安心すると途端に眠くなるのあるあるだよね
「う、わあああぁぁぁあん!!楔梛も、ざい゛ごう゛の、孫だよぉおおぉお!!」
「え、え?泣いちゃった!?お、俺どうしたらいいの、カロ!?」
「ええ!?ボクに聞かないでよ~」
「ウッハッハッ!抱きしめてやればいいさ!」
「こ、こうか?」
泣いている凛さんを楔梛様がぎこちなく抱きしめる。
まだグズグズとしていたけど、さっきより落ち着いたみたいだ。
「うう~、ごべんね。楔梛」
「いいんですよ。好きなだけ泣いてください」
うんうん、和解できてよかったよ。凛さんずっと気にしてたからね~。
あ~あ、なんか安心したら眠くなってきちゃったな。
「ふぁ……」
「お、眠いのか?」
「あ、うん、ちょっと……」
「王様には後でちゃんと挨拶をしよう。オレが家まで連れてくから、そのまま寝てもいいぞ」
「いや、でも……」
「そうね~、優維ちゃんはちょっと休んだ方がいいわ~。回復薬は一時しのぎだからね~」
「……はい。じゃあクロさん、お願い、します……」
「おう」
——————————————クロ視点——————————————
「…………すぅ…すぅ……」
「お疲れ様」
すぐに頭の上から優維の寝息が聞こえてきた。
本当に頑張ったな。
「寝て、しまったのか?」
「おう。すまんな、王様。後でちゃんと挨拶しに行くよ」
「そうか……」
凛さんを泣き止ませたらしい王様が近づいてきて、おずおずと優維のことを聞いてきた。
寝てしまっていると伝えると、表情はあまり変わっていないが尻尾と耳が下がっている。王様は昔から表情に出すのは下手くそだが、声色と尻尾と耳は正直だ。
「残念そうにしなーいの!これから、もっとたくさん会えるんだから」
「……そうですね」
「王様~、ちょっといいかしら~?」
「どうした?」
スルク先生の声がした方を見ると、ディグとヒミがかしこまった様子で立っていた。
「初めまして、王様。オレは土竜獣人のダイモンの息子、ディグと言います」
「同じく、娘、ヒミ、です」
「ああ!あのド派手なダイモンの子供か!」
「……っす」
「それじゃあ母親はピリカか?」
「そう、です!」
ディグは苦笑い、ヒミはフンスという感じで反応が対照的だ。
そういや、二人は会うのは初めてか。王様が封印された後に、生まれてるんだもんな。
ダイモンは偵察部隊のくせに目立つことが大好きで、かなりの変わり者だ。しかし仕事はちゃんとこなす出来たやつだ。番になったピリカは同じ土竜獣人で、寡黙で言葉数が少なく部隊の中でもさらに目立たないやつだ。
最初こいつらが付き合ってるって知ったときは、皆して驚いていた。しばらくしたら、アイツらお似合いじゃんってなったけどな。
「あの二人は任務か?」
「はい、長期任務で長らく留守にしています」
「そうか、その間君らが見守ってくれていたんだろ?ありがとう」
「いえ、そんな……」
「……何かあったのか?」
ディグが何とも言えない顔でそういうと、何か察したのか王様の顔が険しくなった。
起きたばかりの王様に言うのは気が引けるが、仕方がない。
「王「王様、それはあっしから話しまさぁ」シューマ?」
「シューマ、何があった?」
オレの言葉を遮ったのは、意外なことにシューマだった。
シューマが自分に任せろという視線を送ってきたので、そのまま任せることにした。
「王様、まずはあっしについてきてくだせぇ」
そう言ってこの部屋の外へ出ていくシューマ、それに続いて王様、オレ達とついていく。
あの空間を見せるんだな。まあ、帰り道だから嫌でも見ることになるが、今の王に耐えられるだろうか。