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沈む 太陽


そこへ



戦後直ぐに 大豆加工兼 豆腐屋の販売をしている

仕事場から 自転車に乗った 祖父が 実家へ帰宅




自転車に乗り 帰ってきた 祖父に気づく祖母



ハッと 胸が締め付けられる 2人



やぁ 元気だったかい と 言う 祖父に



戦後すぐ 裕福では、なかった時代に

似合わない服装していた祖母


あの時とは 見違えるほどの

服を着ていたので 誰か 分からなかったよ



照れている祖母


白いワンピースに 薄黄色のカーディガンを着て

白く大きな帽子を 被っている祖母


元気でした


あの時の 御礼をしたくて

引き揚げ船で 教えて貰った 住所を

親戚に 聞いて ここまで 来ました



家族の者に訳は 今から 話すから

ちょっと 上がっていきなよ と祖父が言う



でっ でも っと 照れながら


私なんかが お邪魔したら悪いと思っている 祖母



大きな門の 横の扉から 入る祖父に

誘われるように 着いていく 祖母




ガラッ ガラガラッと 扉を開ける



今 帰ったよぉっと 祖父




そして 家の中から

憲兵をしていた 曽祖父と その妻 が

玄関まで 行く


訳を 話している祖父



磨りガラスの扉に 小さく映る 祖母の姿



訳を話し終え

まっ 上がりなよっ と言いゲートルを外しながら

靴を脱ぐ 祖父



照れ臭そうに

玄関に 入る祖母



あっ いらっしゃい と 曽祖父と妻が言う



初めまして と 頭を下げる 祖母


わっ 私は


あの日 引き揚げ船で と

引き揚げ船に 乗った経緯を 玄関で伝える




そこは 寒いだろうから 中で 温まりなさい と

曽祖父が 言う


屋敷の奥で 人数分の お茶を 用意してる 妻



祖母が 来てるのに 風呂に入ろうと

服を脱ぐ 祖父に


おい ◯◯ こっちに来て 座りなさいと 曽祖父


仕方ないなという顔をする 祖父



人数分の お茶に

鹿児島では普通にあるちまきと

宮崎の 銘菓に なっている かるかんを

用意している 妻



火鉢に 炭を入れて 火を付けている曽祖父


手拭いを 首から肩に ぶら下げて

火鉢のある部屋に入る 祖父



既に 用意されている 座布団に 座っている祖母


火鉢が 温まり 暑さを確かめている 曽祖父



向かい合わせの 座布団に座ろうとする 祖父



隣りに 座ってあげなさい と勧める 曽祖父




そこへ 人数分のお茶と 菓子を持って来た 妻



火鉢の暖まった部屋で

戦争時代の 宮崎の様子を話す 曽祖父


お茶を急須から注ごうとする 妻


勝手に かるかんを取ろうとする 祖父


それを見て 口元に手を当てて 笑っている 祖母




短くも 暖かい 家族の 一時が 始まったのである。








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