まだ封印場所には行かないよ。行くまで長いね、すまんね
「・・・・・・・・ぬお~っ・・・よしっ」
さてさて、作戦決行当日ですよ!
あれ?凜さんがいない。もう起きたのか。大体私と同じ時間に起きてたけど、今日は早いな。
私はいつも通り顔を洗い、服を着替える。いつもの裏起毛のイージーパンツをはき、パーカーを着て、最後に昨日プレゼントされた羽織を羽織る。
おお、見た目はかなり大きめだけど着るとぴったりサイズになった。着る人の大きさによって、サイズが変わる魔法がかかってるって便利だね。
「おはよう」
「「「「おはよう(おはー)」」」」
「今日は優維が最後だな」
「いつもはセージ君だもんね~」
「ガウ~そうだけど!最近は凜ちゃんの方が遅かったじゃん!」
「そうだっけ~?」
「む~」
「はいはい、朝ご飯にするから終わりね~」
「「はーい」」
うむ、皆今日も元気だ!飯がうまい!
――――――――――――――――
「じゃあ、行ってくる」
「気をつけて」
「おう」
クロさんがロジーさんに鼻先をすり寄せる。ロジーさんもそれに答える。
心配なんだね。
「ユイ姉」
「ん?」
「ぼく、待ってるから」
「うん」
セージ君とぎゅっとする。
「凜ちゃんも」
「ん」
「待ってるから」
「・・・・・・うん」
私と離れて、今度は凜さんとぎゅっとする。
「優維、凜」
「「ん(なーに)?」」
「ご飯、何がいい?」
「う~ん・・・・・・・あ、魔猪のシチューがいいな」
「はいよ」
やった!あれはおいしかったからね。もう1回食べたい。
「あたしは・・・・・・なんでもいいかな?」
「それは受け付けないよ」
ロジーさんにそう言われると、凜さんは困った顔で笑った。
凜さんは会ったときからそうだ。先のことを聞くと、困った顔で笑うんだ。
「・・・・・・オムレツ・・・」
「オムレツね。まかせな」
ちょっと恥ずかしそうに、何かに観念したかのようにボソッと凜さんが呟く。
ロジーさんの圧に負けたね。
「じゃあ、作って待ってるさね」
「うん!」
「・・・うん」
「それじゃあ、行ってきます」
「「いってらっしゃい」」
――――――――――――――
コンコンッ
「長、クロです」
「開いておるぞ」
「いらっしゃーい」
「「「おはようございます(おはー)」」」
「む」
「「おはよう(おは)」」
リーンヴォックさんは手を軽く上げ、ディグ君とヒミちゃんはいつも通り挨拶を返してくれた。ヒミちゃんはいつもよりシャッキリさんだ。
ココ爺の家に着くとカルヴァロさん、リーンヴォックさん、ディグ君とヒミちゃんがいた。シューマさんまだは来ていなかった。
「シューマは?」
「準備する物を色々頼んだから、少し遅れるかもって」
「そう「お邪魔しやす」・・・噂をすればだな」
話をしていると、いつもより大きめのリュックを背負ったシューマさんが入ってきた。タイミング凄いな。
「揃ったようじゃな」
ココ爺が椅子から立ち上がり、皆キリッと姿勢を正す。私も皆に習って、少し背筋を伸ばす。
「では、これより楔梛様救出作戦を決行する!」
「「「「「「はい!(うん)」」」」」」
「「応!」」