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5ch「安価・お題で短編小説を書こう」スレで自分が書いた奴  作者: 友人B
お題:『麦わら帽子』『四字熟語』『レーズンブレッド』『スマホゲーム』『青』
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世界を救え!

使用したお題:『麦わら帽子』『四字熟語』『レーズンブレッド』『スマホゲーム』『青』

 とあるバカげた噂がある作業系のスマホゲームをダラダラ延々やっていたら、本当に噂通り謎の美少女が画面から飛び出してきた。

 そして第一声も噂通りだった。曰く「異世界を救ってくれ」と。


 麦わら帽子みたいな幅広の帽子を被った美少女が必至の面持ちで、オレにすがりつくように懇願する。


「お願いします。異世界を悪の手から救うためには、あなたの力が必要なんです! 協力してください!!」


 美少女曰く、異世界に危機が迫っているらしい。オレの助けが必要だそうだ。

 なのでその美少女は初対面のオレに向かって帽子を取って頭を下げた。曰く「異世界では帽子を脱いで頭を下げる行為は最大限の懇願の証」だそうだ。オレは彼女の必死なその態度にこっそりニヤけてしまった。

 オレは上から目線になりそうな態度を頑張って抑えて、謙虚なフリをして頭を下げる美少女に言ってやる。


「わかった、オレが助けてあげ……」


「いたか! 日本全国が君の助けを必要としている! ぜひワシと一緒に来てくれ!」


 ドバンといきなり部屋の扉が開いたと思ったら、変な老人が飛び込んできた。僕は驚いて背後に倒れ、パソコンにぶつかる。当たり所が悪かったのか、画面がバグってブルースクリーンになってしまった。


 老人曰く、日本に危機が迫っているらしい。オレの助けが必要だそうだ。

 なので老人は初対面のオレに向かって惜しげもなく土下座を慣行した。言わずと知れた「日本の最大限の懇願の証」である。

 本来だったら年上である人間がオレに頭を下げているこの状況に戸惑いつつも優越感を覚えたところだったろうが、今は困惑しかなかった。


 まさかの世界の危機のダブルパンチ。そしてその救世主の勧誘のバッティング。


 戸惑うオレとさらに戸惑う美少女と老人。しかし混乱から立ち直るのは二人の方が早かった。

 どっちに行くか決めるのはオレ次第ということだからだろう。かくしてオレの薄暗く狭い室内で、大学のサークル勧誘もかくやという激しい勧誘合戦が始まった。


「お願いします! 異世界の戦線は今にも崩壊してしまうかもしれないのです! あなたの助けがないと、私たちは、私たちは!! どうか、どうかっ!!」


 美少女は鬼気迫る勢いでオレを異世界へと誘おうとする。帽子を外せば懇願になるとでも思ってるのか、何度も頭の上に帽子を載せては降ろしている。まるでくるみ割り人形のような動きだった。


「キミ! 日本に生きる国民ならば、みなで協力して国の危機に立ち向かうべきではないかね!? 活躍できれば君は一躍ヒーローになれるのだぞ! さあ、我々とともに偉大なる母国、日本を守ろう!!」


 老人は一見爽やかに見える笑顔で日本の英雄になろうと言ってくる。馴れ馴れしく肩に手を置き、まるでその先に未来が待っていると言わんばかりに締め切ったカーテンへ手を伸ばしていた。


 二人ともうるさいくらいの勢いでオレが必要だと訴えかけてくる。しかし混乱から立ち直ったオレはいろいろ疑問に思うことが出てきたので、まず老人にそれを聞いてみた。


「あの、日本の危機っておっしゃいますが、一体何が危機なんですか? 別に戦争が近いとかそんな話は聞かないですし……」


 また、戦争があったとしても一般人のオレが役に立つとは正直思えない。老人はいきなり質問されて「うっ」と呻いた。


「いや、その、き、キミの力が必要なのは本当なんだよ。ちょっと、その……謎の反政府組織が最近行動が酷くて、その対処として一斉検挙をしたいのだけれども人員が足りなくてな……」


 ものすごく答えづらそうに老人は答えた。どうやらヒーローだなんだと言っておいて、ただの裏方仕事を任せるつもりだったらしい。


 オレの気持ちが異世界側へとグラリと傾いた。美少女は期待した眼差しでこちらを見ている。

 しかし僕も美少女側にも疑問があったのだ。質問を直接ぶつけてみる。


「あの、異世界が危機っていうのはわかるんですけど、他にも日本人を誘ったのですか? なんかあなたの存在、結構ネットで有名なんですけど……」


 それにネットに書かれているということは断られたということだ。僕が詰問すると美少女は「うっ」と呻いた。


「その、異世界は魔法やレベルのある世界なので、だいたいみんな戦えちゃうんです。で、戦えちゃうからこそ、後方支援が不足気味で、前線が食料危機で飢えていたり、戦闘優先で戦地間の連絡が滞り気味だったりとピンチとなっていて……」


 ものすごく答えづらそうに美少女は答えた。どうやら英雄だなんだと言っておいて、ただの裏方仕事を任せるつもりだったらしい。


 つまり、どっちも頭数が欲しいだけでオレ個人はどうでもいいということだ。途端にオレはやる気がなくなった。


 部屋から出て行ってくれ、そう言われて美少女と老人は慌てたらしく、言い訳をしはじめる。


「し、しかしだな。君みたいな家に籠ってばかりのニー……フリーターにできることなど少ないのだ。だがこの仕事を手伝ってもらえば君の評価は鰻登りになるぞ。社会復帰も簡単だ!」


「わ、私も異世界から人を招くので、これでも人を選んでるんですよ? ……どうせ有能な人はこんな怪しい勧誘についてこないですし。一日中つまらない作業ゲーをやるほど暇なひ……集中力が長続きする方じゃないと後方支援なんてできないんです。お願いします、助けてください!!」


 訂正、言い訳を言ってるつもりだが言い訳になっていない。完全にオレを馬鹿にしてやがる。


 ……異世界や正義のヒーローになれれば、こんなオレだって自分に自信が持てたはずなのに。クソ、クソ。


 オレはもう完全にヤケになって、精一杯の強がりを言った。


「オレなんかを二人がかりで勧誘なんてしてないで、日本の不法滞在者を異世界に拉致ってけばいいんじゃないっすか? そうすりゃ日本は平和になるし、異世界人も力で押さえつければオレなんかより良い奴隷が出来上がるっしょ。一石二鳥じゃん」


「……なるほど、なかなかの妙案じゃな」


「……そ、その考えはありませんでした」


 先ほどまで唾まで飛ばしてオレに声をかけていた二人がピタリと止まった。

 そして何も言わずに目を合わせて一つ頷くと、僕に「すみません、用事を思い出しました」と言ってソソクサと帰って行ってしまった。




 その後、日本の政治が急に安定して経済が好調しだし、異世界から助けを呼ぶ美少女が現れなくなったと噂が流れ始めた。

 オレはそんなニュースをテレビやネットで流し見しながら、レーズンブレッドを食べて自室に閉じこもっていた。

なんか今回のお題むずいっす。綺麗に話に落とし込めねぇ orz

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