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プロローグ

初めての投稿です。


主人公最強な物語が好きで、読む・見るだけでは飽き足りず書いてみました。


人によってはつまらないかもしれませんが、是非よんでみて下さい。

 街外れのとある廃ビル。男たちがコンピュータの前に集まっていた。


「ダメだ、クソ!また失敗した!」

「これで何回目だ⁉︎」


 男たちは画面の中の実験シミュレーションの結果を手に、口々に不満を垂れる。


「今までに何体ダメにした?」

「もう二十体は超えてるぞ⁉︎」

「これ以上はシミュレーションで結果を出してからでないと実行できないぞ。実験体にだって限りがある」


 一人の男、が背後の壁に埋め込む形で取り付けられた檻の中で怯える子供達を見ながら、焦りを露わにした。


「次はDNAの塩基配列を組み換えて…」

「それは一度やった!」

「誰でもいいから良い案はないのか⁉︎」


 男たちは非常に焦っていた。

 彼らはオーナーからの要求で『後天的能力者の開発』を行っていたが、失敗続きで結果が出ず、唯々時間だけが過ぎていきついに約束の日が近づいてきていた。


「上に力不足と判断されれば一貫の終わりだ!」

「そんなことは分かっている!今はとにかく考えろ!」



「その必要はない」


 突然、背後から明らかに子供と思われる声がした。


「…ッ⁉︎誰だ、貴様⁉︎」


 男たちが振り返ると、そこには一人の少年が立っていた。ーー便宜上少年と表記したが、実際の性別は不明であるーー男たちは皆、咄嗟に護身用の拳銃を少年に向けて構えた。


「なんだ、子供じゃないか」

「バカ!唯の子供がこんなところにいるわけないだろ!」


 相手の容姿にあからさまな油断を見せる部下を、先輩と思われる男が叱責する。


「血が染み付いたピエロマスク…⁉︎班長、こいつ…まさか⁉︎」

「嗚呼、たぶんな…」


 少年は、血の付いたピエロのマスク被っていた。参加して赤黒く変色した血痕とは別に、付いたばかりと思われる鮮血はドアの向こうに倒れる見張りの物の返り血だろう。


「最近、『主義者』組織が抱える施設を潰し回っているっいう例の特務員…『ブラッド・フェイス』‼︎」

「なんでここがばれた⁉︎隠蔽工作は完璧のはず…」


 男たちが喚いているのを機にもせず、少年は隣の壁の檻に監禁された子供達に目を向けた。

 恐怖から助けを求める声はおろか、悲鳴すらまともに上げられないでいる。電極の付いたヘルメットに注射器、血まみれのベッドや檻の中に備え付けられた血の滲んだ手錠のかずから、おそらく多くの子供達の死を目にしてきたのだろう。

 その光景に奥歯を噛み締めながら、側から見たら子供達と大して年齢差を感じさせない少年は、強く静かな怒りの籠った視線を再び男たちに戻した。


「抵抗するな。銃を捨て手は頭の後ろに、そのまま跪け。さもなくば命の保証はしない」


 妖刀が纏うが如き美しさの宿る瞳と、そこから醸し出される濃密な殺気とは裏腹に、まだ声変わりも済んでいない明らかな子供の声が響く。


「ガキが…、なめた真似しやがって‼︎」


 一人の若い男が怒鳴り声と共に、銃を持つ手を前に出して引き金に指をかけた。すると、


「…ッ!グァァア‼︎」


 男の手首から先がなくなり、床に落ちた手の代わりに血が吹き出していた。

 少年の方は腰に携えた刀の柄に手を添えているだけ。


「期待どうりの反応をしてくれて助かる。正直生かして捉えるつもりはない」

「「クソ!」」


 一瞬の出来事に思考を止めていた男たちは、次々と少年に拳銃を「向けよう」とした。「向けた」ではなく「向けよう」とした。

 男たちが動くのより早く、少年は再び刀の柄に手を添えていた。その柄から、黒い火花が散った。そして、


「「…え?」」


 刹那、目に見えぬ斬撃が男たちの首を一人残さず切り落とした。視界が揺れ、自分たちの頭が宙を舞っていることに男たちが気づいたときには、既に彼らは死んでいた。おそらく、「切られた」と理解することはなかっただろう。

 少年は、檻の中で気絶している子供達に目を向けた。その瞳からは既に殺気が消えていて、そこにはぬくもりの感じられる優しい光だけが宿っていた。




「綴くん、ご苦労様です」


 隊服に身を包んだ人達が慌ただしく行き交う中、一人疲れた足取りでベースワゴンに戻ってきた少年–八尾 綴–に、一人の少女が労いの言葉をかける。


「芹香さん、今は『綴理』ですよ。それより子供達の状態はどうですか?」

「大丈夫よ。少なくともオーラの乱れは見られないわ。精神への影響は目を覚ましてからじゃないと詳しくは…」


 芹香と呼ばれた少女は、苦笑いを浮かべながら言った。


「実験によるオーラの異常がないのであればよかったです。…そんな顔しないでくださいよ。別に芹香さんの所為ではないんですから」

「だったら君もよ」


 そう言って、芹香は優しく微笑んだ。


「もっと早くに来てあげたかったです」

「そうね…」


 ワゴン車の中の空気が重くなる。


「過去のことは言っても仕方ありません!次の仲間を救うためにも、今日は帰って休みましょう」


 わざと明るく振舞ってみせる芹香。

 綴は、良くも悪くも目の前の他人の不幸に大して責任を感じる節がある。そのことを知っている芹香としては、綴に思い詰めた顔をして欲しくないのだ。


「そうですね」

「では、帰りましょう」


 二人を乗せたワゴン車は、ゆっくりと宿舎のある本部基地へと向かっていった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 数日後。


 綴は、基地ないにある病院の廊下を一人で歩いていた。片手にはお見舞いの品と思われる、果物類。

 ここ最近は、数日前に処理した『主義者』の研究所にて保護した子供達を一人一人、病室を訪れてお見舞いしている。


「イヤァァア‼︎」


 廊下の突き当たりを曲がろうとしたとき奥から少女の叫び声が聞こえてきた。綴は、何事かと声のする病室の前までやってきた。そこはちょうど、綴の目的の部屋だった。


「菜緒ちゃん、落ち着いて!」

「大丈夫ですか⁉︎」


 すぐにドアを開け、中の様子を伺う。


「八尾さん。それが、目を覚ましたかと思ったら彼女がいきなり暴れ出して…!」


 暴れる少女を数人がかりで取り押さえながら、看護師の一人が事情を説明する。


「どうにも、例の実験の記憶とこの病室の状況が重なって錯乱状態に…」

「実験の影響がまだ分からない段階では、鎮静剤などの薬物投与はあまり良策とは言えません」


 看護師と主治医が対処に困っていると、綴は黙って、暴れる少女が押さえつけられているベッドの横に移動した。


「どいてください。僕がやります」


 綴は泣き叫ぶ少女–十拳 菜緒–の手を取って、優しく握った。


「もう大丈夫だよ、菜緒ちゃん。彼らはいない。ここは安全だから。落ち着いて」


 優しく、ゆっくりと話しかける綴。すると、彼の手につけた指輪の一つが白く優しい光を帯びた。


「白いオーラ…」

「噂に聞く『月白色の波動』か。扱える能力者が凄く少ないという、まさに天才の証」


 その光を見て、医師や看護師が驚きを露わにする。『月白色』と呼ばれる波動は天の属性。精神、人の心に作用する。


「ハァ…ハァ…。ぁ…ぇ、ここは…?」

「落ち着いたかな。怖かったね、苦しかったね。もう大丈夫だから、安心して。」


 恐怖の色を残しつつも落ち着きを見せた菜緒の頭を、綴は優しく抱き寄せた。


「…ウゥアアアァァン!…ヒッ…ウゥアアア!」

「…よしよし」


 ようやく安心して緊張が取れたのか、今度は声をあげて涙を流す菜緒。

 その病室に暖かい空気が漂い、その場にいる人すべての顔が緩んでいる。しばらくの間、菜緒の鳴き声だけが響いていた。

これだけだと、謎だらけなストーリーですね(・・;)


登場人物や世界観、能力についての説明は物語の中で明かしていくつもりです。


次回よろしくお願いします。

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