フラッシュたかれるとバル〇!って言いたくなる
「優維、動けそう?」
「うん、なんか問題なさそうです」
ちょっと立ち上がって足踏みをしてみたけど全然違和感はない。立ち眩みもなかった。強いて言えば、背中とお腹がちょっと痛いくらいかな。
まだローブおじは動かない。
「………まだ時間くれるみたいだね。で、案はでた?」
『はい、万全とは言い難いですが…………』
『アイツの意識が要から逸れていることが前提だからね~』
『とりあえず、説明しますね』
~クロさん解説中~
『現状だとこれくらいですね。不確定要素が多いので何とも言えませんが』
「まあ、いんじゃない。剣が少しでも破損すれば、結界は完全じゃなくなる。その綻びが分かる人はいる?」
『ん』
『ヒミがすぐに見つける』
「頼もしいわね」
作戦は分かった。とりあえず、こちらに注意を引き付けておけばいいんだね。やることはさっきと変わらないか。
『シューマ、優維に7つ道具を渡していたが、その中に煙幕、閃光、音爆弾はあるか?』
『全部渡しやしたぜ』
『ふむ…………』
クロさんが何か考えているようなので、その間に7つ道具の確認をする。
えーっと煙幕は何もついてない白い玉、閃光弾は黄色のボール、音爆弾は灰色の玉にゴムのようなものがクロスして巻き付けてあるやつだったよね。うん、すぐ取り出せるね。
『よし!!』
「何か思いついたの?」
『はい。その前にシューマ』
『何でさぁ?』
『腕はなまってねぇよな?』
腕?何の腕だろ?
シューマさんは一瞬驚いた顔をしたが、すぐにニヤッと好戦的な笑みを浮かべた。
『当たり前でさぁ』
『ウハハッ!じゃあ皆、よく聞いてくれ。特に、凛さん、優維、シューマは』
クロさんが真剣な顔でこちらを見て、話し始める。
————————————————————————————
「なるほどね。面白そうじゃない」
「う、できるかな?」
『あっしがフォローしまさぁ』
『これで決めるぞ!』
「うん!」
「やるよー!」
さあ、反撃開始だ。
「話は終わったか?」
「なに?律儀に待っててくれたの?」
「最期の会話を遮るほど、野暮ではないわ」
むう、余裕ぶっこいていられるのも今のうちだぞー?
そう思いながら、ゴーグルをつける。もちろん凛さんもだ。
「休憩時間は終わりだ。演奏を再開しよう」
ローブおじの頭上には氷でできた蜂、小さな無数の雷の玉が浮かんでいた。
ん?よく見ると雷の玉ではなく、雷でできた小さな虫だ。うえ~、気持ち悪。
「いくよ!」
「はい!」
「ハッ!気でも触れたか?」
掛け声と同時に、凛さんを頭の上に乗せて走り出す。確かに見た目馬鹿っぽいけど、これも作戦のうち!
もちろん全方位に結界は張ってますとも、凛さんが!
「的が一つになって楽だな」
ローブおじが手をふるうと、氷と雷がミサイルのように飛んでくる。
ボフボフンッ!
走る途中で落としていった煙玉に魔法がぶつかり、次々と爆発し煙が上がる。
わお、予想以上に煙いね!
「なんだこれは!?ゲホゲホッ」
なん物理的にもか効いてるっぽいけど、こっちも視界はよくない。こんなに一瞬で煙が充満するとは思ってなかったよ。すごいね、シューマさん!
「優維、アイツは?」
「うん、わかるよ」
煙で見えなくても、あの黒い靄だけははっきり分かる。そりゃあもう気持ち悪いくらいに。
その靄に向かって、音爆弾と閃光弾を転がす。
「小賢しいわ!”鞭風”!」
かかった!
キィィィィイイィン!!!!
アイツの足元まで転がった玉に魔法がぶつかり、凄まじい音と閃光が弾ける。
離れているのに、かなりうるさい。光はゴーグルのおかげで全然問題ない。
これは至近距離で食らったら大変だ。
そして、これが開始の合図だ。
「ぬおおお!耳が!目がぁぁ!!」
ム〇カか!バ〇ス!やーいやーい、ざまぁみそ漬け!
—————————クロ視点———————————
光った!予想通りアイツもひるんでる。
「カロさん!」
「アーーチョオッ!!!」
バゴオ!!!
カロさんが砲台に乗った石柱に思いっきり掌底をすると、まるで砲弾のように石柱が飛んでいく。結界をすり抜け、まっすぐ要の剣へと向かっていく。
『ナニィイイ!!!』
『命中!』
通信石から轟音とアイツの驚いた声が聞こえる。凛さんの声を聞くに、うまくいったみたいだ。
「クロ、10時!」
「おっしゃあ!爆・火熊!!」
ヒミから結界の綻びは、10時の方向と指示がでる。
オレの渾身の力で一撃必殺を、そこに叩きつける。
バチバチバチ!
「グッ!!」
思いっきり叩きつけているはずだ。
なのに、なぜヒビしか入らない!