第7章05 お仕置き決行!(前編)
最初の一撃を与えたのはセリスの矢だった
一瞬にして音速より速く走るその矢は
放たれた瞬間に爆音を放って飛んでいった
刺客たちの行動が止まる
セリスの網膜には、私が彼女に贈ったアーチェリーからの
情報が表示されているはずだ
それは、私が光の妖精に指示したものである
航空自衛隊にいた私は、FCS火器管制システムも携わっていたので
こういうときに便利なのだ
光というものはとても便利であることは間違いない
そのアーチェリーから放たれる光が測量し
計算などもその専用の妖精が行う、微調整は弓そのものが行うため
ある程度狙いを定めれば小さなセリスでも扱うことは可能なのだ
そして、聖属性の彼女が放った矢は弓から離れる寸前に
音速を超えソニックブームの爆音を放ち刺客の一人の胴体を根こそぎ持って行き、その後ろにあった壁までも持っていった
もちろん、刺客の頭から腰まで無くなっている
壁は、直径1mほどの大穴が開いていた
「セリス!少しは手加減しなさい!」
耳をポンポンとたたきながらセリスにいう香苗
「はぁ〜い・・・」
少女にはまだ、手加減というものを知らない・・・そもそも
今回始めてその弓を使ったわけだから仕方がないのだが
それでも、手加減をしたほうだろう・・・しなかったら
この、城そのものをふっ飛ばしかねない
「はぁ・・・で・・・、あなたの言っていた。危機的状況って
どんな状況なんでしょうねぇ」
にやりと笑う私の手には、魔力が増大してソフトボールぐらいの
玉が発生していた
もちろん、相手は魔族だ
対魔族用の聖属性に変化させる
「『クッ・・・だがな・・・絶体絶命の数だったらどうする?
ククク・・・』」
そういうと、指を鳴らす
ゾワッ
私の体に凍るような寒気を追った
(な・・・なに?)
(『主・・・外から無数の敵意を持った者たちが押し寄せてきます』)
(しくったわ・・・外にいた魔族を呼んだのね・・・)
多勢に無勢・・・
(全員に通達!ここは撤退します!セリスが開けた穴に向かいなさい!)
念話で指示するとみないっせいに行動した
「魔族の長さん!今回は、撤退するわ・・・だけど・・・私を怒らせたことを後悔させてあげるから、覚悟しなさい!」
「姉さん・・・それなんか、負け犬の遠吠え・・・イタッ!」
メリアの頭を殴る私
「だまらっしゃい!」
「『ククク・・・待っているぞ・・・アハハハハ』」
仕方がなく、私たちはそこから退去することになった
「悔しいわ・・・あのやろう・・・絶対つぶす!」
『まぁ、落ち着け・・・』
「これが落ち着いてられるの!絶対ぶっ殺す!メタメタノギッタンギッタンにしたるわ!」
怒りの力によって、近くにあった大木が見事に切られ
ズドーンと大きな音とともに倒れた
「ある意味、姉さんって起こると神より怖いかも」
ボソッと呟くメリアに香苗はにらみつける
「なにかいったっ!?」
ブルブルとメリアは首を振る
「にしてもどうするの?相手は団体魔族さんだよ?」
セリスの言うとおりである・・・団体力の強い魔族が
族を作ると厄介なため、ほとんどがその団体を作る前に
消滅させるか去勢(卵を埋めつけさせる能力を剥奪させる)
のだが・・・
こうも隠密に作り上げられてしまったのだから・・・どうすればいいのか
とても迷うのだ
しかも、あの状況だとほとんどの魔族は人に寄生している
人を殺すのもいやだが、殺しても魔族自体は生きているため
あまり意味を成さないのだ・・・だから、人間のほうを無力化させ
その後出てきた魔族をたたくのが一番いいのだが・・・
「セリスが、魔族をあぶりだす・・・のも無理よね」
セリスより私のほうが魔術的なもの聖術的なものも長けているため
聞くまでもない
彼女が聖域を作るとしても私の家一個分がいいところだ
城全部もしくは町全部に聖域を作ることは不可能・・・
さてどうしたものか・・・
そのとき
「主、私にいい考えがあります」
突然言い出したのは、フェンリルだった