40億年の時間を測る砂時計のお話
使用したお題『海月』『登場人物が泣く(最低一人)』『秘密』『宇宙人』『砂時計』
さて、ここに一つの砂時計があります。
上側に砂を持ってくると、細いネックの部分を少しずつ砂が落ちていき、砂が全部落ち切ったとき一定時間が経過したことがわかる。そういう道具です。
そして落ち切った砂時計は、上下を逆にひっくり返して再度使います。これでまた1からやり直し。全く同じ一定時間が経過したとき、その砂は全部下に落ち切っています。
上から下、下から上へと交互に測れば、2倍の時間を測ることができますね。
ところでここに一つの惑星があります。他の数多の星とは違い、緑と青が鮮やかな世にも珍しい惑星です。とても綺麗で美しい光景ですね。
約20億年ほど昔の話です。あるとき一つの落雷が海に落ちたことにより、なんとも奇妙な個体が発生しました。もっとも原始的な単細胞生物です。
この生命と呼ぶのも躊躇われるほどシンプルな生き物は徐々に数を増やし、この青い海を埋め尽くしていきました。
この単細胞生物はただ数が増えるだけでなく、気が付くとその形式が変化していきました。
原核生物がバクテリアに、バクテリアがクラゲに、クラゲが小魚になり陸に上がった生き物はトカゲ、ヘビ、恐竜と進化していきました。
もうここら辺の変化は激しすぎて、私からはよくわかりません。だってたったの2,3億年の間の出来事だったんですよ?
そして今、地球上はありとあらゆる生命に溢れています。凄いですよね、過去最高です。本当にたくさん生き物が溢れています。
だからそろそろ、この砂時計をひっくり返させていただきますね。
え、だから言ったじゃないですか。たくさん砂が下に落ちた砂時計は、再び時間を測り直すときはひっくり返すって。
落雷を起こしたり温度調整したりとても大変でした。でも、この地上にたくさんの生命が溢れたので、もういいかなって思ったのです。だから逆転させますね。
泣かないでください、ニンゲンさん。あなたが寿命で死ぬまではそんなに大きな変化はありませんから。
ただここから先、生き物はどんどん退化していきます。恐竜からヘビ、トカゲ、小魚、クラゲ、バクテリア、原核生物。最後に全部いなくなるまで遡らせていただきます。
まあ私はただの地球外生命体なのですが、あなたから見たら神様みたいなものだと思っていただければわかりやすいと思いますよ。寿命もあなたの何億倍もありますしね。
ちょっと40億年分の時間を測りたかったから、この地球に生命を作ってみたんです。今ちょうど半分なので折り返し地点ですね。
地球から生命がいなくなったら私の計測したかった時間通りになります。なのでまあ、色々諦めてください。
だってほら、砂時計って時間を測るためにあるものですからね。