エルダートレントの杖をプレゼント!講義には紅の煉獄メンバーも参加に?そして、攻略はまだまだ続く。
エルダートレントの杖。
なかなかの良い武器になりそうです。
さて、攻略も15階層からですね。
「……ぇ? あれ? ぇ?」
モゾモゾと隣で可愛い物体が動いては現状の整理をしようと頑張って努めているのが伝わってくる。
「あれ……昨日はお酒を……わ、私……ぇ?」
まぁ、綺麗に脱がされては僕に抱き付いている訳で外は第1の鐘が丁度鳴り響いている。
うん。朝だ。
けれども、暫くは目を閉じておこう。
エルザにも整理をする時間が必要だ。
「と、とりあえず……お風呂……」
パタパタとベッドから抜け出してはエルザは着替えを持っては浴室へと向かったようだ。
もう少しだけ目を閉じてから、エルザが浴室に入ったのを確認してから、僕も伸びをしてはベッドを抜け出す。
「うん、良い朝だ」
最近の朝食は軽めだ。
そう、ノルトメ商会からの新商品でシリアル食品を取り入れてみた。
新鮮なミルクがあれば、いつでも手軽で食べれるので良い感じに売り出しは好調だ。
発酵食品も手を出しているので、もう少ししたらチーズやヨーグルトも生産が安定したら、食べ方の幅ももっと広がるのは目に見えている。
まぁ、今は発酵食品は主に日本食の方に絶賛取り組んでいる所だ。
どんどん、食文化に限ってはノルトメ商会が舵を切っては生まれ変わっている最中だ。
「お、おはよう……マコト」
「うん、おはよう、エルザ。朝食、用意して置いたよ」
「ありがとう……」
「僕もお風呂済ましてくるね」
「う、うん」
触らぬ神に祟りなしだ。
気恥ずかしそうにしているエルザを見れるだけで眼福だ。
変にからかったりしたものなら、今日1日拗ねられてしまうかも知れない。
それは一番恐ろしい事かも知れないと思う。
「おはよう、ナタリア」
「おはようございます! マコト先生!」
「おはよう」
「エルザ先生もおはようございます!」
うんうん、最近は外でも先生呼びが定着してきたみたいだ。
「ナタリア、そう言えばプレゼントがあるよ」
「え?」
「今日から使ってみてほしい」
「これって……いいんですか?」
「うん、僕からのご褒美みたいなものだよ。性能もナタリア向きだ」
「あ、ありがとうございます!! 大切にします!」
性能的にもずっと使い続けられる逸品だ。
今から使い始めると成長した時には肌にも魔力にも馴染んでいるだろうし、頼れる相棒といっても過言じゃない武器になっているだろう。
嬉しそうなナタリアの反応を見ながら、僕たちはカルミア養成所へ向かうのだった。
「よっ!」
「完全に生徒として学ぶ予定ですか?」
「そう、邪険にしないでくれよ。俺たちにも良い学びなんだって」
「はぁ……」
「今日は一杯奢るからさ」
「いえ、攻略の方も誘って頂けていますし大丈夫ですよ。それに一杯じゃ、済まないでしょロマンさん」
「ははは! それは手厳しいな!」
午前の講義には紅の煉獄メンバーも参加するのが恒例になりそうだ。
そのまま、一緒にお昼も済ませては午後は実施訓練としてダンジョンの5階層~9階層を突破するのも恒例になった。
そのまま、冒険者ギルドの素材買い取り所で素材を売っては、ノルトメ商会のごはん処で夕食を済ませてはイリナとナタリアを送り届けて夕方は紅の煉獄と合流しては攻略を始める。
「15層からは更に厄介になるぞ」
「っと、いうのは?」
「あぁ、やってみたが分かるが蜘蛛が増える」
「あぁ……だから、もう蜘蛛の巣が見えるのですね」
「はっ? 見えるのか?」
「お前らは見えるか?」
「いや、ロマンと同じく俺も見えん」
「あたしも見えないね」
「アンナと同じく私も……特には見えません」
「マコト……本当に見えるのか?」
「うっすらと、ですが……」
ダンジョン内の光にキラリと照らし出される薄い糸が目には見えている。
全知全能さんを通して視たら、視界は糸の線で張り巡らされた視界になる。
「触れることで振動が発生しては蜘蛛に伝わるのか……」
試しに軽く触れてみると、その糸を生み出した蜘蛛か、担当する蜘蛛だろう。
モンスターが現れてはトレントと共に襲い掛かってくる。
「でも、やり方は変わらないと……」
「あぁ、まぁ、燃やしては斬る! これに尽きるな!」
「エルザ……ごめん、今日も回収お願い出来る? 後は糸の方も纏めるからお願い」
「うん、分かった!」
エルザの返事を聞きつつ、風魔法を上手く利用しては折れたトレントの枝を回転させてはクルクルと蜘蛛の糸を巻き取っていく。
ある程度の大きさになったら、また同じ要領で巻いていく。
トレントは見つけ次第に火の玉で急所を一気に焼ききっては素材に変えていく。
「……これ、俺の出番あるか?」
「今日もあたし達は素材集めって感じね」
「ダンジョンって、こんな所じゃ無いんですけれども、ね……」
最後の声はユリアだろう。
回復魔法の必要性も無いのだと判断してか、ロッドを仕舞っては、イソイソと素材の回収を始めていた。
「この調子で行くかな」
とりあえず、全知全能さんを頼りつつも、目に見えている糸を巻き取りつつ、それに引き寄せられた蜘蛛は同じく急所をトレントと同じく火の玉でひと突きしては素材に変えていってはダンジョンを進んでいく。
「もうボス部屋か……」
「……早すぎる」
バラノフの驚いた顔は新鮮だ。
普段から寡黙な感じだからな。
ロマンは開いた口が塞がっていないが、うん、その反応も見慣れてきた。
「では、攻略開始しますよ!」
そう、言って扉を開いてはボスとご対面だ。
「ギギギギ──!!」
人か?! と一瞬身構えたが、それは上半身の話だ。
下半分は蜘蛛で、アラクネと全知全能さんでは表示されている。
「アラクネ?!」
「大蜘蛛じゃないの?!」
「ロマンさん、アンナさん。何か違うのですか?」
「あぁ、マコト。本来はここはトレントと大蜘蛛がボスで出てくるんだ」
「大蜘蛛?」
バラノフの答えを聞きつつ、目の前の敵を見定める。
いや、周囲にはトレントが生えていては、そこをどう見てもアラクネが移動しては攻撃を今でも仕掛けて来そうな勢いだ。
「何か、変化した条件でも……」
「分からん! だが、俺でもハッキリと分かるのはマコト! お前は異常な早さで攻略しては被害も出てないって事だ! ダンジョンが何かを考えて対策してきてもおかしな話じゃない! 俺たちはどうすればいい!?」
「ロマンさん達はエルザと後方へ下がってください! 僕の攻撃に巻き込まれないように! 後方のトレントは対応お願いします」
「分かった! お前ら! 下がるぞ!!」
「ギギギギ──!!」
「さて、お前の相手は僕だ。行くぞ──!」
一人残った自分を敵とアラクネは判断したようだ。
糸を通してか、トレントの指揮もしているようで、周囲のトレントから一気にツタが僕の方へと殺到してきた。
「へぇ……便利だね」
「ギギ──?!」
上半身は人でも話すことは出来ないらしい。
飛んで避けては殺到したツタを風魔法で切り落としては、今までと同じ要領でアラクネの糸を一気に巻き取っていく。
ただの蜘蛛とは品質が違うのは目に見えて分かっていた。
これは良いお金になるはずだ。
ドンドンと巻き取っていくと、アラクネが動揺したように後ずさっては糸を吐き出しては攻撃を仕掛けてくるが、これ見よがしに糸をツタを拾っては巻き取りあげていく。
「もう出ないのか?」
「ギギ……。ギィー!!」
「毒液か!」
ラッキー! じゃない!
普通なら危ないんだった。
全知全能さんでは猛毒と表記されてるが、自分へは効かないとも伝わってくる。
サッと瓶を取り出しては、同じく風魔法で空気を圧縮させつつ瓶に毒液を一滴も無駄にせずに封入していく。
「────」
「もう、何も出ないのか?」
周囲のトレントは全て素材に成り果てては、目の前のアラクネは四肢が斬り倒されては、飛び移る木もなく、地面に横たわっている。
途中から、アラクネが身震いさせては何も吐き出す事も出来なくなっては、飛び移るトレントも無くなり、ブルブル震えては足を必死に動かしてる際は後方からのもう許してあげて……という、気配が濃密に流れて来ていたが、僕には関係の無いことだ。
目の前にあるのはアラクネ……もとい、素材だ。
それも極上のだ。
剥製として売れば……どうだろうか?
そんな風に邪な考えがアラクネに伝わったのか、アラクネは両手を上げながら泣き喚き始めていた。
「ギィー──ギィー……・・・・」
「これで、よしっと」
最後は凍らせては魔法袋に仕舞いこんだ。
うん、高く売れるのは確かだ。
だが、どのやり方が一番高くなるのかは僕じゃない、専門家が一番詳しいだろう。
そう言う事で凍らせてみたが、クリア判定になったようだ。
アラクネを仕舞い込んだら、ポンッと宝箱が部屋の中央に現れてくれていた。
「さてさて……」
何かな? 何かな?
うん、アラクネはどうやら特殊条件っぽい。
これは期待に胸を膨らませても良いだろう。
そう、ドキドキとワクワク──そう、これが冒険だと期待を込めていたのに……。
【普通のローブ】
うーん……?
何かなー? これは?
もう一度、全知全能さんを通して再確認しても同じだった。
「…………」
僕の怒りが伝わったのか、ジリジリとエルザ含めても宝箱へと近寄っていた足を止めては離れて行っている。
いやいや、良いんだよ?
宝箱の中身はなんでも、さ。
開けるのは楽しみだもの。
それに普通の人なら中身は開けるまで分からないものね。
普通の人なら、ね。
「はぁ……」
スッと宝箱に手のひらを当てて、もう片方の手はダンジョンの床に。
ビクッとダンジョンが震えた気がしたが僕には関係ない。
ズズズ……と魔力を同じく最初は淀みを取りつつ、通りを良くしては不浄なものは浄化しては宝箱に魔力を注いでいく。
ガタガタ──ガタガタ──ギィー……ギィー……・・・。
今回は容赦なく注いでいくと、宝箱は気絶したように意識を手放したのか大人しくなる。
そのまま、注げるだけ注いでいくと──バンッ。
突然、宝箱が例の如く爆散した。
【アラクネのローブS】
アラクネの強靭な糸にて編み込まれて作られたローブ。
装備の下に着ることで、より強力な護りになる。
※
──。
うん、満足だ。
ニッコリと満面の笑みで後ろに振り向くと、どこか怖いものでも見たかのような表情で紅の煉獄含め、エルザも見てきていた。
「ほら、20層に降りよう?」
「あ、あぁ……」
「今日は20層で終わりにしよう!」
そう、場の空気を明るくする風にいったのだが、ドン引きな目は変わらないのだった。
「オオオオ! これは凄い! 凄い! アラクネ!!」
フォォォォ──!!
と、ノルトメ商会の素材買い取り所に来て、アラクネを取り出したら、異様な空気のフィーバーを生み出してしまっていた。
周りのお客様もギョッとした顔でアラクネを見上げていた。
その中でもチラホラと惚れ惚れと見ている者も居る。
まぁ、見る分はアラクネは美人というか幻想的なのだ。
好事家は一定数現れそうだ。
「ありがとうございます!! ありがとうございます!! お値段ですが……後日でも良いでしょうか?! 絶対に損はさせません!!」
「えぇ、後日でも大丈夫ですよ。私にはベストな売り方も分かりませんから」
「任せてください!! このような凄いものを本当にありがとうございます!! 私どもの全てを持ちまして、最高の売りを果たしてみせましょう!」
そう、胸をドンッと叩いて買い取り所の店長は大きな声で言い放っていたが、もう既に販売は始まっているのだろう。
耳を潜めてはアラクネが出品されると情報を入手したであろう人達が、こぞって主人に報告に行くのだろう。
何名かが既に動き始めていた。
「この蜘蛛の糸も素晴らしい。場合によっては服を仕立てあげて売り出すのも……。はっ! マコト様、すみません。とりあえず、こちらが今のところの買い取りの金額になります。本日中には口座に入金させて頂きますので、お確かめを!」
「こんなに良いのですか?」
「当たり前で御座います! こちらこそ、これからも贔屓にお願い致します!」
なかなかの金額だ。
サインをしては後の処理をお願いしては買い取り所を後にする。
「マコト! 終わったか?」
「はい、稼ぎも上々でした。でも、本当に分けなくて良いのですか?」
「あぁ、攻略は俺たちが頼んだ事だしな。それに一応、有名クランなんだぜ? 多少の懐の暖かさはあるぜ」
「ふーん、でしたら今晩の呑みは……」
「! いや、そこは……」
「分かってますよ! 行きましょう! 今夜も奢りです!」
「おう! そうこなくちゃな!」
そして、ごはん処へ来ると──もう既にアルコールが入っているのか、どんちゃん騒ぎの店内になっていた。
慌てて店長がやってきては、その売上に嬉しそうな悲鳴をあげていたが、すぐさま、いつもの席を用意してくれてはロマン達含めて、僕たちも早くにそのどんちゃん騒ぎの輪に加わる自体になるのだった。
「よ~し!! 今夜のアルコールは俺の奢りだ! 皆、呑んでくれ!」
うん、言った後で全知全能さんが急遽冷静になるようにアルコールを分解したのだろう。
って、全知全能さん……そんなこと出来たの?!
いや、出来るのか?
そうじゃないと勝手にマッピングとか出来ないものな。
これがもしかして賢者モード?!
普段は意識してなかったからこそ、気付けた衝撃はあったけれども、すぐさま目の前の光景が飛び込んでくる。
「マコトぉ~うふふ」
うん、エルザは片手にシュワシュワを持ちながら、僕にベッタリと抱き付いて来ている。
そして、紅の煉獄含めて、店内に居るお客さんと仲良く腕を組ながら、アルコール片手に意気揚々と歌っていた。
あれ?
僕たちのテーブルは?
気付いたら仲良く輪になって、お客さん全員と呑み交わしていたようだ。
これが飲みニケーション?!
そして、嬉しそうなホクホク顔の店長。
あっ、そっかアルコール代は全て持つと言ったばかりだ。
酒に呑まれても呑まれるなだったか……。
いや、でも……うん。
稼ぎはさっきので充分だ。
投資だ投資。
そう割りきれば、これも楽しく思えるのは不思議な事だ。
「店長! シュワシュワ追加で!」
そう、声を掛けるとまた一段と嬉しそうな声で店長の声が返ってくる。
今夜は寝かせないぜ!
っと、心の中で言いながら、もう一度この瞬間を楽しみにトリップし始めるのだった。
「…………先生、大丈夫ですか?」
「マコトさん……」
「うっ……すみません」
「お母さん、言ってたよ? 酒には呑まれるなって」
うっすらと目を開けると酔いつぶれたお客とロマンの顔。
そして、少しばかり目線をあげるとアルメンとナタリア、そしてもう少し逸らすとロマンを起こすカールが居た。
「お父さん! ……親父!」
「……! お、おぅ」
「お母さん怒ってたぞ?」
「……まずいのか?」
「……」
コクッとカールが頷くと、少しだけロマンの顔がアルコールの影響ではない青さを出していた。
少し目線を更に逸らすと、アンナとユリアは少しだけ衣服がはだけてハレンチな感じに。
バラノフの机に突っ伏しては片手にはまだ日本酒もどきを握りしめていた。
いや、まぁ、日本酒でも良いだろう。
うん、上手く出来ていた。
「ん……あれ? ……」
あっ、現実逃避はそこそこにしておこう。
王女様──そう、エルザが起きたようだ。
今回はすぐに状況を理解したらしい。
「はぁ……マコトさん。一応、後もう少しで講義の始まりの時間ですが……」
「く、クリーン! アンチポイズン!」
アンチポイズンは……まぁ、うん言葉が必要だと思っていってみた。
二日酔いもある意味毒と言える。
一気に酔いを覚ましてはクリーンで清潔さだけは取り戻してみる。
紅の煉獄メンバーにもやるのはサービスだ。
決して、怒られる責任配分を増やそうとした訳じゃない。
と、言ってもアンナとユリアは気を取り戻したら、はだけた服装に気付いては顔を染めては着直していた。
バラノフも取り繕おうとしては、咳を一度吐いては身なりを整えていた。
「マコト先生……」
「な、何かな……」
「親父……」
「ん?」
「「ダサいよ」」
グサッと心に刺さった感じがした。
ロマンも同じだったのだろう。
ガックリと項垂れてしまったと気付いたのはロマンと同じく、横を見ては目が合った瞬間だった。
けれども、その時にはロマレンの冒険者の間、いずれは普通の人達にも僕が攻略に出ては戻ってきた日にはアルコールがノルトメ商会のごはん処で飲み放題になると噂が独り歩きし始めていたのだった。
そして、セルゲイの方でも市販用のアルコール販売がいきなり需要が増えては忙しくなっていくのだった。
その背景に僕が居るのに気付くのにセルゲイはそう時間が掛かる事はなく、僕自身も噂を知った頃にはアルコールを振る舞う宿命から逃れる術はないと腹を括るのだった。
まぁ、その効果では無いけれども……冒険者ギルドに顔を出しても怖れられる事は無くなったけれども、どこか崇拝される目で見られるようになったのは、何とも言えない気持ちになるのだった。
うん、まぁ、その話しは置いておいて。
目と目があったロマンと僕は項垂れつつも、そのままナタリア達と一緒にカルミア養成所へと向かうのだった。
そう、日常は絶え間なく溢れているし、今日もまた始まりを向かえるのだった。
飲んでも飲まれるな。
うーん……。
うん、しばらくは……ダメそうかなぁ──。
そんな気がうっすらとしています。
うっすらと、ですが。
さて、攻略も次からは20階層ですね。
順調に進んでる感じに見えますが、果たしてトントン拍子で行くものでしょうか?
トントン拍子なら、他のクランもトントン拍子なはずですが……。
アラクネのローブもご褒美になるのでしょうか?
では、また次回にて。