宝探しと一番の宝物
使用したお題;『楽譜』『フレンズ』『ずっしり』『秘宝』『ハート』
幼馴染からいきなり宝の地図を渡された。いくらなんでも突拍子がなさすぎるだろう、お前。高校生にもなってこんなことするなんて、バカかと。
「そんな寂しいこと言うなって。昔からの友達だろ? その地図のバッテンのついたところには秘宝が隠されてるんだ、ちゃんと見つけてくれたまえ」
何が秘宝だ、小学生じゃあるまいに。と最初はアホらしく思っていたのだけど、さすが付き合いが長いだけあった。僕の弱いところをよく知っている。
デジタルなゲームも好きだけど、こういうアナログな遊びもまた大好きなのだ。ましてや地図というのがなかなか巧妙で、山と海をカレーライスに見立てたり、圏央道を五線譜になぞらえて謎解きをさせたりと、なかなか遊び心をくすぐってくる。
最初は高校卒業間際の長年の友人からの気まぐれだからと嫌々宝探しに付き合ってやっていたが、気づいたら謎解きに夢中になっていた。途中から必死に頭を巡らして僕は宝の場所をなんとか探し当てることができた。一緒についてきた幼馴染に渾身のドヤ顔を見せつける。
ただ、ちょっとこの場所に違和感を覚えた。
なんで小学校なんだよ、僕らの。
「懐かしいじゃないかマイフレンズ。宝の場所も近いだろう。最後の謎は君に任せた。自力で解いてくれ」
そう言うと幼馴染は少し寂しそうな表情を浮かべて、夕暮れの中一人勝手に帰ってしまった。最後まで見届けないのか、と僕は何か拍子抜けの気持ちだった。
僕はもう帰ろうかとも思ったけれど、最後の謎というのが気になった。最後の謎まで解かないとアイツに馬鹿にされる気がしたし、それになぜか宝を見つけなきゃという義務感があった。
用務員さんにスコップを借り、宝の場所を掘り返してみる。するとそこには見覚えがある小汚い金属の箱があった。
これ……、タイムカプセルじゃん。うわ、懐かしい。
これは僕と幼馴染が埋めたタイムカプセルだった。こんなものがあったなんてすっかり忘れていた。僕は手が汚れるのも構わずにタイムカプセルを手に取った。妙にずっしりと重い。
少し気がとがめたけれど、ほんのちょっとだけ中身が気になった。自分が何を入れたか思い出したいし、アイツが何を入れたか勝手に見てやろうとも思ったのだ。人に謎掛けするだけしといて勝手に帰った罰だ。
開けると箱の中から……なぜか大量のトランプが出てきた。
うわ、なんだこれ? しかも全部赤? なんで全部赤のトランプばっかりなんだ?
箱の中にはトランプばかりがぎっしり入っていた。何セット分なのだろうか、その全部が赤色だった。
トランプの下に埋もれるように手紙が張り付けてあって「これが最後の謎だよ。君には意味がわかるかな?」と挑発的な文章が書いてあった。解けたら君のタイムカプセルの中身を返してやる、とも。
僕は大量のハートのトランプを見ながら、虚空に呟いた。
あのバカ女、一体何の意味があるっていうんだ、これ?
僕はしばらく考えて、考えて、考えて、ハッとして、ようやく答えを導き出すことができた。




