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決意表明



「とりあえず中に入れることは分かったが、その後はどうするんだ?」

「後はぶっつけ本番かな?」

「エェ・・・」

「だって、楔梛の前に刺さってる剣が封印の要だってことも憶測でしかないもん。それが当たってて、壊せそうならあたしが全力でぶっ壊すし、それ以外なら探さないといけないし」

「う~ん封印したところは誰も見てないからね~」



 わぁお、行き当たりばったりぃ。



「ホッホ、調査にしろ壊すにしろで準備は万全にしておいたほうが良いじゃろうて」 

「・・・・・・・・ちょっとええかの?」



 今まで会話に参加していなかった亀さん、エイア先生がスッと手を上げた。



「この作戦自体は願ってもないことじゃ。水を差すようじゃが、この作戦の主軸がこの子で問題ないかの?」

「ふむ、理由を申してみよ」

「あの封印は人間がやったこと、それなのに同じ人間に任せて良いのかということじゃ」

「――ッ!」



 周りの人達が優しいから忘れていた。獣人族の皆が皆、人間にいい印象を持っているわけじゃない。人間は楔梛様を封印した種族だ。



「奴らと同類ではないと言えるか?」

「・・・そんな言い方しなくてもいいんじゃない?」

「凜様、今はこの子に聞いておるんじゃ」

「優維・・・」



 クロさんが心配そうに此方を見る。凜さんはさっきの発言にイラッとしたのか、かましてやれという感じで見てくる。

 他の人達も、じっと此方を見つめている。私が何も言えないでいるけど、誰も言葉を発しない。待ってくれているんだ、私が話すことを。

 エイア先生も決して急かそうとせずに、話し始めるのをじっと待ってくれている。

 だったら、ちゃんと私の気持ちを伝えよう。私の、今の精一杯を。



「私がその人達と同類ではないとは言い切れません。証拠もありません。

 ただ、私は貴方たちに危害を加えるつもりはないし、楔梛様を助けたいという気持ちは本当です」

「ほう、何故そう言い切れる?」

「約束、しましたから。それに――――」



 チラッと凜さんを見てから、言葉を続ける。





「助けたらあの楔梛様のモフモフにうまると決めたんです!」

「え?」

「「「は?」」」

「ホッ?」

「ほほぅ」

「ぶふっ」

「おー(ぽふぽふぽふ)」



 皆さん、そんな何いってだコイツみたいな顔で見ないで?クロさんも吹き出さないで!

 だってライガーのモフモフを堪能できるんだよ!?元の世界じゃ、こんな機会あり得ないじゃん!



「うんうん、あれはうまってみたいよね!陽翠(ひすい)もモッフモフだったからきっと気持ちいいよ!まあ、陽翠が一番だけど!」

「ですよね!あとサラッと惚気ないでください!うらやましい!」



 やっぱり、凜さんは分かってくれると思ってた!



「・・・・・・・カッカッカッカッカッ!!」

「ヴォッヴォッヴォ!!ほんにおもしろいのぉ!」

「お前なぁ・・・」

「ウッハッハ!まあ優維らしいっちゃらしい理由だな!」

「そッスね」

「そうだね~」



 皆、そんなに笑わなくてもいいじゃないか~、私の本心なんだから。



「むぅ・・・」

「アッハッハッハ!・・・頑張ったな」

「・・・!ふへへ~」


 む~っとむくれていると、ディグ君が笑いながら頭をぐしゃぐしゃにしながら小さな声で褒めてくれた。ちょっと照れてしまったので、笑って誤魔化した。



「カッカッカッエホッゲホゲホッ!」

「エイア先生、死にやすぜ?」

「ヴォッヴォッわしより先に逝くかの?」

「ゲホッ貴様より長生きしてやるわ!」



 笑いすぎてエイア先生がむせてた。

 さすがに失礼じゃないかい?てか、変わりようがすごいな。



「いやいや優維ちゃんや、意地悪く聞いてすまんかったの」

「いえいえ、よく知らない人を疑うのは当然ですので」

「カッカッ!スルクに聞いていたが、ほんにいい子じゃのぅ」

「あ、やっぱりお医者さんなんですね」

「カッカッカッ!具合が悪くなったらいつでも来なさい。診てやろう、スルクが」

「そこはエイア先生じゃないんですか」

「儂隠居しとるもーん」



 なのにスルクやケヒトは仕事しろっていうんじゃよ、ひどくない?と愚痴をこぼすと、二人とも忙しいのでたまには出てあげてくださいと、ディグ君が言うとさらにブーイングしていた。

 それだけ元気があるなら、まだまだ現役でいけますよ。

 

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