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ローブおじ:煽り耐性0

優維視点に戻ります。



「我を無視するなー!!!」



 うお!びっくりした!

 せっかく凛さんで癒されてたのに……また存在を忘れてたよ、ローブおじ。



「てか、あの人本当に王様?」

「……は?」

「うーん、多分違うよ」

「っ!?な、なにを言ってるんだね!?我は、ウェンカ王そのものだ!」



 わーお、めちゃくちゃ動揺してる。

 しゃべり方とか威圧感は王様っぽいなとは思ってたけど、所々違和感があったもん。



「ウェンカ王がプライベートの時の一人称は”私”だったし、あたしのことは凛ちゃんって呼んでたのよ」

「そんなはずはない!我が傍にいたときはずっと————」

「傍にいたとき、ね。まるで、貴方が王の隣にいたような言い方をするのね。王は貴方じゃないの?」

「〰っ小娘ェ、嵌めおったな!!!そうだ、我は王宮最上級魔道士、カパプだ!!」



 あーあ、言っちゃった。

 お爺ちゃん大丈夫?そんなに怒ったら、血管きれて死んじゃうよ?あ、もう死んでたか。



「自分でバラしちゃうんだ」

「貴様が言ったのであろう!?」

「あたしはただ”王は貴方じゃないの”って聞いただけよ?」

「ググゥ……ッ!」

「あとウェンカ王は家族の前だと私だったけど、あたしの前では我だったからあってるわ」

「…ッ…ッ!!」



 ああ、カマかけてたんだ。そしてそれにまんまと引っかかったと。

 ほら、お爺ちゃん怒りで何も言わなくなっちゃったよ。



『カパプってあの”魔法の指揮者(マエストロ)”って呼ばれてたやつか?』

『名前だけなら聞いたことあるが、詳しくは知らんな』

『あっしは全然』

『なんだ、知らないのか?音魔法が得意で、魔法を操っている様がまるでオーケストラを指揮してるみたいだからとそう呼ばれていたんだ。あとは、一人で複数の魔法を同時に操ることもできたらしいから、別名一人オーケストラとも言われてたらしいな』

『…………』




 クロさんは知っているみたいだけど、どんな人だったかは知らないみたい。

 二つ名からかなりの実力者だってことはわかったよ。


 

「さて、正体は分かったけど、状況はさらに悪くなったね」

「そうなんですか!?」

「あんな煽り耐性ゼロなクソ爺でも、最上級魔道士。ウェンカ王ならあたしが魔法で無力化できたけど、あいつは無理。結界の要を何とかして壊して、クロたちが物理でドーンしないと」



 魔法で勝つのはほぼ不可能、と魔法が得意なはずの凛さんが付け足す。

 結界の要を何とかするって言っても、それにはあのカパプ爺ちゃん——なんか嫌だからローブおじでいいや——の近くまで行くわけで…………絶対妨害されるじゃん。



『ねえ、凛ちゃん、その人カパプって言った?』

「言ったよ」

「カルヴァロさん……?」



 ローブおじが名前を言ってから、ずっと静かだったカルヴァロさんから通信が入った。

 明らかに声が震えていて様子がおかしい。



『その人の二つ名は知ってる?』

「もちろん。”魔法の指揮者(マエストロ)”でしょ?」

『それもだけど、後世ではもう一つあるんだ。それが———』

「”魔族の模倣犯”」

『……知ってたんだね』

「トーゼン。だからクソ爺っていったのよ」



 凛さんの声が棘のある感じに変わった。

 魔族の模倣犯……闇魔術関連、かな?

 


『どういうことだ?』

「”魔族の模倣犯”って二つ名は、あらゆる手を尽くして色んな闇魔術を研究していたから。あたしが離れに移る前から研究してたみたいだけど、完全に移ってからはひどかったみたい。革命の時にたくさんの奴隷と資料が見つかって、闇魔術に関する資料は全部燃やしたわ。あの内容は、今思い出しても反吐が出る」

『そうだったんだ。ボクの師匠はね、彼ほど闇魔術を研究した魔道士はいない、非人道的なことも数えきれないほどやっていた、彼はまさしく魔族をまねようとした犯罪者だって言ってた』


 

 やっぱりね。凛さんがクソ爺って言うくらいだからね、そんなことだろうと思った。

 そういえば凛さんに闇魔術のことを教えてくれた魔道士って、この人なのかな?



「凛さん」

「ん?」

「凛さんに闇魔術のことを教えてくれた魔道士ってこの人?」

「んーん、違うよ。このクソ爺には勿体ないくらいできたお弟子さんに教えてもらったの」

「そうだったんだ。魔法もその人から?」

「いや、魔法の先生はエルフの人だったよ。後から知ったんだけど、このクソ爺は魔法ができるけど、人格に難ありだったからはなから除外されてたんだって」



 いるよね、仕事はできるけど性格最悪の人。仕事の時だけでも最低限のコミュニケーションは取ってほしいよね。



「できた弟子?エラムのことか?」

「そうよ。あんたには勿体ない位、優秀な子だったでしょ」



 ずっとうつむいていたローブおじが反応した。

 意外だ、ちゃんとお弟子さんのこと覚えてるんだね。てか、凛さんさっきから応対がトゲトゲしてるな。本当に嫌いなんだ。



「クククッそうだな。魔法、だけは優秀だった」

「他もあんたより優秀だったよ。誰にでも優しかったし、話も分かる人だったし」



 エラムさん、いい人だったんだろうな。仕事(しご)でき、優男だったんだろうな。



「ハッ!我の考えに賛同しなかったばかりか、止めようとした愚か者よ……」

「碌でもないことないことだったからでしょ」

「貴様らに我の高尚な考えは分からんだろうな。だから———————」


「エラムを黒魔術の糧としてやった」

「…………は?」




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