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親切の話

書くの再開したはいいけどまだ忙しかった。というかテスト期間だ。

「ねえお兄さま、ミリナさんってとっても立派な方ですわね」


「急にどうした」


ほんとどうしたのか。何日か前に二人で出掛けてたみたいだけどその時何かあったのか?


「だってミリナさんってよく誰かの悩みごとを聞いたり雑用のお手伝いしてるらしいじゃありませんの。 そういうことを率先してできるミリナさんはすごいですわ!」


そういえばこの前ミリナが「エミール君と知り合いになれた! よっしゃー!」って報告しに来たな。エミールって誰だって思ってたけどあれか、例の攻略対象ってやつか。

悩み事を抱えてるだろうからそういうのを解決していくと言ってたけどなるほど、今のところうまくいっているらしい。

しかし連中も彼女の親切がまさか逆ハーレムを作るためだとは夢にも思うまい。その事を知ってる俺としては悲しいことに素直な評価ができない。

でもまあ親切は親切か。善意は本物だろうからバレることもないだろうし俺も誰かに話す気もない。

世の中には知らなくて良いこともある、というやつだな。


「たしかにそうだな。 人のために率先して動くなんてことはなかなかできるもんじゃない。 それが赤の他人ならなおさらね」


そもそも貴族なんてやってもらう側の人間。立場やらを考えるとそうそう動けないしそれ以上にやってもらうことに慣れると誰かのために動くのが難しくなるのだ。


「わたくしも先日たくさん助言を頂きまして、その……これから頑張っていこうと奮起してるところですわ」


へえ、友達の作り方とかかな?ミリナコミュ力高いもんね。


「そういえばお兄さまはあまりミリナさんのようなことはしないのですわね。 お優しいですのになんでですの?」


「人のこと言えないだろお前も」


「え、えっとそれは………………そう! ミリナさんにお菓子あげましたわ!」


「それカウントしていいの?」


というか代わりのお菓子貰ってたからどう考えてもただの交換会だよねそれ。


「もう! わたくしのことよりお兄さまのことですわ!」


「といってもな。 俺の場合は単純に助けを求められてもいないのに助ける理由なんてないってだけなんだが」


わざわざ面倒事に首を突っ込む趣味はないのだ。もちろん友人たちに助けてーだの手伝ってーとか言われたら手を貸すけど。

その辺ミリナはぐいぐい行ってるのだろう。乙女ゲームに出てくるやつなんてめんどい性格のやつ多そうだしな!


「そうなんですの?」


「そうなの。 それ以前に俺は赤の他人を助けるほど優しくないぞ?」


「案外シビアですのねお兄さま。 ……あら? でもわたくしには昔いろいろと世話を焼いてくれましたわよね?」


そりゃお前従妹だしな。一応身内カウントでしょう。あとまだ過去形じゃないぞ。現在進行形だからな?


「……んふ。 それってつまりお兄さまにとってわたくしは特別……?」


なんかぶつぶつ言い出した。ああ、きっと今日は天気がいいから……。

とりあえずお茶のおかわりでも貰いに行こう。経験からしてぶつぶつ呟きだした人間からは距離を取るのが得策なのだ。

―――ああ、本当にいい天気だなあ。




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