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第5章05 レジスタンスとごたいめ〜ん・・・って!うそっ!

香苗達は、山の中を歩いていた

人の気配が3・4と増えていく

まぁ、増えたからと言ってどうなるかとは思えないが

左右にたいまつが備え付けられた門の前には数十人の御出迎え達が

勢ぞろいしていた

「何だ?貴様らは!用がねぇならとっとと消えな!」

このチンピラが・・・なにを、ぬけぬけと・・・

チンピラとなると何処も同じなんだなぁ・・・と

なんとなく思っている香苗

「あんたらに用はないよ、頭に用があるんだ」

そういうと、皆がワハハハと笑い

「俺が頭だ」

とか言う

香苗の眉がびくりとつりあがる

徐々に彼女の体から黒いオーラが漂い始めた

その時は、もう地を向いていて、前髪が彼女の顔を隠していた

徐々に黒髪が段々と宙に浮き行き場を失い舞う

メリアは気づく

これは、前回と同じパターン・・・

黒鬼になる・・・前触れ

「ね・・・姉さん・・・落ち着いて・・・ね・・・

あんたらも!本当の頭連れてこないと・・・どうなるか分からないよ!」

「しらねぇ〜なぁ〜」

今度は、こめかみに血管が浮き上がる

「ま・・・まずいですよぅ!本当に、しりませんよ?

貴方たち死んじゃいますよ!!」

オロオロとするセリス

「・・・・」

無言で、手に魔力を溜め込む

「どういう風に殺そう・・・

焼こうかしら・・・切り刻んであげようかな?はたまた、潰すのもいいわね

そう・・・溺れさせるのもいいわ・・・あぁ・・・そうだ・・・レーザーみたいに風穴開けたら一瞬か・・・それも面白くないわね・・・」

なんだか、やけに怖い事を呟いている香苗

メリアとセリスがかなり恐怖に怯えていた

「ね・・・姉さん・・・落ち着いて・・・深呼吸して・・・ねっ」

「御姉様・・・お気を確かに・・・」

心配する妹たちを見て、優しい顔・・・いや・・・奥底ではどす黒い

触ったら凍りそうな雰囲気をかもし出しながら

「私ね・・・貶されたり、脅されたりするの、大嫌いなのよ・・・負けず嫌いなのかな・・・大丈夫よ・・・3/4ごろし程度にして上げるから」

そ・・・それって・・・絶対4/5以上に殺すってことじゃないっ!

この人達本当に死んじゃうっ!免罪符あるからいいのか?・・・いえいえ

あぁ!やばいよぅそれはぁ!

2人はあせる・・・無用な戦闘は避けたい

「御兄さんたち!謝って!姉さんに謝って!!死にたくないなら!!

今なら間に合うから!!」

セリスが叫ぶが

そんな忠告を聞かず

「けっ!そんな女にまけるはずねーんだよっ!うらぁ!」

剣術も何もなく、ただ単に剣を彼女に振り下ろした

彼はあっけないなと思っただろうが、すぐにそれは否定される

香苗の人差し指と中指によって掴み取られてしまう

「なっ・・・指で掴みやがった・・・くそっ、ぬけねぇ・・・」

「死にたいようだね・・・君・・・」

その声は、まるで先ほど違い別人の様な声だった

それに怯み、持っていた剣を離して後ずさる

香苗は掴み取っていた剣を右の方へ投げ、その剣は1/4ほど木に刺さっていた・・・どれぐらいの力が彼女にあるのか

未だに把握出来ないが、この世界で彼女以上に力のあるものは

きっといない・・・

「・・・早く選べよ・・・どれがいいんだ?・・・

きめられねぇんなら・・・俺が決めるぞ・・・」

香苗は、怒ると男っぽくなる性質がある

それは、元の世界で自衛隊に勤めていたことに関係してくるのだが

手にはあまるほどの魔力、まだ属性をつけて居ないため渦巻く球体があった

どんどん魔力を圧縮して行く

「そうだな・・・俺は・・・気分的に風がいいな」

言った瞬間、その魔力は風属性に変わり香苗の周りが風に包まれる

落ちてくる葉が一瞬で粉々になる

まるで獲物を探すように風の触手がうごめく

「どうしたんだ?早く来いよ・・・死にたいんだろ?」

「く・・・くそーーーっ」

やけになって、向かおうとしたとき

「やめろ!本当に死にたいのかっ!!」

タイミングよくそれを制止する声が響いた

「なっ・・・お・・・御頭!」

数十人のチンピラ共が道を開けるとそこには

フェンリルのように少し黒い肌に、目は黒に近い茶色

髪は銀・・・そして、特徴のあるとがった耳

書物だけしか見た事のない、絶滅したと聞いていた人物がいた

――ダークエルフ・・・まだ生き残りが居たのね・・・

シエラの声に、持っていた風属性の魔力を握りつぶし消し去る香苗

「貴方が頭?」

声も、話し方も元に戻っていた

妹たちもホッとする

「こいつらが、とんだご迷惑を・・・代表として謝罪いたします。深淵の黒鬼・・・いえ、ディスニー王国近衛士 セレネ・アキータ殿」

頭を下げる男・・・いや、どうなのだろう・・・エルフ自体

男女と言う関係がない・・・そう、両生類なのだ・・・

しかも、私の名前まで知って居るとは・・・結構な情報網ね

「謝ってくれるなら、それでいいわ」

「ご配慮感謝いたします・・・こんな場所で話すのも、

私の家までご案内いたします」


一つの家に招かれ、出された椅子に座る3人

「回りくどい事は、私好きじゃないのですぐに本題にしますけど、

とりあえず、名前。教えて」

「メルト・バルスキーです」

「貴方たちは、レジスタンスですよね」

「はい、確かに私たちはレジスタンスです。革命軍といってもいいでしょう」

「運営費は?」

「街に協力者が多数います・・・そこから分け与えられています。と言っても、貴族ではなく・・・商人協会からです」

「市長の横暴はいつごろから?」

「3年前の市長選からです。市長に当選してから税を上げ、徴収も厳しくなりました・・・前市長がなるべきだったのですが・・・不慮の事故で」

事故?怪しいわね・・・

「そうですか・・・この事を国王に報告は?」

「しましたが・・・結局受け入れてもらえず・・・」

確かに・・・あのときの国王は・・・今ならともかくだが

受け入れる前に・・・もみ消されるだろう・・・

「ジュール一族との関係は?」

「全くありません・・・噂では、市長と結託していると言う話を聞いています」

あいつのことだ・・・やりかねないな・・・

「それで、クーデターを起こそうと考えているのですか?」

「出来れば、穏便に済ませたいのですが・・・仕方がないのであれば・・・」

「ある程度は分かりました。最後に・・・貴方は・・・ダークエルフですか?」

「いえ、純血ではありません。エルフとダークエルフのハーフです」

なるほど・・・

「市長の横暴も・・・見ぬ振りも出来ないか・・・近衛士として

クーデターを起こすことは許しません」

「ですかっ!しないと、私たちは・・・」

「話しは最後まで聞きなさい、クーデターは許すことは出来ませんが、

市長の再選をすることを王国の方に上申してみます」

「ほ・・・本当ですか!」

「えぇ、きっと3日ほどで再選の命令書が来ると思います。それまでに、

やって起きたい事が・・・そう・・・ね、レジスタンス解散させなさい」

「なっ!どういうことですか!」

「貴方たちのこの集団は、商人教会以外が見ればただのごろつきの集団

盗賊とかにしか見えないわ・・・それでクーデターを起こしたら

知らないうちらの騎士団が押さえに来るでしょ・・・面倒な事は避けたいのよ・・・」

「確かに・・・傭兵を募っただけの集団です・・・」

「だから、解散させなさい・・・こんなの、私一人でも潰せるぐらいにしかなってないわ・・・いえ、隣にいるメリアだけで十分よ」

そこまで言われて、黙っている彼ではなかった

「では!その証明に我々の一番強い者と戦ってください!」

「いいでしょう・・・それで、気がすむのなら」


その後、フェンリルからの報告によると

やはりジュール一族と市長とはグルだと分かった

そして、あそこに居た少女たちもまだ、がんばっているとの事だった

香苗はすこし、ホッとしていた

あの少女たちに何もない事を祈りながら・・・


翌日


決闘の場には、先ほど香苗を怒らせた男とメリアの姿があった

「これより、バカンス対メリアの決闘を行う!両者剣を抜け!」

バカンスだけ剣を抜いた

メリアは全く抜かずに、微動だにしない

「メリア、剣を抜きなさい」

「いいえ、このままでいいわ」

審判の指示を無視する

確かに、抜かないといけない規定はない

「メリア姉さん・・・なにするつもりなのかな・・・」

「・・・あの子ったら・・・」

セレネは分かっていた、彼女がこの後どういう風に相手を沈めるかを

「はじめっ!」

「うりゃぁっ!」

叫びながら突進していく男

ヒョイと体を捻りかわすメリア

振り返りざまに剣を横に振るがそこにはメリアはいなかった

「なっ!何処に行った!」

「ここよっ」

バカンスの真後ろに立っているメリア

「くそっ!」

振りかえるがそこにも居なかった

「なっ」

「まったく・・・何してるの?早くしてよ!退屈」

脚払いをし、相手を転ばせたり、背中を押してバランスを崩させたりと

遊びたい放題の状態だった

「メリア〜、遊んでないで早く終わらせなさい〜」

香苗がそう指示をすると

「はぁ〜い、姉さん」

突きの姿勢で突進してきたバカンスを空中で前転しながら避け

そして、着地寸前で首元に手套を御見舞いする

相手は、硬直し動かなくなると

音を立ててひれ伏した

「ねえーさぁ〜ん勝ちました〜」

手を振って喜んでいるメリアを見て・・・溜息を突く香苗

それが当たり前、フェンリルと同等とは行かないがそれなりの

強さがあるのだ、こんなチンピラと比べられたら

フェンリルに失礼である


「・・・御約束どおり、レジスタンスは解散します・・・あの・・・

セレネ様・・・最後に・・・私からのお願いがあるのですが・・・」

「ん?」

「私と、御手合わせ願いませんか?」

「ん〜、代償は?」

「この・・・私が持っている、ダークエルフに伝わる秘伝書では・・・どうでしょう?」

黒い光沢のある本を見せると

香苗の目が光る

「いいわ!受けて上げる!あ!そうそう、こっち来て」

メルトの耳で囁くと

「えっ!貴女様が・・・!!」

「どっちがいい?」

「・・・できれば・・・」

――私のでばんねっ!

(ちゃんと、獲物はゲットするのよっ!)

――分かってるって!

「じゃぁ、召還するね」

そういうと、彼女の周りに風が吹きまわり

姿が見えなくなるとすぐに風が止んだ

しかし、そこには香苗の姿がなく

シエラの姿があった

『始めまして、メルト君・・・私が御相手いたしますわ』

「貴女様が・・・シエ――」

『シーっそれは、心の中で秘めてください。さっ!始めましょう』

今まで抜かなかった、聖剣を抜く

相手も、ダークエルフの伝説の剣を抜いた

「・・・お願いします!」

ヒュッと風を切る音がすると同時に金属が当たる音が響いた

『あら、なかなかやるわね』

「貴女も・・・」

ギリギリと交じり合う剣

間合いを開けすぐに突進して行く

「はぁぁっ!剣儀!ブラストシュート!」

――なっ!

早すぎる突きにシエラは完全には避け切れず、髪を数本切れてしまった

「なっ!ブラストシュートを・・・避ける・・・なんて」

『そう・・・そういう気なら、私も容赦はしないよ』

シエラは自分自身である剣の魔力を上げていく

聖剣に青い光がともなっていく

『いくよ?用意はいい?メルト君!』

青い稲光の様に放電している剣を肩の上部に水平に構えた

それは一瞬の事だった

きっと瞬きをしていたら見えなかった

いや、していなくても彼女の姿を見る事は不可能だったあろう

一瞬にして、メルトの後方5メートル程にいるシエラ

その数秒後、爆音と共にシエラの方へと飛んで行き

それを、シエラは受け止めた

『全く・・・たいした者よ・・・こいつ・・・』

完全に意識は飛んでいたメルトだったが、シエラの一撃を

剣の腹で受け止めていたのを見て、褒めていた

彼を、家まで運び香苗にバトンタッチをした後治療魔法で

傷を治した

「貴方が、気が着いた頃にはもう事は終わってるから安心して」

そう呟いて、メモ書きを置いてレジスタンスのアジトを後にした


「さぁっ、メリア・セリス!本番よっ!」

「「はい」」

3人は市長の館へと進んでいった



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