魔法は化学
今回、土竜兄妹出てきません。前回嘘書いて、すいません。予定はあくまで予定と言うことで、ご了承ください。
「そろそろ昼飯の時間か」
「あら、もうそんな時間かい。今日は何にしようかね?」
「……では、外に食べに行かないか?」
「あーうれしいんだが、まだ優維ちゃんは昨日目が覚めたばかりだからな。重い食事はまだ早いと思うんだ。」
「む、そうだったな。馴染みすぎていたのですっかり忘れていた。奢るのはユイの体調がよくなってからにしよう。それでいいか?」
「あ、いえ、お気になさらず」
「もちろんその時はあたしらもいいんだよね?」
「元よりそのつもりだ。」
「わしもいいかのぅ?」
「………駄目だと言ってもついてくるだろう」
そういえば起きたの昨日だった。食事も三日ぶりだったけど、普通に食べたような?後から聞いたら、私のパンは少しでも消化がいいようにと米粉を使ったパンだったそうだ。セージ君の離乳食で使ったことがあったから、小麦粉よりは消化にいいのだろうとロジーさんは言っていた。よく考えてるんだな、お母さんはすごいな。
「鳥婆さん、怪我を治してくれてありがとうございました」
「イッヒッヒ、鳥婆だけでいいよ。怪我や病気には十分気をつけるんだよ」
「はい、鳥婆」
「では、またな。食事の件はそちらの都合に合わせるので、元気になったら言ってくれ」
「おう、また後で連絡するよ」
「「またね」」
「鳥婆も気をつけて」
鳥婆は、セージ君と私を撫でてから帰っていった。治療中も思ったけど、羽毛って熊や猫とは違うけどふわふわで気持ちよかったな。うん、今度頼んで抱きつかせてもらおう。
「さて今日のお昼はウードンだよ」
「ウードン?」
「小麦粉をこねて細長くしたものさ。東から伝わった物らしいね、あたしも詳しくは知らないけどさ」
「へえ」
「見た目は紐みたいだけど、おいしいよ?」
ウードンって饂飩のことだよね。なんかここって最初は現世の西洋っぽいかなと思ってたけど、米粉とか饂飩とかは日本っぽいし。でも、服装はパーカーみたいなの着てると思ったら、思いっきり魔法使いみたいなローブだったり、羽織羽織っていたり皆自由だ。ちなみにクロさんはアイヌの柄っぽい羽織に、下は普通のズボンっぽい。和洋折衷って感じだ。もしかしたら、以前来ていた異世界人たちがいろんな文化を伝えていたのかもしれない。ちなみに今の私の服は、セージ君のお下がりのパーカーとズボンだ。下着は急遽そろえてくれたらしい。さすがに男の子の下着はちょっとね。
「「いただきまーす」」
「「いただきます」」
本当に饂飩だ。おつゆはさすがに麺汁じゃないと思ってたけど、思いっきり麺汁だった。お醤油もあるんだ、だしは鳥だって。現世にある調味料結構あるのかな?それだったらうれしいな。ちなみに味はおいしかったです。
「「「ごちそうさまでした。」」」
「お粗末様でした。」
さて、午後は何をしようかと思っていたら、クロさんから魔法について話そうかと提案された。魔法!異世界に来たらやっぱり魔法だよね!もちろん、即OKしたよ。セージ君も本で読んではいたけど、話を聞くのは始めてだったそうで一緒に聞くことになった。
「まず、魔法は基本属性が5つある。セージ君、言えるかな?」
「はい、先生!地・水・火・風・光の5つです!」
「正解だ、えらいぞ」
クロさんが先生になりきって、セージ君もノリノリだ。今だけはクロ先生と呼ぼう。ふむ、この5つはよくある属性だな。
「そして、これらを組み合わせると雷や氷に派生する。ちなみに雷は光と水、氷は水と火を合わせた魔法だ」
「先生、水と火は正反対で打ち消しあったりしないんですか?」
「いい質問だ、優維君。それは基本属性の性質が関係してくる。簡単に説明すると、地は硬さや蓄える、水は変化や生命、火は熱や活性、風は流れや空気、光は浄化や波だ。そうして考えると、水を冷やすと氷になるから、熱の性質を持つ火と水を合わせると氷になるというわけだ」
「「へえ~」」
魔法だけど、学校で化学の授業を聞いている気分になった。なんか、思ってたのと違うけど、これはしっかり勉強すれば元の世界の知識も使えるのでは?でも、化学は苦手だな。生物は好きだったけどね。
「他にこの5つに属さない無属性がある。障壁や身体強化、時魔法がそれに当たる。これに関しては皆が使える物もあるし、難しすぎて使えない物もある。ちなみに障壁や身体強化は誰でも使えるが、空間や時魔法は一部しか使えない」
「先生!」
「何だね、優維君?」
「今日は実践はないんですか?」
「一通り説明したらやるから、もうちょっと待ってな」
「「わーい」」
セージ君も一緒にわーいしてくれた。めっちゃかわいい。
「さて、魔法の属性と性質についてはこれくらいだな。次はどうやったら使えるかだ。魔法を使うには魔力が必要だ。魔力はここら辺に漂っている自然のもの、オレ達の体の中にあるものがある。オレたちが使う魔法は、大半は自分の中にある魔力を使っている。ここで質問だ、自分たちの魔力量は何で決まるでしょうか?優維君」
「ふぇ!?えーっと、精神力とか……ですか?」
「ふむ、半分正解だ。正解は精神力と体力の両方から決まるんだ。精神力だけが高くても、体力が低すぎると魔法は使えない。逆も然りだ。ちなみにどちらも鍛えることで上がるので、今使えなくてもいずれは使えるようになるから心配しなくても大丈夫だ。魔法の上手い下手はあるが、全く使えないやつはいない。全く使えないやつがいるとしたら、魔力の使い方を知らないだけだ」
ほうほう、じゃあこの世界の人は大概魔法が使えるのか。火とかもマッチくらいの火が出せれば火起しできるし、水と風があれば洗濯ができる。少しでも使えれば生活には困らないな。
「ただし、気をつけなければいけないことがある。自分の精神力と体力を使うので、どちらかが尽きれば使えないし、その状態は非常に危ない。精神力が尽きれば精神が壊れてしまうし、体力が尽きれば最悪死んでしまう。だから、よく考えて使わないといけない、これだけは忘れないでくれ」
「「はい、先生!」」
「よし、いい返事だ!これで授業は終わりだ。じゃあ最後に実践だな」
家の中だとロジーさんに怒られるので、中庭で見せてもらうために外に移動した。一度調子に乗って、家の中で火魔法を使ってボヤ騒ぎを起こしたそうだ。さすがに家の中で火魔法は誰でも怒るよ、クロさん。
「よし、じゃあまずは自分の中にある魔力を感じてみよう。さっき魔力は精神力と体力からなると言ったが、実は血のようにグルグルと巡っているんだ。それを探ってみよう」
探ってみようと言われたけど、うーんよくわからないな。血液みたいに巡ってると言われても・・・ん?なんか血液じゃない違う流れ?みたいなのを感じる。
「クロさん、なんか血じゃない流れ?みたいなのを感じたけど、これ?」
「お、そうだ。それが魔力だ」
「お姉ちゃんすごい!ぼくも!………うーん、これ、かな?」
「おお、セージも感じたか。2人とも初めてなのにすごいな。じゃあ、次はそれを指にためるようなイメージをしてみろ」
ほうほう、これが魔力なのか。んでこれを指先に・・・難しい。
「指先に集めたら、出したい属性を思い浮かべてみろ。最初は、そうだな~火にしてみるか」
「うん、やってみる」
ボッ
「ガウッ!?」
「おお!セージ、できたな!それが魔法だ。その感覚、忘れるなよ?」
「うん!」
「セージ君、すごい!」
「えへへ~」
私も!火のイメージ、火のイメージ………フォイ!
ブスッ
……なんか燃えかすみたいなの出た。
「あ~、まあ最初はそんなもんだ。」
「お姉ちゃん、大丈夫だよ。一緒に練習しよう?」
「う、うん、そうだね。ありがとう」
セージ君が優しすぎて辛いよ。頑張ろう。
最後にクロさんが、拳に炎を纏って見せてくれた。何それ、かっちょいい!と2人でキラキラした目を向けたら、クロさんが照れた。ちなみに練習すれば、火を纏っても火傷はしないんだそうだ。
魔法についてのまとめです。このお話ではこんなイメージで書いています。こんな性質があってもいいんじゃないとか、これとこれなら何魔法になるよねとかがあればコメントでお願いします。
基本属性:地・水・火・風・光
派生:光+水=雷 水+光=草 草+地=毒 風+光=音 水+火=氷 etc...
※同じ組み合わせでもベースによって変化します。最初にきているのがベースになります。
無属性:障壁、身体強化、空間、時、重力 etc...
それぞれの基本性質
地:硬化、乾燥、蓄積、金属
水:変化、沈静、湿潤、粘性、生命
火:熱、活性
風:流動、空気、速度
光:直進、反射、屈折、(電磁)波、浄化