シューマさんの技術は世界一ィィィ!
「これで全部でさぁ。何かわからないことは?」
「う~ん・・・・・・」
魔法の件は理解できてないけど、おいおいでいいかな。
あ、補充ってどうしたらいいんだろ?
「あの、なくなったときはどうすればいいですか?」
「その時はあっしの店、撫子商店にきなせぇ。リコの友達割引で安くしときやすぜ」
「子供の小遣いで買える程度にしてくれよ?」
「勉強はしやすぜ?」
むむ、さすが商売人。そこはしっかりしてる。
今回もらったのは玉系は30個ずつ、沼やネットは5個ずつ、辛辛スプレーは2本、まきびしは・・・・・・なんか袋いっぱいにジャラジャラしてるから、当分いらないかも。
「ああ、最後にリコから伝言でさぁ」
「何ですか?」
「”怪我して帰ってきたら許さない”だ、そうでさぁ」
「ははっ善処します」
ぶん殴るから許さないになってたけど、怪我したら怒られるのは確定事項だね、こりゃ。
あ、リコちゃんからもらったポーションで何とかならないかな?
「・・・ポーションはあくまで体力回復だけなんで、怪我は治りやせんぜ?」
「え、なんでわかったんですか!?」
「顔に出てやした」
「イッヒッヒッヒ!軽い怪我ならわしが治してけるよ」
そうだった、外傷なら鳥ばあが治せるんだった。すっかり忘れてたよ。
「まあ、怪我はしないに越したことはないけどな。気をつけろよ」
「わかってるよ、ディグ君」
「本当か?兄ちゃん、心配」
分かってるけど、何が起きるかわからないのが現実よ?頑張りはするけど。
「優維ちゃん、もう大丈夫?」
「あ、すいません。今行きます!」
「「行ってらっしゃい」」
「イッヒッヒ。気を付けるんだよ」
3人に見送られて、ようやく砦の中に入る。
「なんかいろいろもらったね」
「はい、まさかシューマさんがくれるなんて思ってもなかったですが」
「まあ、珍しいわな」
「あははっボクは只単に心配してたんだと思うよ。珍しいけど」
「ああ、珍しいがな」
クロさん、カルヴァロさん、リーンヴォックさんの3人とも声をそろえて珍しいって言ってる。
まあ、生粋の商人って感じだし、人に物をタダであげるってのは珍しいのかも。
「シューマは警戒心が強くてな。誰かにプレゼントをあげるのは、あいつなりの信頼の証なんだ」
「だから、珍しい?」
「そうだね・・・・・・・ありがとね、優維ちゃん」
「何でカルヴァロさんがお礼を?」
「ん?なんか言いたくなったから。気にしなくていいよ~」
なんかわかんないけど、カルヴァロさんが嬉しそうだったからいいや。
その後はポツポツと会話をしつつ向かったが、封印場所が近くなってくるとみんな何もしゃべらなくなった。そして、凛さんは終始無言だった。
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「着いたね」
「・・・・・・・一度見たけど、慣れないね」
「己達も何度も訪れているが、慣れるものではない」
凛さんは顔をしかめて、喉の奥から絞り出すような声で言葉を吐き出す。リーンヴォックさんもいつも以上に顔をしかめていたが、声はいつも通りのように聞こえた。
私も最初見たときは綺麗だと思ったが、こうなった経緯を知った後だとそうは思えなかった。
「凛さん、優維ちゃん、これを耳につけてくれ」
「クロさん、これは?」
「これは通信石を加工して作った、そのまま耳につけられる通信機だ。耳の近くにある石からは、他からの通信石の声が聞こえる。そして口元にある石にしゃべりかければ、こちらに声が伝わる仕組みだ」
インカムみたいなもんか、すごい技術だ。
あ、狐のマークがついてる。これもシューマさん作かな?
「シューマの店からの貸し出し品だ。オンオフは通信石に魔力を込めるだけでいい。これだけだと遠いところの通信は無理だが、この室内くらいいの広さなら問題ない」
「結界の中でも使えるの?」
「魔力遮断の効果がついてない限りは大丈夫だ。まあ、王の魔力が漏れている時点でその効果はついてないはずだ」
「へえ~」
通信石のインカムを耳につける。
うん、子供の耳にもピッタリフィット。凛さんの熊耳にもぴったりフィット。
「これでいい?」
「いいぞ。結界の中に入ったら、常に通信は繋いでおいてくれ」
「わかった」
「入る前に、再度言っておく。無理はするな」
「「はい」」
リーンヴォックさんに言われるとシャキッとするね。
「じゃあ行くよ」
「はい」




