第2章11 ん〜なんか、先生になった気分(3)
「え〜と・・・」
たじろぐ私・・・
先ほどの、剣術の試験で嫌な雰囲気になってしまっている
あ〜ぁ・・・どうしろって言うんですかぁ・・・
「とりあえず・・・最後の試験です。魔術なのですが・・・」
1枚の小さな紙を各人に渡した
「これ、ある魔術によって字が書かれています。数は2つ・・・
その数字を浮かび上がらせて私に持ってきてください。
どんな手を使ってもいいです、でも・・・慎重にやってください。
たとえば・・・間違いの解呪をすると・・・」
持っていた紙を前に突き出した瞬間、煙もなくその紙は燃えて消えた
「こうなります・・・こうなったら、失格ですので。そのままお帰りください」
「成功すると・・・」
持っていた逆の手に在った紙を受験生たちに見せる
白い紙の上に、立体的に浮かび上がる字
「こういう風になりますので、なったらそのままの状態で持ってきてください。あ、気を抜くと消えちゃいますから気をつけてくださいね。えーと・・・制限時間は、30マイナです。では、がんばってください」
そういうと、もっていた本を読み始める私
今日の本は『古代遺跡の紋章 第39説』という、古代の言い伝えられている紋章についての論文だった
(こりゃ・・・難題だよ・・・セレネ・・・)
深く息をする
これは、精霊魔術による物・・・あと、神聖術・・・か・・・
また凝った物を・・・
でも、この解呪法はセレネ・・・香苗と教えてもらったものだから
何とかなりそうだった
その紙を手に持とうとした
だが、その行動を止めた
何か忘れている・・・そう思ったのだ
周りを見ると、手に取ったりして解呪を試みていた
違う・・・これは、触ったら終わりだ・・・
触った瞬間に、術が発動して・・・何をしても燃えてしまう・・・
セレネが、置いて回った紙をじっと見続ける
上と下とに呪文で書かれた円形の紋章が見えてきた
これか・・・
紙の上に手をかざしたとき、上は緑色の文字 下は白く輝く文字が現れた
その文字は、『3』『8』だった
(あはは・・・単純明快・・・受験番号ですか・・・)
風の魔術によって触らないように浮遊させセレネの所にもって来た
「お願いします」
「お!来たね〜、うん。OK〜合格!」
そう言って、浮いている紙を取った
そして、耳の近くで言った言葉「おめでとう、ティニア」
囁いた後、体を離して「おつかれさま、あ。コフェ(カフェテリアの様な喫茶店)で待ってて」
一礼して退出した
その後、コフェに行った私は
「ご説明・・・くださいますよね?」
ご立腹の様なティニア・・・
顔と顔の間は30センチにも満たないほど前に乗り出している
「あは・・・あははは」
目を合わせず、人差し指で頬を掻く
「『あははは〜』じゃ在りません!!何なんですか!!あの、剣術は!!」
「そ・・・それはぁ・・・」
「私にも言えないのですか?そうですか!家主は誰だと思っているんですか?」
「い゛っ・・・それひどい!」
「ひどく在りません!いいですか!あなたの事情を知るのは、保護者としての責務です!」
「ほ・・・保護者って!いつからなったのよ!」
「今からです!」
「はぁ?!」
あきれて物が言えない私
激怒中のティニア
結局私が折れた・・・
じゃないと、家から追い出されそうだったし・・・
「じゃ、その剣に秘められたシエラ様の思念が先ほどの事をしたと?」
「そう・・・です・・・」
ふぅ〜と、ため息を付くティニア
手をもぞもぞと動かしうな垂れる香苗
「そういうことは、早めに言ってください!それと!!」
ビシッと指を私に差し出し
「シエラ様もです!!いるんでしょ!出てきて返事しなさい!」
びっくりして目を開いていた香苗だったが、ふっと目を細めた
『そうね、言うのが遅れたわね。ごめんなさい。以後気を付けます・・・』
香苗もびっくりしていたが、ティニアもびっくりだった
戦女神、光の民と言われた人が、ティニアに謝罪したのだ
(シ・・・シエラ?それ本性)
――ふふ、そう見える?
(はぁ・・・ある程度意識共有してるんだからね?判るでしょ?)
――あら〜ごめんあそばせ〜♪
(反省してないわ・・・こりゃ)
「わ・・・判ればいいんです・・・」
『そう、よかったわ〜それじゃね〜』
スゥと、瞼を閉じた後目を開いた
全く違う雰囲気が漂う
やっぱり、本当の事だったんだなと改めてティニアは思った
「それじゃ、帰りますか?」
「うん、帰ろう〜」
1日臨時監督官の仕事が終わった
ついでに、監督官用の服も、もらって帰ったのはついでの事だった。
あとがき
作者のMISSTYです。
ご愛読ありがとうございます〜♪
やっと、2章完結です!
長かったですわ〜・・・
新3章の予告をして、ご挨拶にいたしまス〜
それでは、皆の衆ごきげんよう
次回予告(第3章)
セレネ(香苗)「ねぇ、何か手紙きてるよ?」
ティニア「ん?あれ?親父からだ・・・」
手紙の中を見る
セレネ(香苗)「なんだって?」
ティニアは、持っていた手紙を燃やそうと魔力を上げた
とっさの判断で、セレネは相対魔力をそれに当てる
セレネ(香苗)「なに燃やそうとしてるのよ!!見せなさい!」
あっ!
と声を出すが、もう遅し・・・
セレネ(香苗)「?・・・え〜、何で私の事が?!」
どうなるのでしょう〜、香苗の運命はいかに・・・
次回、『香苗、王都にいく』