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短編童話シリーズ

目も耳も口も使えない三姉妹

作者: 敬愛

ある所に目も耳も口も駄目な三姉妹がいました


両親は9つの不幸を神様により娘達に与え、自分達は受け取ったのです


病院にも通っていました


すると長女の目と三女の口は何とか


治せそうだという話になりました


両親はお金も掛かるし今更治っても


三女は発音の仕方を知らないから喋れないだろう


と思いましたが


このままでは三人が可哀相だし


治療する事にしました


三女は口が利けるようになりました


長女は目が見えるようになりました


ところが三女が初めて喋った言葉は


記号でもただの音でもなく


「お父さんとお母さん死ねばいいのに」でした


長女が初めてみた物は


次女のとてつもなく美しい顔と


三女の発する言葉の口の動きでした


三女はやがて「お父さんもお母さんも姉さん達も死ねばいいのに」


等と言い出しました


果たしてこの子は言葉の意味がわかっているのか


両親にも見当がつきませんでした


次女は相変わらずでしたが


長女は三女が同じ言葉を1日に百も千も繰り返すので


次第に三女に憎しみを持つようになりました


そして正常な生活が出来るのは目の見える


自分だけだと思い込むようになっていました


筆談があるからです


そこで一計を案じました 三女も次女もお父さんとお母さんを


苦しませるだけだ


殺してしまった方がいいと


三人はヘルパー付きで外出しました


駅のホームは大変混雑していました


長女は事故を装って二人をホームから突き落としました


三女は線路の真上に次女はホームから30cmくらい離れた所に落ちました


すると一人の青年が線路上に飛び降りてまず近くにいた次女を助けました


引き続き三女も助けようとしましたが


列車が急ブレーキをかけながらホームに入ってきました


三女は残念ながら車輪に轢かれて死にました


口は災いの元でした


死ぬ間際彼女はこう呟きました


「みんな死ねばいい」と


次女を助けた青年は間一髪のところで逃げましたが


その時強く頭を打って記憶喪失になりました


長女には殺人容疑がかけられましたが


嫌疑不十分という事で罪に問われませんでした


青年には彼女がいました しかし別れる寸前でした


次女は無傷だったので青年の所にお見舞いに行きました


すると青年はパッと顔が明るくなり


「妹さんは残念だったね。すまない。


しかし君は何て美しいんだ。僕には彼女がいるが別れる。


もう駄目だったんだ。君さえ良ければ結婚を前提に付き合ってくれないか。」


何の拍子か青年は記憶を取り戻したようです


側にいた両親が事情を説明しました


しかし青年は耳を貸しません


やがて二人は結婚しました


子供も生まれ そしてこれは奇跡に近いのですが


次女は耳だけ聞こえるようになったのです


長女は二人の幸せそうな暮らしぶりを見て


嫉妬で狂いました


青年はここで思うのです


目が見えなくても 口が利けなくても


耳が聞こえれば幸せなのではないかと


「愛してる」という言葉を耳で直接感じ取れるのだから















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― 新着の感想 ―
[一言]  失礼しますm(__)m  楽しく読ませていただきました。  最後の青年が思った文章が特に素敵だなと思いました。  敬愛先生、執筆活動頑張ってください。
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