くだらねぇ
優維視点に戻ります。
な〰〰〰にいってんだこいつ。
こんなんただの承認欲求モンスター爺じゃないか。
過去のことをずーっと、ずーっとネチネチネチネチと。ウザイったらありゃしねえ。
自分が生きていた時に何もできなかったのは、ただ単に怖かったとか明らかに返り討ちにされるってわかってたからじゃないの?
それに、凛さんを理不尽だと思ったことはない。あ、嘘、鬼ごっこの時は思ったけど……あれは必要なことだったし!私を思ってのことだったし、ノーカンで!
『グォオオォオ!!!獣人を根絶やしにするだぁ!?オレたちが何をした!!お前らは何をしたァッ!!!』
『クロッ!落ち着け!!』
『クロの旦那ァ!』
クロさんがブチ切れている。そりゃあ、家族や友人もろとも殺すって言われたらブチ切れるわ。
え、なんでこんな私が冷静なのかって?少なからず怒っているからかな。
「何も?」
『…………は?』
「貴様らは何もしていない。しいて言えば、奴と同じ獣人であっただけだ」
…………。
もう一度言おう。
な〰〰〰〰〰〰〰〰〰にいってんだこいつ。
同じ種族だったから嫌い?その人個人を見ないで?獣人族は皆同じ?
違うだろ。それはヒト族だって魔族だって言えること。自分にひどいことをした人を恨むのは、まあ分かるし筋が通っていると思う。もちろんやっちゃいけないことだし、こいつのはおそらく逆怨みだろうけど。
でもその一族、ひいてはその家族は関係ないじゃん。子供なんてほぼ無関係といってもいい。
それを何代も怨んでここまでのことをやってしまった、そしてこれからもやろうとしている。擁護の余地はないよね、擁護する気もないけど。
ひどいもんだね、ここまで怨めるって逆に尊敬するわ。いや、やっぱ軽蔑するわ。
本当に理不尽だよ。
「フンッやはり話にならんな」
「…………話にならないね」
「優維……?」
本当お話にならない。どちらも一方通行、会話のドッジボールでもやってんのかってくらい。
「ほお、貴様とは意見が合うな。ならば「黙れ外道」………は?」
「あんたがクロさんたちの何を知っている。王族の子孫に何をさせた?」
『優維…………』
あんたのせいで悲しんだ人がいる、やりたくもないことをしたかもしれない。
「怨むなら一人で怨め。他人を巻き込むなよ」
「っ知った風な口を!我を認めぬものが悪い!我の所有物のくせに盾突くのが悪い!」
ほら、また人を物扱いして。そんなんだから誰も認めなくなったんだよ。
「皆あんたの物じゃない。命は、物じゃない」
「我より下等な人など物で十分だ!」
『あいつ、まだ言うか!!!』
へえ~、じゃあ自分は上等ってか?上等だコラ。
「確かにあんたは他人より優れていたかもしれない。でも、それだけでずっと称賛し続けるほど、皆馬鹿じゃない」
「ぐぅっ……だがっ……だが、最初は認めてくれた!我はずっと何かを成し遂げてきたはずだ!なのに、なぜ認められなかった!?」
はず、ね。
自分でもそこは自信ないんだ。それが答えだと思うけどね。
「さあ?私は当時の人じゃないからわからないよ。推測だけど、認めるに値しなかったじゃないかな」
「なっ!何だと!」
ここで文句言われても知らないよ。当事者じゃないし。
「貴様はさっきから何なのだ!ここには誰にも入れないはずなのに、普通に入ってきおって!あまつさえ忌々しい奴もつれてきて、我に盾突くとは何事だ!」
「え~、そんなこと言われても……」
結界の中に入れたのは自分でも分かんないよ。今は出れないし。
盾突くというかムカついたので、自分の意見を言ったまでですが?
凛さんに助けを求めて顔を向けると、なんかびっくりした表情で固まってた。え、大丈夫?
「フ、フンッ!まあよいわ。我の復讐の邪魔だけはしてくれるなよ?」
「いやしますが?」
むしろそのためにここに来たといいますか、楔梛様助けに来たんですが?