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第一楽章終了



 その後も何とか避けれてはいるけど、一向に剣の元まで近づけない。

 これがしばらく続くならちょっとキツイかも。



『あやつは魔法を音楽になぞらえる。最初の第一楽章は春、第二楽章は夏、第三楽章は秋、第四楽章は冬。一つの長さはその時々で変わるが、この順番だけは変えたことがない。特に夏と冬は攻撃が激しい、その前には何とかせにゃならん』

『聞こえた、優維ちゃん、凛ちゃん』

「よくない、状況だってのはっ、わかり、ました」

「……すっかり忘れてたわ。まだ第一楽章なのが救いね」



 あんまり嬉しくない追加情報だね。

 てかココ爺たちも来てたんだ。もう少しほかの情報も出てくることを願おう。



「凛さん、忘れてたんですか?」

「嫌いすぎてちょっと記憶から抹消してた(てへぺろ)」



 てへぺろじゃないよ全く!ローブおじのことどんだけ嫌いなんだ!嫌いでもこういうのは覚えててほしかった!


 それにしてもこのローブおじ、ノリノリである。

 こっちは必死によけているというのに、当の本人はまるで小鳥や犬と戯れているかのように軽やかだ。色鮮やかな玉は、一つ一つが魔法の塊。見た目は綺麗だけど、中れたればまずいことだけはわかる。

 これで第一楽章?第二楽章になったらさらに激しくなるの?

 それはまずい。



「なんとか、できまっせんか?」

「できたらやってる。もういっそのこと突っ込んじゃう?」

「え~?」



 特攻はできればしたくない。

 でも、現状それしかないのも事実。



「まってまって、もしかして優維が突っ込むって思ってる?」

「え、それで考えてたっんですけど……?」



 だって私、今の凛さんよりは早い自信あるよ?

 そこまで結界がもつかどうかは分からないけど。



「違う違う。あたしがいくの」

「……凛さん足そんなに速くないですよね?」

「そ、そうだけど!あたしに考えがあるの」







「凛さん、頭悪いです」

「ヒドゥイ!(ガガントス)」

「……何だそれは」



 凛さんの考えとは、私の足に乗った風を纏った凛さんを蹴る反動で飛ばすというもの。

 これで頭いいとはならんでしょ。ほら、ローブおじもちょっと引いてるもん。

 因みに最初は投げる予定だったけど、ボール投げで最高記録が9メートルと言ったら即却下された。それ以外は平均だったんだけどね、ボール投げだけは何でか苦手だったな~。


 

「さあ、やってみる!」

「……怪我しないでくださいね?」

「大丈夫。ちょっと盾でぶん殴ってくるだけだから」



 ああ、防護壁全開で突っ込むってことですね、分かりました。

 凛さんの周りに風が吹き始める。ついでに私の足にも風が付与される。

 



「振りかぶって—————」

「む?」

「シュート!」



 凛さんの掛け声と同時に思いっきり足を振りかぶり、前に飛ばす。そのまま一直線にローブおじの所に向かっていく。



「ななな、なんだぁ!?!?」



 うん、そりゃ驚くよね。

 焦っているのか、攻撃が凛さんに向かっているけど全然当たっていない。いや、当たってるのもあるけど全部防がれてる。



「くらえ!」

「く、来るなぁ!!

 ………………なんてな」

「「え?」」



 スカッ



 凛さんはそのままローブおじにぶつかるはずだった。

 ローブおじにぶつかったと思ったら、そのまますり抜けた。



「”鉄壁(アイゼン・マウアー)”」

「ッギャン!!」

「凛さん!」



 凛さんの進行方向にいきなり鉄の壁が現れて、勢いをそのままに壁に激突しそのまま地面に落ちる。鉄壁は遠めからでも分かるくらいへこんでいた。

 凛さんは立ち上がったけど、ちょっとフラフラしていた。

 いくら防護壁を張っているといってもあの速度でましてや鉄の壁だ、ダメージはあるだろう。



「ッ精神、体………!」

「ほお、よく知っているな。そうだ、我は今実体のない精神だけの状態。殴ることはおろか、貴様らでは触れることもできんよ」



 なんてこったい。

 物理で殴るが通じない魔法使いなんて、チートじゃないか。

 うわあぁん!こいつチートや、チーターや!



「ふむ、だがここまで耐えたこと、我の正体を暴いたこと、誉めてやろう」



 こんなに嬉しくない褒められ方は初めてだ。

 てか正体は自分で言ったからね?あ、精神体?ってところは正体に入るのか。



「小鳥が喜び囀り、草花が咲き乱れ、精霊が躍る」



 いきなりポエム爺になった。いるか、これ?

 こういうのが好きな人なんだね。魔法を演奏に見立てたりしてる時点でそうか。



「芽吹きの春は終わりをつげ、太陽が照り付ける夏が訪れる」



 少しだけ周りの温度が上がった気がする。

 いつの間にか、ローブおじの周りには雷を纏った氷の鳥の群れができていた。



「さあ、第二楽章。とくとご堪能頂こう」



 

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