チートホームランバッター
使用したお題:『謝罪』『ポッキー』『透明感』『メジャー』『冬空』
カキーン。
透明感のある金属音がグラウンドで鳴り響いた。冬空は乾燥しているせいか、その音はどこまでも遠くまで響いていった。
「すまんな……」
オレは素直に謝った。彼らには秘密にしていたことがあった。そのとんでもない秘密を打ち明けた。
「オレ、実はチートスキルを持っていてな。どんなボールでもホームラン打てるんだ。それこそメジャー級リーガーの豪速ストレートでも、余裕でホームランになっちゃうんだ……」
フッ、とオレはニヒルに笑う。この力のせいで、オレはまともに野球ができない。下手にバッターボックスに立ったら、誰もがオレを敬遠してしまうだろうからだ。
こんなチート能力を持ってるオレと勝負させてしまうなんて、相手チームのピッチャーに申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
「せっかくの部活対抗試合なのにこんなつまらない結果になってしまって、すまんな……」
「……まあそれはそれとして、こっちもすまんな」
オレが2度謝ると、相手チームの監督も謝ってきた。なぜ謝ってくるのか理由がわからない。オレは怪訝な表情をして相手チームの監督の顔を見た。
監督の顔は、オレ以上に渋い顔をしていた。
「その、悪いんだけどさ、バット以外の道具で球打つの反則だから。君たちのチームの負けだから」
監督は僕が手に持っているポッキーを指さして、そういった。
「というかなんでそんなの使っちゃったの? いや、そんなものでホームラン打てた事自体はすごいと思うんだけど」
「いや、良いハンデになるかなーって。やっぱダメだった?」
「ダメだねぇ」
「ダメかぁ……」
オレは先程ボールを打ったばかりのポッキーを齧って頭を掻いた。
いくらチート能力があっても、試合のルールには勝てなかったよ……。




