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猫を追いかけて異世界  作者: ふー
異世界召喚編
5/112

一夜明けて

お読みいただきありがとうございます。

朝になってもお嬢様ベッドだった。

シロはいなかった。

朝日が窓から差し込んでいる。

晴れているようだ。

のろのろと起きるとパウダールームに行って顔を洗う。

目の下にクマができて、美人度が2割がた落ちている。


(せっかく、美人になったってのに)


「お目覚めでしたら、お声をかけてください。」

昨日の侍女(一号ではない)が入ってくる。


「目がはれぼったくなっておられますね。あとで蒸しタオルをお持ちします。」


「ありがとうございます。」


「わたくし共にお礼は無用です。お世話するように付けられておりますので。」


(セエルさんと同じことをやっぱり言うのね。)


「ではお願いします。」


「お着替えをお持ちいたします。」


「昨日の洋服で構いません。ちょっとしか着てなかったし汚れていませんから。」


「とんでもない!」



(もし中世の貴族がこんな暮らしをしていたのなら、大変だったろうな。)


朝から他人が側にいて、つきっきりで世話を焼かれる。

トイレしか一人になれない。

出るものも出なくなるって・・・・

それに自分でチャチャッとできることを、人にしてもらうのは居心地が悪い。

カーテンを開けて外を見ようとすると、止められる。

頼むより自分で開ける方が早くない?


景色はよかった。

まさにドイツの世界遺産の城のような美しさだ。



やっぱり異世界なのね。

はあ~とため息をつく。

パソコンを充電して、スマホを開く。

やっぱりつながっている。

ネット小説のページを開くときちんと更新されている。


(続きが読める!)


それだけで、気分があがる。

安上がりな私。


トン

ベランダの方で音がしたので、見るとシロが帰ってきた。


(馴染んでるよ~。・・・どうやったらそこから出入り出来る訳?)


「シロ、なんか大きくなってない?」


「ナオ~ン。」


頭をゴンゴン擦り付けてくる。


なでなで、カリカリ。

「大きくなっていますよね?」

控えている侍女三号さんに同意を求める。


「私にはわかりませんが」


「大きくなっているような気がするけどなぁ」


抱き上げる。

重い。

シロも異世界に来たせいで変化しているのだろうか?


「あの、猫を看てくれるお医者さんっていますか」


「獣医でございますね。はい居ります。お呼びいたしますか?」


「お願いします。」


「はい、かしこまりました。」




獣医さんが来る前にリカードさん(妄想ではなかったので、さん付で呼ぶことにしました)がやって来た。

顔を見て思い出した。

夢だと思ってかな~りとんでもない口を叩いたような。


「昨日はいろいろ失礼なことを行って申し訳ありませんでした。」

最敬礼で謝る。

脇の下が嫌な汗で湿る。


「いえ、お気になさることではございません。取り乱したり、泣き喚く方が普通で、神子様は随分と腹立ちも理性的でございました。」


改めて分析しないで欲しい。


「ご加減はいかがですかな。」


目が腫れぼったいのがバレたのか。


あくまでリカードさんは穏やかに

「まだ、この世界に馴染んでいる最中ですのでご無理をなさらず、ゆるりとこの世界のことを学んで行って頂ければよろしいかと。」


確かにすぐ眠くなる。そう言うとそういうものだそうですとリカードさんは答える。

「御子様の相談役とお世話をする専任の侍女を引き合わせましょう。」


向こうの実年齢と同じくらいの年のグリーンの目が綺麗な女性が紹介される。

「ユリル=ディーナ=アイリスと申します。お力になれることを喜ばしく思います。ユリルとお呼びくださいませ。」

唇の下のほくろが色気があって、コケテッシュな美人だ。


「わからないことはアイリスにお聞きください。才媛と評判の女性です。」


「ライオリアス様、持ち上げられては後で恥をかきます。」

少し赤くなって言い返す姿は何とも言えない。


(波長はあうのかな)


異世界まで来て人にあわせて生きるのは嫌だなあ、と思う。


せめて、媚びないで意志を通してみたい。


「何もわからないので、あかちゃんに教えるように一からお願いします。」

ちゃんと言っておかないと呆れられても困るものね。


「お世話をさせていただく三人の侍女です。」


セエルさんが並んでいる侍女さんたちを端から紹介していく。

「レシュに、クレイ、セリーンです。」

「「「よろしくお願いたします。」」」

「こちらこそよろしくお願いします。」


「神子様。」

リカードが渋面を作る。

「神子様のご身分は、私を含めて上の方です。呼び捨てなさってください。」


「この世界のことを何も知りません。今は皆さんに教えてもらう立場です。いわばみなさんは私の先生です。生徒の私は敬語をはなさなければなりません。それができないのなら、丁寧な言葉をもって感謝とさせてもらうつもりです。」


「軽く見られます。」


「こういった場所では改めます。今はそうさせてください。」

リカードさんは諦めたようだ。


「公の場では改めていただきます。」


「はい。」


リカードさん、召喚した張本人じゃなかったのね。


やっと置かれている立場がわかってきましたね

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