観客は舞台役者に説教をする。尚さら話は進まず
「え〜俺が招集をかけてからお前らが集まるまで、2時間と47分かかりました」
どこから取り出して来たのか教卓に手を付き、メガネをクイっとしながら状況を整理するように話し始める。
「ふむ」
「メイデイ様申し訳ありませんごめんなさい〜。嫌わないで〜」
「メイデイ様おこってる?」
「メイデイ様ふきげん?」
「ふん、知るかバーカ謝れ」
「こ・・ら・・・ジル・・・」
「大変申し訳ございませんマスター。私が付いていながら」
皆が皆ある程度も反省の色をもって、謝罪を口にしたり、機嫌を伺う。
怪我をクリシュに治して貰ったジルだけが不貞腐れて口を開いたが、ヒタキがそれを注意している。
「さ!ら!に!集まってからみんなが静かになるのに、53分かかりました!」
何処からか引っ張ってきた教卓をバンッと叩く
「いつまで私語がやまないかって!ヒヤヒヤしてました!」
バンバンバンバンっと教卓を叩く!叩く叩く!
集まり遅いことに凹み、やっと来た!と喜び。だが、自分を覗いたメンバーで盛り上がり・・・
ハッキリ言おう。メイデイは拗ねている
「俺が!どれだけ!待って!」
バン!バン!バン!
「お前らが!楽しそうに話すのを!!どれだけ!!!眺めていたか!!」
バン!バンバン!
言葉の合間合間に教卓を叩きながら、力強く話す!
寂しかったんだぞ!と、彼は話す。
「メイデイ様ごめんなさ〜い!もうメイデイ様を無視したりしないから〜、だから機嫌を直してよ〜。」
「ふむ、すまぬ」
「メイデイ様ゆるして〜」
「メイデイ様ごめんなさ〜い」
「メイデイの旦那!すまねーっす!ほら見て?俺頭下げると体曲がらねーから身体ごと持ってかれんの。寝っ転がってる様に見えるだろ?ほら」
「ケッ。大人の癖に情けねー」
「主じ・・・ん・・・申し訳・・・な・・・い」
皆が口々に謝罪を述べる。怒ってる内容を鑑みて、みな主人の心情を察したのだろう。慰めに入る。
なぜなら彼は拗ねて後ろを向いてしまったから。
何故かペテクベルディも落ち込んでいる。分体を制御出来ずにこの様な事態になった事を恥じていたのだ。
「分体に力を注ぎすぎました……自我まで芽生えてきている……」
みなその様子を見てはいたが、心の中で「御愁傷様」とだけ呟き、とりあえず今はメイデイのご機嫌とりが先決だとばかりに言葉を紡ぐ。
「私たち、メイデイ様が大好きですよ?この化粧もメイデイ様に見て欲しくて頑張ったんだから」
「ん?その化粧はみなを笑わせるためでは無かったのか?っと、まあ、そうだ。主よ。お主の声だから皆集まったのだぞ。」
「メイデイ様に会えてうれし〜」
「メイデイ様にあえてしあわせ〜」
皆口々にそう言い始めると、後ろを向いていたメイデイの背中がピクッと動く。どうやら反応しているようだ。
「ほ、ほんと?」
「ほんとほんと!ほんとですよメイデイ様!みんなあなたが大好きです!」
「メイ二ーもメイデイ様大好きー!」
「ネイシーも!」
「「いっぱいお話ししよー!」」
「コクコク」
「バーカ」
「おいジル、少し黙れ。」
「俺の土下座って人より低いじゃん?つまりはそうゆう事よ。」
オッドは何が言いたいか分からないが、つまりはそうゆうことである。メイデイ様大好きだと持ち上げるクリシュとメイニーネイシー
そのお陰か「いやーそんな言われると逆に照れるなー、もうやめてくれようっ」と満更でもない感じのメイデイ。
上機嫌である。
「あ、あほくせー」
ジルはそれを死んだ目で見つめていた。
1人、会話に混ざらず腕を組みながら顎に手を当てて、「あれ?今日こういう集まりだっけ?」と思案顔のフェスパイアがふと疑問を口に出す。
「ふむ、それはそうと、何か緊急の事態では無かったのか?」
その声に皆が一斉にフェスパイアを見る。驚きを隠せていない。
完全に皆、忘れていたのだ。
目的を。
「「「「「・・・・・アッ」」」」」




