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病院とか保健室の独特の匂いっていいよね


「魔法については毎日ちょっとずつ練習していこう。最初は自分で火起しができるくらいを目標にな」

「「はーい」」


 クロさんの魔法を見た後は、そのままお開きとなった。なんか眠くなってきたな~っと思っていたら、隣のセージ君もあくびをしていた。


「くあ~」

「初めて魔法を使ったからな、少し疲れているかもな。昼寝でもするか?」

「う~ん、そうしようかな」

「ぼくも~」


 そのままセージ君と一緒にリビングでお昼寝をした。毛布ももふもふで、すぐに眠ってしまった。ご飯の時間までおやすみなさい。




「う~ん、よく寝た」

「くぁ、お姉ちゃんおはよう」

「おはよう、起こしちゃった?」

「ううん、ぼくも今起きたところ」


 起きたらあたりが暗くなっていた、結構な時間寝ていたらしい。ロジーさんが夕ご飯の支度の真っ最中だった。クロさんも鍋をかき混ぜていたり、手伝いをしているようだった。セージ君曰く狩猟をしない日は、クロさんも料理をするようだ。ただ、クロさんが作るとガッツリ飯が多いから、今日はお手伝いだけらしい。クロさんは料理男子だけど、作るのは押忍!男飯!ってイメージだもん。



「ごはんできたぞ~」

「「はーい」」


 晩ご飯はお肉を甘辛く煮たものに温野菜、スープ、主食は野菜を混ぜ込んだパンだった。鶏肉っぽくておいしかったけど、何のお肉か聞いたら魔ウサギの肉だそうだ。ウサギか、もう少し臭みがあるかと思ったけど全然そんなことはなかった。ロジーさん曰く、普通はもう少し臭みがあるが、クロさんは下処理が上手いからいつも美味しんだって。さすが、猟師さん。



「「「「ごちそうさまでした」」」」


 その後はお風呂に入って、そのまま寝てしまった。今は子供だもん、しょうがない。寝る子は育つのだ!



 よく寝た~。うむ、今日もよい目覚め。窓の外を見ると雪はやんでいて、お日様が顔を出していた。いい天気だ。今日は外に行けるかな?


「おはようございます」

「おう、おはよう」

「おはよう」

「あれ、セージ君は?」

「セージは朝弱いんだ。もう少ししたら起きてくると思うぞ」


 クロさんがそういうと、朝ご飯を食べ始める頃にセージ君が起きてきた。いつもはロジーさんが起こしに行くが、昨日の夜に明日から自分で起きる!と言ったらしい。そんなに、昨日の朝ドッキリが嫌だったか。いや、あれは結果的にああなっただけでやろうと思ってやったわけじゃないからね。ちょっと楽しかったけどさ。


「ふあ~、おはよー」

「おはよう、ちゃんと起きれたな。えらいぞ」

「「おはよう」」

「えへへ~」


 朝からセージ君がかわいいです。その後、昨日のスープとパン、魔ブタのソーセージを食べてから今日の予定を決めた。


「今日は病院に行こう」

「え~、病院?」

「セージは嫌ならついてこなくてもいいぞ?優維ちゃんの健康診断だ。怪我は治してもらったけど、お腹とかも一応診てもらった方がいいだろう」

「そうですね」

「む~、ぼくも行く!」

「ウハハ、じゃあ2人とも午後になったら行こう。午前中はちょっと森に行ってくる。おいしいものとってくるからな!」



 クロさんに行ってらっしゃいをしてから、ロジーさんの家事を手伝ったり、セージ君と魔法の勉強をしたりして午前中を過ごした。う~ん、魔力はわかるのにまだ上手く使えないな~。まあ、練習あるのみか。



「ただいま」

「「おかえり(なさい)」」

「お帰り、ちょうどお昼ご飯ができたところさね」

「お、ナイスタイミングだったな。果物も採ってきたからデザートにどうだ?」

「あら、リンゴじゃないか。食べたら剥いておくよ」


 お昼ご飯は白パンと肉団子ゴロゴロパスタ、野菜スープだった。もちろん全部おいしかったです。デザートにリンゴを食べたけど、普通に林檎だった、そのままの名前もあるんだ。このシャクシャク感と、ほどよい甘さと酸味、やっぱり果物はいいね。


「「「「ごちそうさまでした」」」」

「おいしかった~」

「リンゴ上手かったか?」

「はい、とっても」

「そうかそうか、見つけたらまた採ってこよう」

「ありがとうございます!」


 少しまったりした後に病院に行くことになった。道中は寒いからと、クロさんが着ているような羽織の子供用のものを用意してくれた。これ裏地が毛皮になっていてすごく暖かい。それに裾が長いから、全身すっぽりだ。あとは毛糸の帽子と手袋もつけて完全防備だ。


「「行ってきます!」」

「行ってくる。帰りに商店街を通るが、何か買い物はあるか?」

「じゃあ、葉物野菜を適当に2つくらいお願いしようかね。行ってらっしゃい」



 ガチャッ



 ここに来て、初めて家の敷地から出た気がする。建物は石や木で作られていて、意外と強固な作りをしていた。道は除雪はされているが、道の端々に雪の山ができていて、かなり雪が降っていたことがわかる。今日は天気がいいから、日当たりがいいところの雪は少し溶けるだろう。


「さて、病院はこっちだ」

「あの、クロさん」

「おう、なんだ?」

「病院の先生ってどんなひとなんですか?」

「スルク先生と言って、蛇の獣人だ。ちなみに女性だ」

「ヘビ、ですか?」

「蛇は苦手か?」

「スルク先生、優しいよ?」

「蛇自体は好きですよ。鱗とかかっこいいですし。ただ、獣人になるとイメージがわかなくて……」

「ふむ、スルク先生も普段の蛇要素は鱗くらいしかないな。獣形態は手がなくなるから不便だと言っていたから、見た目はほぼほぼ人と同じだな」

「そうなんですね」


 獣人にもいろいろな種類がいるんだな。今まで会ったのは、白熊、インコ、黒豹、今から会うのは蛇。は虫類もいるんだ。まだまだいろんなひとがいるんだろうな~、ちょっとひとに会うのが楽しみになった。


「さあ、ついたぞ」


 考え事をしていたら、いつの間にか病院についていた。そこは診療所という感じで、現世で見たような大きな病院という感じではなかった。


「あの、午後に予約をしていたクロです」

「あら、クロさん。お待ちしておりました。呼ばれるまでこちらでお待ちください」

「わかりました」



 病院の中は外観に対して、意外と広かった。待合室は20人は余裕で入れるくらいの広さ、受付の後ろには診察室が2つ、処置室、倉庫、スタッフルームが見えた。どこもそれなりの広さがある感じだった。後でクロさんに聞いたら、空間魔法を使って少し広くしているんだと。匠もびっくりの空間だよ、なんと言うことでしょうってナレーションが聞こえてきそうだよ。


「どうぞ、お入りください」

「こんにちは、クロさん、セージ君。そして初めまして、優維ちゃん。スルクよ」

「「こんにちは、先生」」

「は、初めまして、スルク先生」

「ふふっそんなに緊張しなくてもいいのよ~」


 おお、スルク先生、妖艶なオネエサンって感じ。いや、こんな美人さんを前にしたら緊張もしますって!白衣から見える鱗がセクシーですぜ、ぐへへへ………なんか思考が一瞬おっさんになってしまった。


「といってもわたしは初めましてではないんだけどね~」

「ふえ?」

「ああ、優維ちゃんを助けたときに診てもらった先生が、スルク先生だったんだ」

「あの時はびっくりしたわ~。クロがすごい形相で、この子を診てくれ!って駆け込んで来たんだもの~。あなたの状態もよくはなかったしね~。元気になったみたいでよかったわ~」

「ありがとうございます」

「ふふっいいのよ~。でも、一応一通り診るわ~。午後だから、ヒミもいるし詳しく診れるのよ~。ヒミ~、お願いね~」

「ん、わかった」


 呼ばれてシャッとカーテンの後ろから出てきたのは、私と同じくらいの年齢の女の子だった。セージ君が手を上げて挨拶していた、それにその女の子も軽く手を上げて答えていた。どうやら、知り合いみたい。


「ヒミは土竜の獣人で、鑑定が使えるのよ~。鑑定は聴診器とかではわからない状態異常がわかったり、魔力の乱れとかがわかったりするのよ~」

「よろしくお願いします」

「ん、よろしく」


 最初は採血からだった。血を採られてるところって、じっと見る人と目をそらす人いるよね。私は気になるから、じっと見る派です。

 次は骨を診るとのこと。こっちにもレントゲンみたいな検査があるんだ、と思ったら光魔法で直接診るんだそうだ。それができる人が居るだけで、機械いらないんだ。すげえな、異世界。

 最後に聴診器で音を聞くのと、お腹の触診。お腹をぽんぽんってやるのって、何を見ているのかいまだにわからない。一通りスルク先生が診てから、次はヒミちゃんの番になった。


「鑑定、する」

「じゃあ、一旦オレ達は外に出るか?」

「ん~ん、大丈夫」

「お、特定のひとだけみれるようになったのか?」

「(親指グッ)」

「そうよ~、ヒミ頑張ってたもの~。最初はいろいろと大変だったわ~」

「先生、その話、だめ」

「うふふ、ごめんなさ~い」


 鑑定中は集中したいから私語は厳禁とのこと。すると、ヒミちゃんの目を開けた。色素が薄い灰色の目だった。不思議と目が離せなかった。それと同時に、すべてを見透かされているような何とも言えない感じがした。


「終わり」

「結果は?」

「ん、異常、なし。魔力の乱れ、なし。健康、そのもの」

「だそうよ~。私のほうも特に問題なかったわ~。明日あたりには採血の結果もでるけど、今回はこれで終わりよ~。ご苦労様」

「おつかれさま、お姉ちゃん」

「長かったよ~セージ君」

「とりあえず、なんともなくてよかったな。ご飯は普通に食べさせても大丈夫ですか?」

「ええ、お腹の異常もなかったし、普通に食べても問題なさそうよ~。ただ、具合がよくないときは無理させないでね?」

「わかりました。スルク先生、ヒミ、ありがとうございました」

「ありがとうございました」

「いえいえ~」

「ん!」


 今日は終わりと言うことで、買い物をしつつ、帰ることになった。八百屋に寄って、ハクサイと雪菜?を買って帰った。ちなみに、その日の夕飯はガッツリお肉だった。魔ウシのステーキだそうで、めちゃくちゃおいしかった。満足、満足。

 その次の日、病院に再度行ったけど採血の結果は問題なかったので、後は外で遊んだりいろいろした。精神は大人だけど、今は子供だからね。遊ぶのも必須事項です!



~優維が病院から出た後~


「ヒミ、優維ちゃんに何か称号はついてた?」

「あった。けど、特殊、過ぎ。効果、全然、わからない」

「やっぱりね~。異常な回復力もそのせいかしらね~」

「断定、ムリ。可能性、アリ」

「そうよ、あくまで可能性の話よ~。まあ、元々異世界人はこっちに来ると、いろいろ能力が上がるみたいだしね~。まだまだわからないことだらけよ~」

「スルク先生、楽しい?」

「新しいことを知るのは楽しいわ~。そして、それが治療に関わることならさらにね~。ヒミも興味があることを知るのって楽しいでしょ~?」

「ん、楽しい。(でも、称号【逃げ姫】って、何?)」




称号について


RPGで言うスキルやアビリティみたいなもの。基本的に職業や役職の名称がつき、個人差はあるが熟練度(レベル)によって、それに関連する魔法を使ったとき強化される。また始めたてのときは、名称に見習いがつく。レベル10になると見習いがはずれる。前述したものは後天的、ごくまれに先天的なものがある。先天的なものは鑑定により名前はわかるが、効果は様々でよくわかっていない。先天的なものを持っているのは、異世界人が多い。


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