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ここはぼくらの秘密結社  作者: たかはしうたた
ここから始まるぼくらの秘密結社
20/38

心配だから、つい…

『空白の棲家』近くへと転移したヒタキとメイニーネイシー。


 どうやらここは見晴らしのいい丘といったところで、辺りには何もない。丘の先端付近までテクテクと移動するヒタキと、ふわふわとヒタキについて行く妖精達。

 雲が疎らにかかった空の切れ間から月明かりが差す。思った以上に明るい月明かりが目の前の風景を照らした。


「こ・・こが・・・時計の・・・も・・・り」


  月明かりに照らされた壮大な森を眺める。

  小高い丘の上からでは全容を把握出来ないほど見渡す限り広がる、通称『時計の森』


「メイニー・・・ネイシー・・・いく・・?」

「もっちろん!遺跡をみつけるぞー!」

「おたから探しにれっつらごー!」


 そう言い3人は、テクテクふわふわと時計の森内部に入っていった。




 〜〜〜〜〜〜〜〜〜




 ヒタキは考え事をしていた。

  いくら実力を付けてきたとは言え、ジルはまだ創られたばかり。

 力を十全に発揮するどころか本来の能力の1割も使いこなせていない。

 そんなジルがオッドと、非戦闘員であるオッドとダンジョンに向かった事が心配で気がそぞろであった。


 ____ジル・・・だいじょ・・・ぶ・・かな・・・?


 前髪に隠れて目が見えないが、心ここにあらずといった具合だ。

  だが、そんなヒタキにペテクベルディは矢継ぎはやに語りかける。


「綺麗な円形を成しているこの森の中心に『空白の棲家』があると記録されております。踏破した者の手記によると、「正解ルートは右回り」とのこと。踏破者は数パーティ。いずれも世界に名を残す者や、名を馳せた者です。冒険王や英雄、おとぎの話しになりつつある、古代の猛者たち。最近ではあの魔王も……失礼。元、ですね。

  規格外である彼らの戦闘記録など大して役には立たないでしょう。事実、「難攻不落だと言うから期待したが、期待はずれだった。つまらない時間を過ごした」と、元魔王は手記の最後に締めくくる様に、書いておりました」


 _____オッド・・・と喧嘩・・・し・・てなきゃ・・・いいけ・・・・ど・・・


「 彼基準で「簡単すぎる」なら私たちでは「普通、だが何かがあるといけないので細心の注意を払うべきだろう」と言った所でしょうか。なので気は抜かない様に、お願いいたします。

  彼らは遺跡にあまり興味がなかったようで、難攻不落と謳われた『時計の森』を攻略すると、遺跡に関しては観光程度で見て回っただけなようです。流石、実力と共に変わり者としても同時に名を残した者達は違いますね」


 ____しんぱ・・・・い・・・だな・・・


「 手記にも「古い建物が並んでた。見ていても面白いものではなかった」程度の事しか書かれていなかったので、遺跡は手付かずの可能性が高いです。その遺跡内部に、もしかしたら今だ見ぬ何か、があるかもしれませんので、お気を付け下さい。ヒタキ様」


 ____お・・弁当・・・持っ・・た・・・かな・・・?


「話を戻します。さながら中心の遺跡を守るように円上に生い茂る森。その迷宮の様な森の正解ルートが右回りとの事で『時計の森』と名付けられました……が、名前ほど生易しい森ではございません。星の数程の人間がここへ挑戦し、帰ってきたものがたった数パーティという事ですから。勿論こちらも警戒して然るべきでございます。天然のトラップや、遺跡を守っていたトラップが今でも稼働しているとの事です。そちらにも充分注意をお願い致します」


 ハッと意識を浮上させるヒタキ。ぐいっぐいっとこちらに近づいてくるスライムが見えたからだ。

  顔が近い、ドアップだ。


「気を引き締めてくださいヒタキ様。メイニー様ネイシー様には言えませんが…貴方だけが頼りなんですから」


  何の話しか分からないがコクコクと頷くヒタキ。

  何かしらの圧力がヤバい。

 

「分かっていただけた様で何よりです」


 ___スッと身を引くスライム。

 ___ホッと息をつくヒタキ。


「さて、以上です。残念ながら詳細なマップは手に入っておりません。踏破したもの達の記録から私が書き上げた地図はありますが、あまり期待はしないでください。が、ヒタキ様方なら大丈夫でしょう。何か質問は御座いますか?」


 ふるふるとヒタキは首をふる。


  まさか話を全く聞いてなかったとは言えず「質問?もちろん無いっす!」と言いたげに親指を立てる。

  場面だ、場面。何とかなるさと自分に言い聞かせて。


「あ、言い忘れておりました。最後に、メイニー様ネイシー様から絶対目を離さないでくださいね。いつ迷子になるか分かりません。一瞬でも目を離したら消えてしまう陽炎のようなものだと思いください」


 コクリ


「絶対に! ぜっっっっっったいに目を離しちゃダメですからね?」


  如何にもフラグを立てそうな事を言ってしまったペテクベルディに、ヒタキは「任せろ」と言わんばかりにコクリと頷く。

  ペテクベルディは、立てたフラグに気付かず「信用してます。お願いしますね」と言葉を続ける。

 もう遅いペテクベルディ。キミのせいで未来は確定してしまったのだ……。



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