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7つ道具って聞くとなんかワクワクするよね


 皆で気合を入れてから、再度作戦内容の確認が行われた。



「まずわしはここでスルク、ヒミと待機。何かあったときは、この通信石ですぐに知らせるんじゃ」

「あっしとディグ、鳥ばあは砦の外で待機してやす。中のほうで何かおかしいと感じたときは、連絡がなくてもあっしと鳥ばあが中に行きまさぁ。ディグは伝令役お願いしやす」

「了解」



 コンコン



「お邪魔するわ~」

「イッヒッヒッじじいはまだ生きとるか?」

「生きとるわ!」

「イッヒッヒッそら残念」

「遅れてごめんなさ~い。ちょっとケヒト先生への引き継ぎが多くてね~」

「お疲れ様です」



 確認の途中で、スルク先生と鳥ばあが入ってきた。

 鳥ばあたちのやりとりがいつものことなのか、みんなスルーだ。



「オホンッまだ最初の確認をしとっただけじゃ」

「あら~そうなのね。私はここで待機よね?」

「ん、わたしも一緒」

「一緒ね~」



 心なしかヒミちゃんがほっとしている感じがした。



「鳥ばあは砦の外であっしらと待機でさぁ」

「行きはオレが背負っていきます」

「じゃあお願いするかね」



 なんかディグ君が優しい孫みたいだ。いや、みたいじゃなくて年齢的に孫か。



「そして、オレ、リーさん、カロさん、優維、凛さんが封印場所まで行って、優維と凛さんが結界の中に入り探索。オレ達3人は結界の外で待機、サポートをする」

「うん」

「まっかせてー」

「今回は探索だ。危険だと判断したときはすぐに出てこい。くれぐれも無理はするな」

「「はい」」



 リーンヴォックさんが念を押してきた。

 いつも口調は淡々としているが、何かと心配してくれて気にかけてくれる、顔は怖いけど優しい人だ。



「うむ、まずは安全第一じゃ。健闘を祈る」

「では、行って参ります」

「気を付けてね~」

「ん!(ぐっ)」



 ヒミちゃんがぐっとサムズアップしてくれたので、私もぐっと返す。横を見ると、クロさんとディグ君が同じポーズをしていた。二人も私に気が付いたのか、再度3人でぐっとして笑いあった。

 ココ爺、スルク先生、ヒミちゃんに見送られて封印場所まで向かう。


 道中普通に会話はあったけど、皆いつもより緊張している感じがした。

 あ、鳥ばあだけはいつも通りだったわ。でも、今はそれがありがたかった。




 ――――――――――――


 

 バチッ



 相変わらず通るときに静電気のような音はするけど、痛くはないしふわっと布をくぐった感じしかしない。

 そういえば通るときに、リーンヴォックさんとディグ君だけは少しだけ顔をしかめていた。結界への適性が低い人や、魔力が低い人は痛みや違和感が出ることがあるとコソッと凛さんが教えてくれた。



 

「着いたっすよ」

「ありがとね。いや~、ここに来るのは何年振りかねぇ?」

「いや、毎年1回は長と来てるじゃないっすか」

「イッヒッヒッそうじゃっかのぅ?」



 ディグ君が言うなら毎年来ているのだろう。鳥ばあが言うと嘘なのか、本当にボケているのかわからないから反応に困る。



「オレ達はここで待機してます。何かあったらすぐに連絡してください」

「イッヒッヒッ得体のしれないものに気を付けるんじゃぞ?」

「ひっ」

「鳥ばあ、怖がらせんでください」

「おや、すまんのぅ」



 お化けとかそういうのは嫌だよ!?実態をもって出直してきな!



「全く、お前らは緊張感がないな」

「まあまあ、今くらいはいいんじゃない?」

「む、だがそろそろ行った方がいいだろう」

「そうだね。おーい、皆行くよー!」



 カルヴァロさんから声がかかったので、そちらに行こうとする。



「優維ちゃん、ちょっと待ってくだせぇ」

「はい?」



 と思ったら、シューマさんが呼び止めてきた。

 珍しいな、何だろう?



「リコとあっしからでさぁ」



 シューマさんの手にはきれいな瓶が1本と、小さい麻袋が1つ握られていた。

 こちらに差し出しているので、この2つとも私にということだろうか。



「餞別でさ、受け取ってくだせぇ」

「あ、ありがとうございます」



 まさか、このタイミングで何かもらえると思っていなかったので少々面食らってしまった。



「この瓶は緑のポーションが入ってまさぁ。リコが初めて作りやしたが、効果はスルク先生のお墨付きでさぁ」

「へえ~」



 リコちゃん、スルク先生のとこで勉強してるって言ってたもんな~。

 え、いま初めてって言った?そんな大事なものもらっていいの?


 受け取ったはいいが、何となく申し訳ない気がして遠慮がちにシューマさんを見ると、ため息をつかれた。どゆこと?



「リコが一番にあげたいって言ったんでさぁ。ありがたく受け取っときなせぇ」

「は、はい」



 シューマさんから自分が貰いたかったって、副音声が聞こえた気がした。あと圧力を感じるので、素直に受け取った。



「あっしからの餞別は逃亡用の7つ道具でさぁ」

「逃亡用7つ道具?」



 なにそれ、すっごい面白そう!7つ道具とか猫型ロボットのあれみたいで、オラワクワクすっぞ!



「まずは閃光弾と音爆弾。何かにぶつかって炸裂すると、閃光弾は強烈な光が出て、音爆弾は高周波の爆音がして、目や耳を一時的につぶす道具でさぁ。使用するときはゴーグル必須なんで、これもあげまさぁ」

「オレ達にはないのか?」

「使用者やすぐそばにいない場合は、耳をふさいだり光を見ないようにすれば回避できやすから不要でさぁ」

「あたしは~?」

「あ~、凛の姫さんには一応渡しときまさぁ」

「ありがと」



 おお、思った以上にガチだ。

 閃光弾は黄色のボール、音爆弾は灰色の玉にゴムのようなものがクロスして巻き付けてある。どちらもピンポン玉くらいの大きさだ。

 渡されたゴーグルはしっかりと耳と目を保護できるタイプで、遮光性も申し分ないと説明された。

 少し重いかと思ったが全然そんなことはなかった。普通の眼鏡くらいの重さだ。といっても大きさが大きさなので、頭ではなく首にかけることにした。うん、ここならとっさの時でも眼鏡眼鏡って探すことはないだろう。



「3つ目は簡易底なし沼。地面や壁にぶつかると半径1メートルくらいの沼ができやす。効果時間は30分ほどなんで、ある程度の足止めが可能でさぁ」



 見た目は茶色い野球ボールくらいの玉だ。この中に底なし沼が入っている、魔法ってやっぱすげぇと思いました、まる。



「4つ目は煙玉。要は煙幕でさぁ。爆発すると一気に煙が噴き出して、視界が真っ白になりまさぁ。狭い室内や閉鎖空間で使うことをお勧めしやす」


 

 煙玉の見た目は、まんま白いピンポン玉だ。これは姿を隠すときにいいかもしれない。



「5つ目はネットランチャー。この細長い筒の中にネットが入ってて、この銃から打ち出すとネットが広がったまま飛んでく仕組みでさぁ。ちなみに筒には最初に説明した音爆弾、閃光弾、煙玉が2つまで入るようになっていて、遠くに打ち出したいときに使えまさぁ」

「打ち出したときに、すぐ爆発しませんか?」

「問題ありやせん。筒の前面に衝撃が加わったときに、中の玉が炸裂する仕組みでさぁ。もし不安なら玉に自分の魔力を込めれば、魔法を操るときの要領で制御できまさぁ」

「は、はい」

「ん~、優維にはまだ難しいかも」



 ネットランチャーのところは分かったけど、魔法のところの説明を聞いてもちんぷくかんぷくだったよ。さすが凛さん、よくわかっていらっしゃる。



「まあ、使い方を間違わなければ安全でさぁ」

「シューマ・・・」

「・・・・・・・今度改良してみまさぁ」



 クロさんからの圧力、シューマさんは改良を誓った。と、ゲームの黒いウィンドウに書いてあるようなことを、脳内ナレーションしてみた。



「じゃ、じゃあ6つ目は辛辛スプレーでさぁ。こいつぁあっしが作った至近距離防犯グッズでさぁ」



 あ、これに関してははっきり防犯グッズって言った。要は催涙スプレーだよね。

 ちなみに唐辛子由来の催涙スプレーでは一時的なダメージは凄まじいけど、失明とか後遺症が残ることはないらしい。逆に化学由来のものは失明の危険性があるから、自己防衛のためだけなら自然由来のものを備えよう!と、どっかのサイトに書いてあったと思う。



「今渡すのは、実際かかっても失明はしないやつでさぁ。もう1つ、あっしが知りうる辛い物をすべて集めた、最強の新・辛辛スプレーがありやすが、こっちの方がいいでやすか?」

「いえ、今のままでお願いします」

「わかりやした」



 新の方はなんか色がやばい。だって辛辛スプレーは真っ赤って感じなのに、新の方は赤黒いんだもん!絶対やばいやつ!

 かぶったら、熱いどころの話じゃないと思う。痛いじゃなくて、激痛だよ、多分。私、加害者になりたくない。



「最後はまきびし!地面に撒いて足止めできる道具でさぁ」

「・・・・・・シューマ、それ本気か?」

「オレも使ったことないっす」

「これはあっしのロマンでさぁ」

「んなもんいれんな!」

「まあ、ロマンではあるよね」



 今までのが実用的なものだったのに、最後にロマンって・・・・・・・。

 シューマさん、忍者好きかい?





 うん、大好きさ!おいらもだーいすきでげす!


 ネタが分かった方はニコ厨です。

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