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5ch「安価・お題で短編小説を書こう」スレで自分が書いた奴  作者: 友人B
お題:『最強』『乗り物を登場させる』『そんな馬鹿な!』『裸』『プール』『全力』より三つを選択
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夏が始まる

使用したお題:『最強』『そんな馬鹿な!』『プール』

 最強のプールとは何か。夏が近づいてくるにつれて水が恋しくなってくる今日この頃、太陽より熱い男子学生どもの議論が白熱していた。


「遊ぶ設備がたくさんあるプールが最強だ」


 角刈りが曰く、ただ泳いでいるだけでは詰まらない、とのことだ。

 ウォータースライダー、流れるプール、波のプールにウォーターゲーム広場。遊ぶ要素の多いプールこそ一番だというのだ。

 ただ水に浸かってるだけで楽しめた若かりし頃とは違う、そう言う意味だった。


「いいや、近場で安上がり、これこそが最強だ」


 茶髪曰く、プールで遊ぶこと自体二の次、とのことだ。

 プールは避暑地としての役割が徹底していればいい。あとは一緒に来る者との間でなんだかんだで楽しめる。

 それに、一人で来たとしても問題ない。むしろその方が楽しめることもある、という意見だった。性欲を持て余した男子学生が何を楽しむかなんて推して知るべしである。


「それも違う、立地条件こそ最も考慮すべき案件だ。つまり、あのプールが最強だ」


 メガネ曰く、プールそれ自体に着目するのは視野が狭い、とのことだ。

 インスタ映えなんて言葉もあるご時世だ、プールの見映えはかなり重要事項だろう。マンション街のど真ん中にあるプールより、山羽に埋もれた大自然の中のプールの方が景色が良い。

 それに立地条件が良い場所にはどんな客が来ると期待できるかを考えてみろと言われ、納得する。下半身に支配された男子学生が何を期待するかなんて推して知るべしである。


 喧々諤々の議論が行われているときに、今まで黙っていた丸坊主がふいに手を挙げた。丸坊主曰く。


「みんな、甘い。遊び場所の多さなど語るに及ばず、立地条件もプールでの楽しみには関係ない。値段の安さなど得られるものが少なければ安物買いの銭失いとなる。一番最強のプール、それは温泉だ」


「そんな馬鹿な! プールの話だぞ?」


「いきなり何を言いだすんだ、お前。気でも違ったか?」


「温泉は嫌いじゃないけど、夏にいくもんじゃねーだろ」


 口ぐちに非難する角刈りと茶髪とメガネ。だが不敵に笑った丸坊主は再度「甘い」と断じる。


「良く考えてみろ。遊び場所が多いということは親子連れが多いということだ。よくよく日を選ばないと混雑が予想されてまともに楽しめないだろう。立地条件に関しては一考に値するが、そういうところはセキュリティが高い。また安上がりの市民プールになんて年頃の女性は来たがらない。違うか?」


 丸坊主の言葉に三人は「うっ」と呻く。彼らが口ごもったのを確認し、温泉の良いところを言い募った。


「確かに、温泉は夏に行くところではない。だが、だからこそ夏場の温泉は格安ツアーが多い。我々の貧弱な財政でも比較的安易に行ける。そして夏の暑さのせいで温泉の人気が陰るからこそ、それ以外のサービスが多く、それを目当てにする女性客が多いと聞く。しかも子供はそれこそプールに行くし、老婆は暑気払いに涼しい場所へ行きたがる。となると、温泉に向かう客層はおのずと絞り込める。違うか?」


「な、なるほど」「確かに……」「そうかもしれない……」


 疑いの眼差しだった三人に納得の表情を浮かべると同時に、丸坊主が爆弾を落とした。


「ちなみに、僕の知り合いに温泉宿をやっている者がいてね」


「なんだと!?」


「昔から良くお世話になってる温泉宿で、見た目も古風な素敵なところだ。そして何度も行ってるからこそ立地や周辺の地形は把握している。また監視カメラの場所も知っている。で、一番のメリットなのだが……毎年、どこぞの女子大生が部活動の夏合宿で毎年利用しているらしい。美人揃いで有名な女子大なのだが……興味はないか?」


 三人は立ち上がり手を中央へ伸ばす。三人の手が重なったところに、最後立ち上がった丸坊主が手を乗せた。


「よし、みんな夏の予定を合わせるぞ。今年の夏は、温泉だ!」


「おお!!」


 こうしてゲスな願いと男のロマンを叶えるために、男子学生4人組が行動を開始した。暑い夏の始まりである。



 ……余談だが、地形を把握していたとはいえ覗き対策はバッチリされていたため、彼らの望みは叶うことはなかった。

 わずかとはいえ確実な収入にホクホク顔の温泉宿の女将さんと、その女将さんからお小遣いを貰った丸坊主以外は。

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