表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

25/27

攻略は5層~そして、10層へ。臨時講師に紅の煉獄登場!え?実力試しですか?

5層からの攻略開始です!

スタミナの問題は身体作りから?

日々、良い刺激を受けつつカルミヤ養成所の生活は過ぎているようです。

何事もなく日常は過ぎているようで……?

「ボリス──正面を頼む!」

「あぁ! 任せろ!!」

「ナタリア! 私に合わせて!」

「分かったよ、イリナ!」

5階層──コボルトから変わって、ミノタウロスが主なモンスターになったダンジョン構成になっている。

ボリスは上手く身体をさばきながら剣を這わせてはミノタウロスから放たれる強力な攻撃を逸らしている。

そこをカール含めて、イリナとナタリアのアタックが決まっては倒している。

ただ、今のところは5階層で充分だろう。

現れるミノタウロスも1体~2体で、これより下の階層だと複数体になるのは目に見えている。

今の実力だと能力が不足しているのは当人達も気付いているようだ。


「今日はここまでかな……。皆、お疲れ様! スクロールは人数分揃いましたか?」

「はい! ノルマの8個揃いました!」

「うん、ではカール皆に分けて貰っても良いですか?」

「分かりました!」

教師陣の自分達の分も含めて、ミノタウロスからポップしたり、宝箱から取れる分も含めてスクロールの人数分を目安に今は攻略をさせているところだ。

ゴブリンの頃に比べたら、難易度が上がった分、スクロールの出現率も上がった気がする。

後は、あれ以降リーダーを変えながらやっていたが、今のところ生徒達の意見からリーダーはカールが務めるようになっていた。

カール自身も父親への憧れから、やる気は満ち溢れているし、実力面でも劣っている部分は無いので充分だろう。


「では、入り口へ!」

「「はい!!」」

そして、入り口に戻り次第、これもルーティンになって来ているが、冒険者ギルド御用達の素材買い取り所でミノタウロスや、それらから落ちた素材、宝箱から出現したアイテム等を売り払っては生徒達が等分して金銭を分ける。


「今日もありがとうございました。俺はこのまま帰宅します。また、明日──」

「おう、ボリス! また、明日な!」

「あぁ、カール。また、明日」

ボリスの直ぐに帰宅直帰なのも見慣れた光景になってきていた。

講義の方も魔法句に合わせて、エルザがリディアのサポートとしては講義に参加してイメージと魔力の供給に関しての説明をしつつ、リディアも合わせて無詠唱魔法に関しても教えるようになった。

戦闘面や、知識や知恵に関してはアルメンの講義の際に自分も暇を持て余してしまっていた所もあったのでサポートとして参加するようになった。

主にアルメンと生徒が対面で教えている際に不意打ちをする形で認識外からの攻撃を加えたり、ずる賢い攻撃方法を教え込んでいる。

なので、自然と頭ではなく、身体が自然と反応するように仕向けているのだが、その成果がダンジョン攻略を見ていると実を結び始めているのが手に取るように分かって嬉しいところだ。


「マコト先生! 今日もノルトメ商会のごはん処──」

「ふふっ。あぁ、大丈夫だよ。行こうか。今日も奢りだ!」

「「やった!!」」

お金に関してはジャンジャンと手数料含めて銀行に溜まり続けている。

なので、懐は暖かいので、こうやって講義終わりに奢るのもルーティンに入って来ていた。


「マコト様いらっしゃいませ。お席はいつもの場所を──」

そして、お店側も特別席を用意しているのも恒例になっていた。

ま、問題なく日々の生活は送れていると僕は思っていたのだった。


「思ってたんだけれどもなぁ……」

「んぁ? なんだ?」

「あぁ……いや、こっちの話だ」

「それで、カールよ。あそこの先生がマコトなのか?」

「父さん! マコト先生だよ!!」

「いや……だが、お前と年齢も変わらんぞ?」

「うっ……それは……」

「マコトさんよ、噂はかねがね聞いてはいるが、本当にプラチナになのか? 会長……アレクサンドルのじじいもお前には敬意を払っていたが、俺にはそうは映らないのだがな」

「と、父さん!」

「カール、とりあえず大人しく向こうへ行ってろ。お前の話が良く分からなくて、わざわざここに来たんだ」

「ロマン、もう少し息子には優しくしたら?」

「なんだよ、アンナ? お前が一番気になってるんだろ? 無詠唱の話聞いて、怪訝な顔をしては問いただそうと言ったのはお前だろ?」

「そうだけれども……順序ってものが……」

「いいんだよ、使えるものは使ってなんぼだろ? それにどこかの機会ではカルミヤ養成所には来たかったんだ。後か先かの問題だ」

「はぁ……まったく。それで、エルザ様? 王女様も無詠唱に関して教えてるのよね? どうなのかしら?」

「……とりあえず、今は講義中ですのでお引き取りを」

「はぁ?」

「ロマン……。相手の言い分が正しいぞ」

「バラノフ……だがなぁ……」

「そうですよ、ロマン。私も講義の邪魔は宜しくないと思います」

「うっ……わぁたよ、ユリア。おい! マコト! 講義終わったら来いよ! 待ってるからな!!」

これが午前の魔法の講義の最中の出来事である。

アルメンが慌てた様子で呼びに来たから何事かと思ったら、カールの父親……ロマン。

そのクラン──紅の煉獄が来ていた。

内容としては無詠唱の件とかなのだろうか?

とりあえず、アルメンが応接室へ案内しに行っていたけれども、なかなか──濃いな。


「マコト先生、すみません……」

「いいよ。カール、大丈夫だから、今は講義に集中しなさい」

「は、はい!」

とりあえず、生徒には講義に戻しつつ、これからの対応に頭を捻ってみるのだった。


「それでは、改めて初めまして。私がマコトです」

「あぁ。プラチナランク様のな」

「ロマン……」

「なんだよ、バラノフ」

「いや、大人げないぞ?」

「……」

うーん?

なんだか、腹に一物も二物も抱えてそうな感じだな。


「えっと、ごめんなさいね。ロマンはその……妬いちゃってるのよ。そのカール君から沢山、冒険者の事に関して聞かれると胸踊らせていたのに、口から出るのはマコトさんの話ばかりだったから……」

「なっ! ユリア! おいっ! 違っ……いや、違くは……」

「あたしは別よ! あたしは無詠唱に関して聞きたいだけだから」

目の前の4人パーティー、これがロマレンで活動しては有名クランになった紅の煉獄だ。

ロマンはリーダーで炎系の近接戦闘が得意で、バラノフはタンク、アンナは魔法全般、ユリアは回復特化という話だ。

とりあえず、ロマンの腹に抱えていたのは息子からの羨望の眼差しが無くなった事からの嫉妬心なのだろうか……。

悟られないように心の中で溜め息を吐きつつ、どうするか再度思案をするのだった。


「それで、えっと……目的は?」

「あ? 目的……いや、目的……?」

「ロマン? あたしは無詠唱魔法を確認したいって言ったわよね?」

「あ、あぁ……分かってる」

「すまない、勢い任せで来てしまったのだ」

「あっ、でも私たちちゃんと会長の許可を貰っては訪問していますよ?」

「……はぁ」

「なっ!? 溜め息を吐いたのか?」

「とりあえず、落ち着いてください。アルメンさん」

「は、はぃ?!」

うん、急に遠くから私は関係ないですよーと言いたげなアルメンを呼んだら、それは驚くだろう。

だが、確認したいことがあるのだ。

許して貰いたい。


「戦闘や立ち回りに関しての講義の時間を割いて貰っても良いですか?」

「え、えぇ! 構いませんよ?!」

「それなら、良かった。後は使えるか確認か。アルメンさん、冒険者ギルドへ行って訓練所を暫く利用できるか確認取って貰えませんか? 私の名前使って良いので」

「は、はい! 今、確認してきます!」

そう言って、アルメンは駆け出しで冒険者ギルドへと確認に行ってくれる。


「ん? 何を考えてるんだ?」

「いや、実際にこういうのは感じて貰うのが1番だと思いまして。それに生徒も見取り稽古けいこには意味がありますから」

「いやいや、俺が言いたいのはそうじゃない。マコト、控えめに言って、お前の実力で俺たちを相手取ろうとしてるのか? って、聞きたいんだよ」

「? ロマンさん、そのままの意味ですが?」

「なっ?!」

「ロマン、落ち着け。仮にもプラチナランクだ。確かにやってみないと分からないかも知れないぞ?」

「は? お前まで何言ってるんだ、バラノフ」

うーん、それ以降、紅の煉獄はメンバー間で揉め始めたが、それは向こう側で解決して貰おう。

席から飲み物を取ろうと立ち上がったら視線を感じては窓の外に目を向けるとエルザと視線が重なるが、仕方ないなぁ……という反応をエルザは見せるだけで、そのままリディアと生徒を連れて教室に戻ったみたいだった。


「お、お待たせしました! マコトさん、訓練所の方ですが今すぐに利用出来るように空けるようです! 時間もそちらで使い終わるまで良いとギルドマスターのマキシムが言ってました!」

「それは朗報ですね。分かりました。アルメンさん、忙しくしてしまって、すみません。多分教室に今頃、リディアさんとエルザも生徒を連れて戻っていると思うので、次の講義は見取り稽古と伝えて、冒険者ギルドの訓練所に来てください。私は先に用意もあって、向かいます」

「わ、分かりました!」

そう言って、アルメンは息を整えては再度、応接室から出ていく。


「紅の煉獄様も用意出来たら、訓練所に来てください。私は先に向かっていますので」

「な?! チッ、分かった。後悔するなよ?」

「えぇ。それではお先に失礼します」

流し目で応接室から出ていく。

少しだけ挑発的だったろうか?

ま、でも、自分も人間だ。

いや、種族的には神だけれども心は常に人間だ。

講義を邪魔されたのと、エルザに関してもとやかく言われたのは看過できるものではなかったみたいだ。

自分の心情にも少しばかり驚きつつ、僕は冒険者ギルドの訓練所へと向かう。


「さて、保護をもう少し厚くしないとかな」

冒険者ギルドに入ると、例の如く、サササッと蜘蛛の子を散らすように人がバラける。

職員の方はやっと慣れて来たのか、笑顔はぎこちないが対応してくれるようになってくれたのが僕の中では救いだった。

とりあえず、そんな中だけれども、無事に冒険者ギルドの訓練所の場所を案内して貰っては利用できる区画に着いたのだった。

ま、パッと見だけれども脆い。

いや、脆くはないのか……通常の人達の強度には耐えれる魔法障壁だ。

しっかりと聖魔法で人命の保護も兼ね備えている。

ただ、僕の魔法や紅の煉獄達の強さは未知数だけれども、耐えれるかと問われると疑問符が生まれる。


「多少なら良いか……」

魔法創造と空間創造のextraskillを利用して、障壁と保護を更に厚くしては強化する。


「何かあるとカールが悲しむからね」

ロマンはカールの父親だ。

何かあったら、それだけでも問題だ。

まぁ、向こう側は僕の実力事態を疑っているようだけれども。

まぁ、確かに言われてみたらそうだろう。

僕自身が16だ。

ナタリアも1個下の15歳だ。

カールも同じくらいのはずだから、ロマン含めて紅の煉獄メンバーから見ると疑ってしまっても仕方ないだろう。

僕自身、第三者の視点で見るとしたら疑ってしまっても仕方ない。


「後は皆が揃うのを待つだけかな」

一通り、済ませたら剣を取り出す。

初期の頃のスライムダンジョンから産み出した剣だ。

長く使い続けていたら勝手も良く、取り回しも楽で愛着も沸いて来ていた。

ちょこちょこと錬金もしているので、レア度を問われるとおかしなレベルに仕上がっていると思う。


「ん? なんか、防壁変わったのか?」

「え? 私、そう言うのはちょこちょこと冒険者ギルドには来てるけれども、聞いたことはないけれども」

そうこう、剣の手入れをしていると訓練所の入り口から声が聞こえてきて見てみると紅の煉獄が来ていた。

その背後にはリディア、アルメン、エルザ……その他生徒達も見える。


「よぉ! 待たせたな。準備は良いのか?」

「えぇ。用意は済ませました」

「それで戦闘方式はどうするんだ?」

「1:4で大丈夫です。どちらかが倒れるか降参を言うか。それまでは戦う方式にしましょう。魔法も何もかも自由で制限は設けません」

「……いいのか?」

「えぇ、生徒にも良い立ち回りとかの見取り稽古になりますので」

「チッ……分かったよ。弱いもの苛めは嫌いなんだがな」

「余り見くびっていると大変な事になりますよ?」

「ッ! 言ってろ! 後悔するからな!」

ロマンと離れてはロマンは紅の煉獄メンバーと合流しては配置を整える。

僕の場合は先ほどの剣を取り出しては、スッと構える。


「エルザ! 合図をお願い!」

「分かったわ。では、両者……始め!!」

「────なっ!!」

エルザの合図と同時に一気に加速してロマンに接敵しては一閃。

流石、有名クランとも言われるリーダーのロマンだ。

咄嗟に反応をしては僕の一閃を弾き返していた。

だが、一気に緊張が生まれたのか、額からは汗を流していた。


「流石の反応速度ですね」

「おいおい……どうなってるんだ」

「次、いきますよ! 防いで下さいね!!」

「なっ! アンナ! ユリア! 防御を!」

「「無理!(間に合わないわ!)」」

「俺が止める……!! うおおぉぉ──!!」

今度は無詠唱で意趣返しでは無いけれども、ロマンの得意な炎系の魔法で一気に炎を生み出しては紅の煉獄に浴びせる。

タンク役のバラノフが前に躍り出てはその巨体に見合う盾で炎を防ごうとするが、それだけでは無理だ。

少し遅れて、アンナの風魔法で炎を散らそうとしても全ては散らせない。

更に遅れて治癒魔法でバラノフの身体の治癒速度を高めつつ、回復もさせるがギリギリだったようだ。

防ぎきった後は全員、肩で息をしている状況だった。


「さて、本気で来ないと危ないですよ?」

「すまん、俺が見誤ってたみたいだ。お前ら、本気で掛かるぞ」

「えぇ、無詠唱……この目で確認して危険は分かったわ」

「私も回復と治癒……後は防御にも回りますね」

「ッ……この盾、気に入ってたのにな……」

バラノフの盾はもう役目を終えたと言いたいようにボロボロになっていた。

魔法袋に仕舞い込んでは新しい盾を取り出していた、こちらも大きい盾だ。


「マコト!」

「はい、何でしょう?」

「プラチナランクというのは分かった。本気で行かせて貰う!!」

「えぇ、最初から言っていますよ。本気で来てくださいと」

「その口だけは好きになれそうにないな!」

「お互い様です」

「お前ら、行くぞ!!」

そこからは混戦だった。

紅の煉獄メンバーは4人での動き方をしっかりと見せてくれていた。

立場を入れ換えたり、先行して魔法を放ったり、敢えて防御シールドを張っては挟み撃ちをしようとしたり──あの手この手と手を尽くしていくが、僕へは届かない。


「もっと、もっと早く……!」

僕の方は単調だ。

足止めに地面からトゲ状の攻撃をしたり、炎や氷の槍を飛ばしたり、同じように防御シールドを張っては動きを制限しては攻撃したり。

ただ、どんどんどんどん早く、正確に、無慈悲に追い詰めるように攻め立てていく。


「ぐぁ!」

バラノフを盾ごと、斬りつけては吹き飛ばす。

絶対の防御に自信があるからこそ、吹き飛ばされた際の立ち直りは遅い。


「よそ見はダメですよ」

回復しようとしていた、ユリアの回りの魔素を掻き乱すとユリアの魔法は失敗するのと同時に衝撃でユリアの動きは止まる。


「これなら……!」

「遅いです」

「キャァ──!!」

アンナの魔法が発動するよりも早く、小さな魔法を大量に発動させては浴びせるとアンナが一番早くに退場する。


「ッ! くそぉ!」

「いつまで持ちますか?」

「なめるなッ!」

そこへ、ロマンが炎を剣に纏わせて襲い掛かって来るが、冷静に捌いていく。

炎を更に身体にも纏わせては速度を上げて来るけれども、僕には届かない。

暫く、付き合っては炎が揺らめいたタイミングで弾き飛ばす。


「ッ! ロマン! くそッ!」

「その盾では何も出来ませんよ」

「シールドバニッシュ──!!」

大きな盾を振りかぶっては攻撃に転用してくるが、僕は腕に風を纏わせてはトンッと盾を手で掴み押さえる。


「なっ?!」

「だから、想定外を想定して動くべきです」

「ガハッ」

そのまま、盾ごと投げ飛ばすとバラノフの意識は落ちる。


「えっ……」

「ユリア……俺に補助魔法を……」

「わ、分かりました!」

「マコトぉ──!!」

おろおろとしていたユリアへ、指示を出した復帰したロマンはラストアタックに挑む腹積もりなのだろう。

補助魔法を掛けて貰っては一気に突っ込んでくる。


「く……そっ……」

「お疲れ様」

だけれども、炎を出す魔力も尽きたのだろう。

多少底上げされた力では敵うはずはなく、僕は冷静に斬撃を捌いては、逆袈裟斬りで斬り伏せる。


「さて、最後はあなただ」

「こ、降参です──」

うん、彼女のロッドでは戦えないだろう。

いや、ナタリアならロッドに魔法の刃等を這わせて戦えるから、その分のアドバンテージの大きさの違いを今回の見取り稽古で学んで貰えたら良いのだけれども。


「降参か……こういうのは出来ないのかな?」

「え? え? ど、どうやるのですか?」

「また、今度知りたかったら教えますよ」

「……お願いします」

うん、参考にロッドを取り出しては魔法の刃を纏わせたりして見せたのだが、ユリアは目を丸くしては驚いていた。

なかなか、これは……可能性の幅が狭かったのだろう。

今回の件で、紅の煉獄も学ぶ事があれば良いのだけれども。


「うっ……」

「父さん……!」

「あぁ、ロマンか。父さん、負けちゃったわ」

「ううん、お父さんカッコ良かったよ!」

「そ、そうか? そうか……」

「うん!」

なるほど、ロマンとカールの方は大丈夫そうだな。

訓練所だけれども、実際に身体にはダメージは入る。

暫く動けるようになるまでは横になってるしかないだろう。


「ねぇ……ねぇ……ねぇ──たら!」

「なんですか?」

「魔法よ! 何よ、あれ……反則よ」

「はぁ、魔法に反則も無いし、敵は待ってくれませんよ?」

「敵……ねぇ、モンスターとかはさっきみたいにレスポンス無しで魔法を使う時はあるけれども、それと同じ原理なの?」

「……」

ん?

賢いな、この人。

そっか、冒険者ならではの気付きだ。

魔物にも確かに魔法みたいなものを使うやつが居る。

それに無詠唱みたいに魔法句無しでだ。

冒険者……更に高位だからこそ、気付けた着眼点なのかも知れない。


「確かに似たようなものだ。魔法とは魔力とはどこから生まれると思う?」

「大気中の魔素でしょ?」

「なら、魔素から魔法になるためのステップは?」

「え? 魔法句……いや、でも無詠唱だと魔法句は無いから……」

「イメージだよ。想像力が魔法に直結するんだ。魔法句はそれらを補完するものでしかないよ」

「そんな……だって……」

「そうじゃないとモンスター……魔物の魔法には説明がつかないんじゃないかな?」

「えぇ……確かに……」

思考は柔軟みたいだ。

これなら、習得も早そうだ。


「ねぇ、魔法を教えては……」

「それは生徒と一緒にエルザから学べば良いのでは?」

「なっ……あたしは有名クランの──」

「有名クラン……ね」

「……分かったわ」

流し目で今の惨状を見やってやると、諦めたようにアンナは息を吐いては頷いていた。


「……すまない、時間よいか?」

「あなたは……」

「バラノフだ。改めて、よろしく頼む」

「あ、はい」

「…………」

「えっと……?」

「すまない。俺に足りない部分があれば教えて貰いたい」

「足りない部分ですか?」

「あぁ、俺には絶対的な防御の自信があったが、今の戦いでそれは間違いだと思い知らされた。俺には何が足りないと思う?」

それは難儀な質問だ。

何よりもバラノフみたいなタイプの場合は伸び代があるとしたら、更に防御力を高めるか、多方面に伸ばすかの選択肢しかない。


「逆にバラノフさんはどうしたいのですか?」

「む? それはどういう意味だ?」

「更に防御を高めたいですか? それとも、もっと他の動きをしたいのですか?」

「俺は……このクランの護りだ。もっと、もっと硬くなりたい」

「硬くですか……」

「あぁ」

なら、更に防御を高める方面だ。


「幾つか……あります」

「本当か!」

「1つは装備を更に強固にするパターン。2つ目はタンクとして引き付け当のスキルを更に磨くパターン。3つ目はロマンさんみたいに盾と魔法を掛け合わせて使い分けるパターンです」

1つ目単純な防具や装備の見直しだ。

2つ目はskill盾術のレベルを上げる方面だ。

3つ目は盾と相性の良い魔法を掛け合わせてみることだ。

理想は土、それか闇系統の重力方面だろうか。

自分の説明を細かく聞いたバラノフは目を輝かせては頷いては合間に確認を含めて聞いてくるのだった。


「マコト先生……すみません、午後はどうしますか?」

「いつも通り、いきましょう。ただ、お昼は冒険者ギルドで取りましょう」

カチャン──。

ガタガタ──。

うん、そっか。

僕は魔王か?

あの後、紅の煉獄メンバーが動けるくらいに回復したら一緒に食事を取ろうと冒険者ギルドの食堂に来たら、僕を見た冒険者の方々は皿を落としたり、慌てて口に食べ物を含んでは逃げるように去ってしまっていた。


「マコト先生……」

「いやぁ……あはは」

「あの噂は本当だったんだな」

「噂?」

「お前が冒険者ギルドを襲撃しては恐怖のドン底に陥れたって噂だ。その場に居なかった有名クランや、他のクランや冒険者にも出回っている噂だぞ?」

「はあ……」

ロマンがどこか楽しそうにしながら、話ながら食べ物を頬張ると美味しそうな匂いが流れてくる。


「カール? 今5階層を攻略中なのか?」

「ん? そうだよ、父さん」

「そっか……マコトよ、俺たちも手伝っていいか?」

「え?」

「いや、なんだ……」

そうやって、周囲をロマンは見回して、周りに誰も居ないのを確認する。


「恥ずかしい話、俺たちも含めて他のクランも31階層からつまずいているんだ。俺たちを手伝ってくれないか? その代わり、俺たちもカルミヤ養成所の手伝いをする」

「……攻略ですか」

チラッとエルザを見ると、僕を見ては頷いてくる。


「エルザも一緒でも良いですか?」

「あぁ! 構わない! いいのか? いいんだよな? やっぱり、無しは無いぜ?」

「えぇ、では、こちらこそ、養成所の手伝いをお願いします」

「あぁ!」

そうして、ロマンと握手をすると他のメンバーとも手を握り合う。


「よしっ! ここは俺が奢ろう! 新しい臨時メンバーの迎え入れだ! 乾杯ッ!」

そう言って楽しそうにアルコール抜きのシュワシュワをロマンは煽って飲み干す。

普段はアルコール入りだけれども、まだ午後の講義があるからだ。


「よし、懐かしいな5階層……ミノタウロス……うん、懐かしいぜ」

「父さん、よろしくお願いいたします!」

「おう! マコト! 普通に二人1組で良いんだな?」

「えぇ。それで動きをツーマンセルで教え込んでいって下さい。必要な時は合間に入ります。目標は9階層突破で。そうしたら、今後は組み替えたりしつつ5層から9層を突破をノルマで講義をしていきます」

「分かったぜ! カール! 行くぞ!」

「はい!」

そこからは良い動きが見れた。

実際に隣を見れば先生が居る状況と動きをしっかりと彼らのレベルまで自然と引っ張られていく状況だ。

罠とか周囲の警戒や動き方も組み合わせが増えたことで、それぞれ柔軟性を持たせられるなった。


そうして、サクサクと進むとあっという間に9層のボス部屋へと到達していた。


「ブォォォオ──!!」

うん、ゴブリンキングの時と同じ仕組みだ。

キングミノタウロスが現れては通常個体のミノタウロスが時間差でドンドンと現れてくる。

一気に駆け出しては総当たりになるが、こちらには強力な先生、紅の煉獄メンバーが居る。

しっかりと立ち回りとかを教え込みつつ、難なくクリア出来た。


「あっ、宝箱!」

シュポッ──と、今回は現れるのは早かった。

精算するのが楽だったのだろう。

全知全能さんからの情報では最低ランクの防具だ。

うん、まぁ、お手伝いさんが強力だったからね。

まぁ、前みたいに無理矢理グレードを上げようとはしない。

勘弁してくださいと書かれてたしね。

僕は紳士さ。

そこら辺は弁えてるつもりだ。


そして、無事にクリアしてはそのまま冒険者ギルドの素材買い取り所からのノルトメ商会の系列店のごはん処で奢りつつ……そこで一旦、ロマンはカールを家まで送りつつ、僕とエルザもイリナとナタリアを家まで送っては第3の鐘が聞こえてくる。


「さて、行こっか」

「そうね」

「あら? マコトさんと、エルザちゃん、お出掛けですか?」

「はい、これから暫くは紅の煉獄とダンジョンに第3の鐘以降は潜る予定になります。毎日帰宅はしますので、ご心配なく」

「紅の煉獄……! 気をつけて下さいね?」

「はい、気をつけて行ってきます」

少しだけ不安そうな顔をタチアナは浮かべるが、それを取り除くように意識をしつつ笑顔を浮かべてはエルザと一緒にダンジョン──アビスへと向かう。

ナタリアは見事に帰宅してお風呂して、そのままベッドの中だ。

紅の煉獄とはダンジョン前で待ち合わせをしている。

僕は自然とエルザと手を繋いでは、エルザと共に夜のロマレンをダンジョンへ向かい進み始めるのだった。

カルミヤ養成所の臨時講師……講師……なのかな。

さて、紅の煉獄が増えそうです。

けれども、午前の魔法や戦闘技能に関しては彼らも生徒側として参加する魂胆なのは見え透いているような?

31層の攻略はやはり、どのクランも行き詰まっているようで?

攻略には初めての人は順当にクリアしていくしかない為に、マコトとエルザは10階層からの攻略になります。

午前と午後はカルミヤ養成所、夜はダンジョン攻略へと生活は変容していくようです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ