小熊ってなんであんなにモフモフに見えるんだろ
「「ただいまー」」
「おう、おかえり」
「おかえり」
「おかーえりー」
「・・・凜さん、どうしたの?」
家に帰るとクロさん達が先に帰ってきていた。
凜さんの挨拶がいつもより間延びしているので、ちらっと視線を向けるとグデーっとしていた。なんか最近の鬼ごっこ後の私みたいだ。
「んー?ちょっと疲れちゃってねー」
「そうなんだ」
「だーかーらー、セージ君!」
「なぁに?」
「癒やさせろー!」
「うわあ!!」
突然凜さんがセージ君にタックルして、そのままモフモフタイムに移行してしまった。
クロさんを見ると苦笑いをして、オレの毛並みじゃダメらしいと少し残念そうにしていた。まあ、気持ちは分かるよ、クロさんのは少し硬いから。でも、私はクロさんの毛並みも嫌いじゃない。
「クロさんの毛並みも私は結構好きだよ?」
「・・・ウッハッハ!ありがとな、優維!」
「ふぁっ!」
私が思っていることを言うと、急にクロさんが肩車をしてきた。これはモフモフオーケーだろうか?
試しに顔を埋めてみると、頭を撫でられた。これはモフモフ続行だ!
やっぱりクロさんのは毛は少し硬めだけど、ふかふかなのでセージ君とは違った感じでいい。
「はいはいあんだだち、ご飯できたよ!」
「「「はーい」」」
「おう」
今日のご飯はベーコンが沢山のったピザ、キャベツのコールスローサラダ、大根のポタージュだ。ピザ生地はロジーさんが一から作ったそうだ。すごい!
ピザ生地はパンのようにふかふかで、そこにトマトとベーコンの旨味、チーズの塩気と濃厚さ、ホウレンソウの苦み、全部が調和していてものすごくおいしい!
コールスローは酸味はあるが、きつくはなく食べやすい。ピザが結構重たいので、口の中をさっぱりさせるのに一役買っている。いい引き立て役だ。
大根のポタージュは初めて食べたけど、ものすごく優しい味だ。ポタージュと言えば濃厚な感じと思われるが、そんなことはなくサラッとしているのでお腹に優しい。
総評、全部うまい!さすがロジーさん!
「「「「「ごちそうさまでした」」」」」
「今日もおいしかったー!」
「うん!ぼくもうお腹いっぱい」
「うれしいね。また、作ろうかね?」
「「是非!」」
「あっはっはっ!分かったよ!」
凜さんと声がかぶった。
だって滅茶苦茶おいしかったんだもん!
「凜さん、魔力の量は分かったの?」
「あーうん、分かった。思った以上に増えててビビった」
「規格外だと思いました」
「あんたがそう言うってことは、相当だったんだね」
「ああ。凜さん、制御ができるまでは腕輪はつけっぱなし、尚且つダイヤルは最小のままでお願いします」
「分かってる」
クロさんが少し疲れた様子で言うと、凜さんはもうこりごりだという感じに答えていた。
そ、そこまで凄かったんだ。
凜さんが言うには全盛期よりも増えてたって。精霊になるとそうなるのかと聞いたら、人によるけど適性があれば魔力量が上がるらしい。
「ああ、そうだ。優維、明後日一緒に長のところに行こう。今度は長以外の人もいるが、カロさんやリーさん達だ」
「・・・わかった」
「そんな心配そうなを顔するな。オレも凜さんも一緒だから安心しろ」
何の話とは言わなかったが、十中八九楔梛様についての話だろう。
今回は他の人もいるのか。う~、不安だな~。
「大丈夫だよ、ユイ姉。ユイ姉がやりたいことを信じて。ぼくも信じてる」
「セージ君・・・」
「もし不安だったら、その時はぼくが信じるユイ姉を信じて」
今のセージ君がとても頼もしく見えた。
「わかった」
「オレたちは優維の味方だ」
「うんうん!」
「そうさね」
クロさん、凜さん、ロジーさん。
うん、わかった。皆が信じてくれるなら大丈夫。
楔梛様を本当に助けられるかなんて分からない。けど、助けたいって気持ちは本物だから。何か言われても、それを貫けばいい。
「皆、ありがとう」
「「「うん(おう)」」」
「当たり前さね。さあ、今日も疲れたろ。もうお風呂入って寝ちまいな」
「「「はーい」」」
その後はお風呂に入った。ふい~、お風呂はいいね。
一日の疲れがお湯に溶けてくみたい。
「おやすみなさい」
「「おやすみー」」
「お休み」
「はいよ、おやすみ」