ヨネ博士の生まれ変わりベア
「ふふふふ……この研究が完成すると世界がひっくり返る発明になるぞ……!」
白衣を身に纏ったヨネ博士はそう言って三角フラスコを振っている。
「ん??おかしいぞ……!ゴホッゴホッ」
三角フラスコから煙があふれ出でヨネ博士の全身は消えかけている。ヨネ博士は眉間に皺を寄せ咳ばらいをしながら煙を細目で見ている。
「この煙……失敗か!?」
ヨネ博士は視線を落とし、はっとした顔で自身の胴体を見つめる。
「なんだ…!?私が透けている!?」
ヨネ博士の身体はどんどん薄くなっていく。
「いや待て!私が消滅するなど、あってはならないことだ!どうしたらいいんだ…!は!あれは!」
ヨネ博士は窓際に置いてあった毛糸でできたくまのぬいぐるみめがけて走っていく。
そしてヨネ博士はくまのぬいぐるみを抱きしめると、己の身体が消え果てた。
窓に寄り掛かっていたくまのぬいぐるみがぱたりと倒れる。
数秒後、「あれ……もしかして私は消えたのか?」と言いながらクマのぬいぐるみが立ち上がる。
「いや違うぞ!立てたじゃないか!消えていない!」
クマのぬいぐるみはくるっと回って窓ガラスを見る。
「ほら……!作戦成功だ!ぬいぐるみに魂を入れられたぞ!」
クマが両手でガッツポーズをとる。
次の瞬間、クマのぬいぐるみが落ち込んだように俯く。
「本当なら人の魂をコピーしてロボットに入れ込む研究だったんだけどな。まさか実験失敗した上にこの私が実験体になって物体に魂を入れる形になるだなんて思いもしなかった」
これからぬいぐるみとしてどう生きればいいのか。
「いや違うぞ!クマのぬいぐるみで博士なんて、誰一人いないではないか!何か発明でもしてみろ!名が知れ渡ってすぐに賞を受賞できるかもしれない!世界も夢ではないのかもしれぬ!」
クマのぬいぐるみは窓際から床へジャンプし、他のフラスコの元へ走る。
「この身体で物を入れたり混ぜたりできるようになれば今までどうり実験ができるはずだ!」
クマのぬいぐるみは三角フラスコを両手で支え持ち上げる。
「掴めるではないか!さあ、実験開始だ!」




