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猫を追いかけて異世界  作者: ふー
策動編
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49/112

魔法をマスターしよう 前編

お読みいただいてありがとうございます。

季節ネタを狙ったわけではありません。


お姫様抱っこされた上に、ティルルの意外に長いまつげまで見える至近距離にうろたえて、こともあろうに、皇帝陛下ティルルを下敷きにしてしまった。

はしたない女と思われただろうな。

下を向いていると顔を上に向かされた、何か言われるかと思っていたら、何も言わない。

怒っている。そうに違いない。

どうしよう。

そうだ。



「ティルル。この城にある塔に連れて行ってくれますか?」


「塔か。東だな。」

頷くと先に立って歩く。


もう手はつながないんだ・・・

少し寂しい。

なんて、言っていられなかった。


「まだですか~」


「もうへたばったのか?」


「いや、でもさっきも走ったし。」


「体力がないな。」


「はい、すみません。」

らせん状にぐるぐると上へとひたすらに続く螺旋階段を、スカートをつまみ上げて、ヒーコラ上がって行きます。ドレスっていうものは、それだけHPを使用するものなのですよ?


「ほら。」

手が差し出される。


「へへへへ。」


「何だその気持ち悪い笑いは。・・・だいたいお前の笑い声は、淑女にあるまじきものだな。もっと、うふふとかクスッとかニッコリとかで形容できるように笑え。」


「ちょっと嬉しくてつい締りのない笑いを。」


「何が嬉しいんだ?」


「手を繋いだのが。」


「・・・・人前では繋がないぞ。」


「皇帝だものね。」


「今の変な笑いも、俺の前だけにしておけよ。」


「かしこまりました。皇帝陛下。」






「あ~付いた付いた。」


「ここで、何をするつもりだ。」


「見てて。」


「『昇曲付き変芯引先紅光露』」

沙耶の手から、光が登っていく見上げるほどになったところで、ボンっと割れる。

すると丸い赤い星を散りばめたように光それが銀に変わって消えていく。


「これは?」

「花火。どんどん行くよ~」


「『昇曲付き錦冠菊』『八重芯変化菊』『芯入り銀牡丹』」


頭上に上がる花に外の者たちも気づいて歓声を上げ始める。


「『葉落』『枝垂柳』『青蜂』そろそろネタ切れ~ラスト『銀蜂』」


あたりが明るくなってサヤの顔も照らされる。

満面の笑みだ。この笑顔を消したくないなとティルルは思った。


まだ続くのかと待っていた外の臣民が、これで終わったと知って、拍手をする音が塔まで上がってくる。


「ティルルに見せるつもりだったけど、みんなも喜んでくれてよかった~」


引き寄せたくなるのを、こらえるティルルであった。





帝国の冬の訪れは早い。

収穫祭が終わり、帝都がいつもの佇まいに戻る頃には、冷え込みの厳しい朝が続くようになる。

沙耶にとっては、しばらく帝都で過ごす日々がきた。



「スタンガン?」


「最初は心臓マッサージの電気ショックからAEDとかで心臓が止まった人を助ける能力から、スタンガンを思いついたの。感電させる棒といったほうがわかりやすいかな。」


「なるほど、電気が使えるからですね。花火よりは実用的でしょう。」

アーカネが腕組みをする。


「花火は花火、気に入っているからほっといて。原理がわからなくても物を知っていればいいというのは、便利ね。スタンガン自体は、ようつべで見まくったから、成功したのだけど出力調整がよくわからない。」


「実験台が必要ですか。」

目が怖い。


「実験台って。」


「我々がなりましょう。」

我々って誰?


「や、やめておきます。」


「実験と改良は必要です。」

すっかり、やる気です。


「痛いですよ。死にそうですよ。いや死ぬかもしれませんよ?」


「構いません。でもサヤはビビリですからそこまでにはならないでしょう。」


アーカネ、あなたSでしょう?

いつから、宗旨替えを?


「ともかくやって見せてください。」


セリーンに布を用意してもらう。側には一応水の入ったバケツを用意。

要は充電して、二本の電極間に放電させればいいという大雑把な理解だ。

二本の電極を埋め込んだ金属の棒は、画像を見せて作ってもらった。

周りには、ゴムを巻いてもらってある。


「行きますよ。」

セリーンは音と匂いが嫌なので、遠く離れている。


反対にアーカネは近い。


「アーカネ、離れて。顔に当たるのは流石にまずい。」

渋々といった感じで後ろに下がる。


「じゃ、3、2、1。」


バチッ バチッ バチッ


「おわっ!」

のけぞるアーカネ。


音と共に、金属臭い匂いが立ち込める。

布は焦げている。


「・・・音と匂いはしますが、これ」と焦げを指す「で本当に電気属性の攻撃なんですか?」

疑いの眼差しだ。


よかろう、身を持って知るがいい。


「出力を下げて受けてみる?」


「最大でもいいですよ。」

あなた、さっき『おわっ』って驚いたくせにしてそんなことを、言っちゃっていいのか?


でも自分が怖いので、最大にはしない。


「椅子に座って。」


「いや、このままで構いませんよ。」


「いいから。」


面倒なやつ。

少し痛い目見させてやろうか。

あれ、性格変わった?


「行くよ?」


「いつでも。」


「3、2、1」


パチパチパチッ


太ももにつけて放電する。

アーカネは文字通り飛び上がり、椅子から転げ落ちると、そのままの体制で固まる。


「・・・・・!」


「どう?さっきよりは、出力を絞ってあるけど。」


「・・・・・・・!」





2分後


「なかなかですね。しばらくは動けなくなるというのは、敵を拿捕する上では効果的ですね。護身用にはなるでしょうが、もっと小さくならないのですか?」

立ち直りの速い奴。


「アーカネさん。メガネをどうぞ。」

セリーンが笑いを噛み殺しつつ、吹っ飛んだメガネを渡す。


「あ、ああ。」

何事もなかったように、メガネを拭いてかける。


「目、悪いんじゃないの?」


「これは、伊達メガネです。アビスはとかく脳筋に見られがちなので。」


「アーカネはメガネがなくとも、脳筋には見られないよ。陰険には見られるけど。」


「どうも。お褒めに預かり恐縮です。」

褒めてはいないよね。


「小さくはなるだろうけど、出力調節がうまくなるまでは、無理かな。電極が細いと、すぐ溶解してしまうから。」


「そうですか。実験と改良はまだ必要ですね。」

懲りないね。


「牽制にはいいですが、個人対個人の近接武器ですね。遠距離や対多人数の武器も考えてください。」


「戦うのは嫌だと逃げるわけではないけど、戦いを回避したいのは今まで通りなんだけど。」


「状況的に今いった後者の方が出番は多いでしょう。」


最もでございます。


「電気系の攻撃への耐性を見るには、もってこいです。実験体を用意しますので練習がてら、ドンドンお願いします。」

流石はアーカネ・・・・

良い子は真似しちゃダメだよ。


電気ショックは『1ピーOの7部会』さんに取られたらしい。

あるよと言われて、こちらになりました。

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