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原作と現実の話

「こうして見ると……エリシアって非の打ち所のない令嬢ね」


「動作だけ見ればね」


悲しいかな中身は割とアホの娘だ。いや性格悪いよりはいいんだろうけどさ。


「悪役としてのあの子を知ってる私としてはとっても驚いたのよ?」


と、言うと?


「ゲームじゃ悪役らしく意地の悪そうな顔がデフォルトだし主人公を見ればすぐ嫌みを言ってきてね。 一応メインキャラだから表情差分いっぱいあったけど笑い顔すら悪どいのしかなかったわよ」


「俺的にはそっちの方が驚きだけど」


想像しようとしたけど毒気の欠片もない顔でにこにこしてる顔しか出てこない。悪役になるどころかどこかで詐欺られそうで心配になる。

俺たちの話の種であるエリシアは今ようやく出来たらしい俺たち以外のお友達とお茶をしている。

うーん、ほんと正統派のお嬢様に見える。笑うときも淑やかだし全体的に大人しい。なんで俺と話すときはアホの娘なんだろうな。

あ、別に覗いているわけではないぞ。むしろエリシア自身に不安だから見守っていてくれとに頼まれたのだ。授業参観かなにかですかね?


「こうしてると設定とか言ってた自分が馬鹿らしくなるわ」


エリシアを眺めていたミリナが不意に言った。


「知識があったばっかりに変な疑いかけちゃったし私ちゃんとエリシアのこと見てなかったのよね……」


あれ?シリアス語り入りますか?まあ茶々入れずに大人しく聞いておきますかね。


「ここはゲームの世界なんかじゃない。 一人ひとりが生きてていろんなこと考えてて決められた物語を辿ってるわけじゃない。エリシアもアル君もこの学園で仲良くなったみんなも……。 ふふ、気づくのに時間かかっちゃったけどこれからは私もちゃんと現実を生きないといけないわね」


「じゃあ逆ハーレム目指すのもやめるのか?」


「いいえ! そっちはそっちで目指すわ!」


あ、やめないんだ。まあ好きにすればいいと思うよ?


「あ、下心だけじゃないわよ? 人によっては社会に迷惑かけることになりそうな問題抱えてる人もいるから解決しとかないと不味いのよ」


「なにそれこわ」


甘く見てたわ乙女ゲーム。

しかしこうもしっかり考えて現実と向き合うとはまるで主人公だな。というか現実と向き合いながら逆ハーレムとかすげえメンタル。

そのメンタルの強さやっぱお前主人公だよ。


「お兄さま! ミリナさん!」


あ、エリシア戻ってきた。


「わたくしの会話スキルご覧になりましたか! わたくしとしてはかなりうまく話せたと思いますわ!」


「ええ、うまく話せてたわよ」


俺もそう思うけど少なくともここで話す話ではないな。ほら、さっきまで話してた人達まだそこにいるしめっちゃ笑ってるじゃないか。

あ、手を振ってきた。とりあえず振り返しておこう。


「これでもう友達いないとかボッチとは言わせませんわお兄さま!」


「そうだね」


正直友達ができるか心配で心配で仕方なかったがこれでひと安心だ。


「…………えっと、もっと何かありませんの? 例えばよくできたねって頭を撫でてくれるとか……」


なんだろうそれ、ペットのしつけ方に似てる。


「やってあげたら? エリシア頑張ったじゃない」


「いや別に渋ってるわけでは……」


まあいいか。本人が望んでるならやってあげるのが一番だしこう見えて俺はなでなでのプロだ。エリシアと弟の頭しか撫でたことないけど。

髪の毛がくしゃくしゃにならないようにそっと撫でればエリシアは目を細めうっとりとしたような顔になる。猫かな?いやでも猫にしては人懐っこいな。


「ああ、この瞬間のために生きてますわ……」


えー、お前の人生それでいいの?もうちょっと何かさ……。というかせっかくのご褒美なんだからもっとなにかねだればいいのに。


「あっ、この幸福を倍に感じるためにもお菓子が食べたいですわ!」


「ああ、それならご褒美として俺が奢ってあげるよ」


わかりやすいご褒美といえばお菓子だろう。そう思って提案したのだが。


「お菓子は自分で買いますわ。 むしろその値段分なでなでしてほしいですわ!」


「料金は発生してねえよ」


というか誤解を招く言い方は止めていただきたい。普段はなでなでで金取ってるみたいじゃないか。


そして十分後、そこにはお菓子を頬張りながら俺に頭を撫でられるエリシアの姿が!

ちなみに結局お菓子はエリシアの自腹である。別に遠慮しなくてもいいのに。

……まあ本人が満足そうだし俺があーだこーだ言うとこでもないか。


「やっぱりエリシアはこうしてる方が似合うわ」


「なんの話ですの?」


「ううん、こっちの話よ」


そう言って笑うミリナの顔はいつもよりも明るかった。


別視点も書いてみようかな

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