ぼくができること
ほぼセージ君視点です。優維は最初しかでてきません。
まさかリコちゃんが私のために医学を学んでいるとは。
途中物騒なことを言われたが、怪我しないことは約束できないな。まあ、痛いのは嫌だから努力はします。
「あ、飲み物なくなっちゃったね。ちょっと買ってくるけど、何かいる?」
「アタシ紅茶。はい、お金」
「ぼくはまだあるから大丈夫」
「わかった。リコちゃん、お金はいいよ。かまくら代払ってくれたから奢らせて?」
「あら、悪いわね」
「いいってことよ。いってきます」
「いてらー」
「いってらっしゃい」
リコちゃんは紅茶ね。あ、ストレートでいいか聞き忘れた。まあ、無難なのを買ってこよう。一応ミルクと砂糖もつけてもらおう。
私は何にしようかな?
寒いから暖かいのがいいな~。お店で見てから考えよう、そうしよう。
――――セージ視点――――
「ねえ、セージ君」
「ん、何?」
ユイ姉の姿が見えなくなったのを見計らったように、リコちゃんが話しかけてきた。
「セージ君はあの説明で納得したの?」
「・・・本当のところ納得はしてないよ」
家族が危険な目に遭うってことが分かっているのに、はいそうですかってなるわけないよ。
「でもユイ姉一度決めたら、もう何言っても曲げないから。だったら、できる限り応援して、あとは信じるしかないじゃん。ぼくにはそれしかできないから」
ぼくはまだ弱いから。
お父さんみたいに強くないし、お母さんみたいに包容力があるわけでもない、リコちゃんやユイ姉みたいな行動力もない。
だったら、ぼくは今できる精一杯のことをしようと思ったんだ。
「それにね、ユイ姉言ったんだ。
皆が待っててくれるなら、自分は必ずここに帰ってくるって。だったら、ぼくは信じて待つよ」
今はそれしかできないから。
ぼくが強くなる、それまでは。
「・・・いっちょ前のこと言っちゃって。あたしがどれだけ心配してるか分かってるのかしら」
「ははっそうだね」
そう言えるのは称号のこともあるんだろうけど、リコちゃんにはまだ言わない。それはユイ姉が異世界人だってことも伝えることにもなるから。
まあ、ユイ姉ならそのうち自分で言うと思うし。それまではぼく達だけの秘密だ。
「ユイにもだけどあんたにもよ」
「ええ?ぼく?」
「そうよ!あんたもあの鬼ごっこ手伝ってたんでしょ?鬼側だったけど、どっちにしろ魔法を使い始めたばかりの人がやるようなことじゃないのよ!?」
「う、うん」
「コントロールがまだちゃんとできてないうちに、バカスカ魔法打つなんて危ないでしょ!」
「ちょ、リコちゃん落ち着いて・・・」
「落ち着いてたわよ!」
「過去形!」
リコちゃんのボルテージがまた上がってしまった。
心配してくれて嬉しい反面、そんなに怒られることだったのかと。
凜ちゃん、後でまた話し合おうね。
「そ・れ・に!セージ君は信じるしかできないって言ったけど、それって簡単にできることじゃないのよ?」
「そう、なの?」
「そうよ、だから信じる”しか”とか言わないの。自信持ちなさい」
「・・・うん、ありがとう」
呆れた感じに言ってたけど、ぼくがお礼を言うと微笑んでくれた。
リコちゃんはやっぱり優しいな。
「あと、そのことユイに言ってあげなさいよ」
「待ってるとは言ったよ?」
「そっちじゃなくて、信じてるっていう方よ」
わざわざ言うほどのことだろうか。
「ちゃんと言わないと伝わらないこともあるの。それにね、言葉の力って凄いんだから」
「・・・ふふっそれ、リコちゃんにも言えると思うよ?」
「なーにー?励ましてあげたのに、そんなこと言うのはこの口か~?え~?」
「むあ~、ひっはらないへよ~」
リコちゃんももうちょっと素直になればいいのに。
まあ、そこもリコちゃんのいいところだけどね。