まあまあ落ち着いて
使用したお題:『忍者』『博打』『エイプリルフール』『巨大または極小』『サービス』
二人の女が言い争っていました。
「なによ、そんなペッタンコな胸のくせに! 後ろから見たら男か女かわからないわ!!」
片方の女は、それはそれは豊満な方でした。メロンかバスケットボールか赤ん坊でも仕舞いこんでるんじゃないかと思うくらいドデカいものをその胸部にくっつけていました。
擬音で表すとバインバインです。
「あなたこそその下品なものをどうにかしなさいよ! 見てるだけで息苦しくなってくるわ!!」
もう片方の女は、それはそれは平坦な方でした。まな板か絶壁かやすりがけした後の木材のように首から下には何もありませんでした。
擬音で表すとツルペターンです。
「苦しくなってくるって自分の情けないもののせいなんじゃないかしら? たしかに、ちょっと可哀そうになってくるくらい何もないからねぇ」
「余計なお世話よ。それに苦しくなってるってのはそんな無駄な贅肉をぶら下げて生きるのは大変そうだッテ思っただけよ! むしろそっちの方が可哀そうに思えるわ」
「ふふふ、同情してくれてありがとう。でも問題は何もないわよ? むしろ男性に注目されて困っちゃう方を同情してほしいわね。私サービス精神あるから、見せないわけにもいかないし。ああ、あなたには分からない感覚かしら?」
「だからあなたみたいな人は嫌いなのよ、破廉恥な。それに今でこそ優越感に浸ってられるでしょうけれど、歳をとったら悲惨よ。垂れるわ肩凝るわ一気に老けて見られるわ。それに比べて私はスレンダーなの。モデルだろうが女優だろうがクノイチだろうがなんでもござれよ」
「た、垂れるとか言わないでよ! 失礼な!! それに冗談はエイプリルフールだけにしたらどう? あなたみたいな女性らしさが全くない女なんて、特殊な性癖の人にしか好かれないじゃない。恋愛対象が変態かもしれないなんて博打な人生よね。結局、母性的な女の方が魅力的なのよ。それを忍者なんて今どきあり得ない物を持ち出すなんて、やはり貧しい人は貧しい発想しかないようね?」
「なによ!」
「そっちこそなによ!!」
二人の女はヒートアップしていきます。そしてそんな二人の間に、一人の好々爺然とした老人が割って入りました。
「まあまあ、二人とも落ち着いて。そんなお互いを貶しあうなんて悲しい事をしてくださるな。爺は見ていられませんですぞ」
二人の女は急に話しかけてきた老人に呆気にとられ、その話を聞いてしまいました。老人は穏やかに笑いながら二人を諭します。
「なに、胸の大きさなどどちらでも良いではないですか。巨乳は女性らしくて良い。貧乳はスラッと美しくて良い。どちらも素晴らしい個性で、どちらも素敵な女性の証です。あなたたちはどちらも素敵な女の人だと私は思いますよ?」
「え、ええ。ありがとうございます」
「そ、そうね。ちょっと言い過ぎたわ……」
二人の女は老人の優しい口調に絆されて、怒りを忘れました。そしてお互いに非を認めあいます。
老人はうんうんと頷きながら、最後に一言付け加えます。
「じゃあお互いわかりあえたところで、どちらの胸も良いものであることを確認しあいましょうか」
「え、どうやって確認するのですか?」
疑問の表情を浮かべるボインとペターンに向かって、老人は両手を胸元まで持ちあげました。嫌らしく動かしながら。
「一番手っ取り早い方法で、まずは触って確認しましょうぞ。では失礼して、この老骨がお二人のお胸を揉みしだいて差し上げま」
「ただのエロジジイじゃないか!!」
強烈なビンタの音が響いた。2回ほど。




