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授業参観っていつもより気合い入るよね



 あのあと話もそこそこに、まだ準備があるから決行は数日後にしようということでその日はお開きになった。



「では、また連絡するでの」

「はい。ではまた後日」

「じゃあね~」



 エイア先生はココ爺とお茶をするというので残り、皆で帰った。



「この後何かある?」

(おれ)は番屋に行く」

「オレは森に行く」

「カロさんとの用事は終わったの?」

「おう」

「うん、大丈夫。後はボクだけで準備できるやつだから。でも、今日はさすがにお休み」



 ぐーっとカルヴァロさんが背伸びをする。何をしていたかは知らないが、きっと楔梛様関係なのだろう。お疲れ様です。



「オレも今日はお休みだ。久々に遊ぶか?」

「遊「ディグ君」ぶ?」

「お?凜、どした?」



 ディグ君からの遊びの誘いにのろうとしたら、凜さんが私の言葉にかぶせて話しかけてきた。

 ディグ君に何か用事かな?



「これから”鬼ごっこ”するけど、ディグ君も一緒にどうかなって思って」

「え゛、凜さんそれは・・・」

「別にいいじゃん。どうかな?」

「・・・・・・あ~、いや、オレは見てるだけにしておくよ。ヒミほどじゃないけど、鑑定はできるから」

 


 ありがとう、ディグ君!

 私が絶望的な顔をしていたら、空気を読んでくれたよ。鬼が二人でタダでさえきついのに、ディグ君まで入ったらもう勝てる未来が見えない。いや、今でも見えてないけど。



「あ、ボクもついていっていいかな?」

「カルヴァロさんも!?」

「参加はしないよ。ただ、どんなことしてるのかなって思って」

「ん~、いいよ。カロは結界張れるよね?」

「できるよ~。魔法全般得意だからね」



 カルヴァロさんがエッヘンと胸を張りながら言った。

 そうか、カルヴァロさんは魔法使いタイプなのか。体格がいいから物理タイプだと勝手に思っていたよ。

 この流れだと私の遊ぶ意見は無視ですか、そうですか。



「無視はしてないよ?今日は10回戦くらいで終わりにするから、その後遊べるよ」

「あ、いつもより少なめ・・・」

「・・・お前、大変だったんだな」



 ディグ君とカルヴァロさんが、同情してくれたのか頭を撫でてくれた。

 うん、10で少ないと思えるくらいにはやっていたよ。


 

 



 あの後雑談をしつつ、クロさんとリーンヴォックさんと別れて演習場に来た。



「演習場、久々に来たな~」

「そうなの?」

「ああ、働くようになってからは外に行ってばかりだったからな。後は公園でちみっ子達と遊んでるしな」



 ニッと笑いながらディグ君が言う。

 お仕事は町の外が多いのか。だからあんまり見かけないんだ。見かけたとしても公園で小さい子達と遊んでいるか、ヒミちゃんの送り迎えくらいだ。



「セージ君」

「あ、ユイ姉と凜ちゃん。あれ?今日はカルヴァロさんとディグ兄ちゃんも一緒?」

「おう、セージ。見学だ」

「おはよう、ボクも見学だよ」

  


 おはようございますと、遅れてセージ君がカルヴァロさんとディグ君にあいさつをする。

 この二人が来るとは思っていなかったのだろう、最初はキョトンとしていた。うん、私も二人が一緒に来るとは思ってなかったよ。



「お、セージ君準備ありがとね」

「ココ爺の用事が終わったらすぐ来るって言ってたから、皆が出て行った後にすぐ準備しといたよ」



 今日の鬼ごっこは確定事項でしたか、そうですか。



「はいはい、気持ち切り替えてこー」

「ふー・・・・・・・はい!」



 よし!切り替え完了!

 まあ、うだうだ言ってても仕方ないしね。



「怪我には十分注意、オッケー?」

「「はい(うん)」」

「いっくよー、よーいドン!」



 カルヴァロさんの号令で鬼ごっこが始まった。

 やったるぞー!



 ――――――――――――――



 バシャンッ


 

「そこまで!」

「だー、またダメだったー!」  

「惜しかったねー」

「おつかれ、ユイ姉」

「おー、ありがとー」



 いつものようにびしょ濡れになったので、セージ君に拭いてもらう。

 わしゃわしゃと髪を拭きつつ、ドライの魔法をかけている。セージ君もだんだんと魔法の扱いが上手くなってきている。

 最近水魔法の精度も上がってきているので、さらに鬼ごっこの難易度が上がってきている。



「ヒミから聞いてはいたが、なかなかハードなことやってんな」

「うう~ん、ボクはこれくらいなら小さい頃、普通にやってたと思う」

「それはカルヴァロさんがおかしいんスよ」



 あ、ディグ君もそう思うんだ。

 カルヴァロさんの頃は普通だったのかな?昔の常識と今の常識って違うだろうし。



「で、どうだった?」

「ああ、魔力のコントロールは問題ない」

「ボクもそこはいいと思う。ただ、結界の展開速度は遅いかな」

「あ~、だよね~」



 うう~ん、やっぱりそこ指摘されるか。

 前にも言われたが、私の結界を張る順番が先に障壁を張ってからというのが遅さの原因だ。



「でもね、障壁を張ってから結界というのはいいやり方だよ。命を守るためなら尚更、ね。結界に強い障壁の効果をつけることもできるけど、かなり熟練の魔法使いじゃないと難しいかな。凜ちゃんみたいにね」

「いや~それほどでも~(テレテレ)」



 照れてるってことはできるんだ。さすが、結界作った人。熟練度が違うぜ。



「そういえば、今の結界って魔法としてどれくらい分かってる?」

「一般的には魔法を防ぐことだね。後は侵入不可、認識阻害などの効果の付与ができる、魔法を吸収できるってことだね」

「あたしの頃から変わってないか~」

「何しろ便利だけど、皆なかなかイメージがわかないみたいだから、使う人も少ないんだ。詠唱もないしね」

「普通に盾とかでいいんじゃないですか?」

「皆、盾は戦士が使う物ってイメージがあるからそれだとダメみたいなんだよね~」



 なんでだろと、カルヴァロさんはこてんと首をかしげた。

 そこまでイメージしにくいかな?盾だって防御することには変わりないのにね。炎も盾で遮断はできるだろうに。

 


「カルヴァロさん、それは後で考えましょう」

「そうだね。ディグは他に気がついたことある?」

「そうッスね~。あ、避けるときの身のこなしはかなりいいな。小さい動きで避けられている」



 ディグ君はナイス!と、サムズアップしてくれた。

 褒められた、避けるのは元から上手いんよ。



「そうだね、前より無駄がなくなったよ」

「そうだったのか。頑張ったな」

「えへへ~」



 おお!まさか凜さんからも褒められるとは!嬉しいね~。



「じゃあ、もう1回いってみようか!」

「押忍!」


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