! どこだ!」

「むっ! どこだ!」


 2人は「ザッツライト君」が照らし出す小さな灯りを、キョロキョロと動かした。


「分かんない! どうしよう!」

「分かんないね! あ!」


 今度はネイシーが何かを思い出した様だ。

  背負っていたリュックをごそごそと漁る。


「じゃじゃーん!思い出した!地図!」

「そーだ!ペテクベルディに貰った地図があったね! これで安心だー!」


 2人はこれで何とかなると大喜び。

  早速地図を広げる。 ____上下逆さまに


「よし」っと掛け声をかけながら地図を開く。

 


「うむむむ」

「これは……手強い相手だねメイニー」

「大丈夫! あたしにまっかせておきなさい!」


 地図の見方も分からない2人は、地図を見ながらうんうんと唸るが、メイニーが強がり、「任せておけ」と胸を張ったので、ネイシーの目がパァーッと輝く。


「さっすがメイニーだね! すっごーい」

「あたしはメイデイ様に創られたのよ!あったりまえじゃない!」


 ネイシーもメイデイに創られた存在だが、そんなことに突っ込むものはここには居ない。残念ながら、突っ込み不在で話しが進む。

 もう一度地図を見て、キョロキョロと辺りを見回すメイニー。


「うーん、あたしが見た感じだと、だいたい地図のここら辺ね!」


 周りの景色から現在地を推測!

 景色を見ても分かるわけがないが第六感を働かせ、メイニーは自信満々にビシッと地図を指す。

  今は南に居る。指は地図の北側を指していた。

 

  ハズレである。


「なら、えーと。どこに行こうとしてるんだっけ?」

「うーーん。さあ?」


 話しをよく聞いていなかった2人は、目的地を思い出せない。


「うーん、えっと…あ! ほにゃらら遺跡だ!」


 やっと何とか思い出したメイニーはしてやったり、と言う顔だ。

  ネイシーも「そうだ!ほにゃららだ!」と思い出せたことが嬉しそうだ。が、正解ではない。△である。


「あたしが地図を見た限り……ほにゃららはここね」


 地図の中心に、大きく書いてある遺跡の絵を見て、メイニーはそう推測する。『空白の棲家』をビシッと指差す。

 

  当たりである。


「なら私は今ここに居るから…」


  北では無く、今は南に居る。

  ハズレである。


「なら、下に行けば良いのね!」


  ハズレである。


「流石メイニー! すっごーい!」

「あたしに任せておっきなさーい!」


 キャッキャと楽しそうに話す2人は、自分たちが言っていた南…ではなく、北に歩き始めた。

  なんと、当たりである。

  奇跡的に正解ルートを当てた2人、地図は地図の役目を成し得なかったが、結果オーライだ。


「あ!」


  またもや何かを思い出したメイニー。

 

「どうしたの?メイニー」

「すっかり忘れてたけど、そう言えばお弁当にサンドイッチ作ってもらってたね!」

「ほんとだー! 食べながら行こーよ」

「見てみて! たまごサンド! あ! トマトのもあるー!」

「いっぱいあるー! おいしそー!」


 リュックをガサゴソと漁り、サンドイッチを取り出した2人はお弁当を片手にわいわい楽しそうだ。

  ふいにネイシーが足を止める。


「うーん。なんか忘れている様な…」

「ほらネイシー! 何してるのー? 置いていっちゃうわよー!」

「今いくー、待ってメイニー」


  何かを思い出しかけて足を止めていたネイシー。声がかかり心に引っかかていた何かをすっかり霧散させ、慌ててメイニーの後を追いかけた。

 2人の迷子は、奇跡的に選んだ遺跡の方角へと進んでいくのだった。



 ____ヒタキの存在を忘れたまま。

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